生産性のない自分をうっかり認めたらもう絶望しか残らなかった

昨年の夏からずっと、心に引っかかっていることがある。
某政治家の「生産性がない」発言(正確には雑誌の寄稿文)だ。
報道だけだと一部分を切り取っているのは当たり前なので、「また悪意ある捉え方でもしてるんじゃないの~?」と思って『新潮45』の原文を全文読んでみたところ、切り取り方の悪意じゃなくてマジだったことを知り、より愕然とした。

立派なコッカイギインセンセイは、子供産まない奴は生産性ない、と思っておられるのだ、と。

…なんてことを知人に話すと、
「鴨さん、自分事に捉えすぎなんだよ~(笑)」
「政治家の失言なんてエンタメなんだから~」
と言われるので、そうだよね、そうだよね、と、何度も自分に言い聞かせては気にしないように努力した。
けれども、一度気になってしまったが最後、「生産性がない」という言葉が、頭の中にこびりついてしまって、剥がれなくなってしまったのだ。

生産性、セイサンセイ、せいさんせい。

私、生産性ないの? ゴメンナサイごめんなさい。何も生産せずに日々生きていてごめんなさい。
「はぁ? 何言ってんのさ、こんだけ税金納めてやってんだろうが!」などと言えるほど稼げているわけでもなく、今日一日自分を生かすのがやっと、なレベルの仕事しかできていないこともまた、後ろめたさに拍車をかけていると思う。
(啖呵切れるほど稼げていたら、多分何とも思わないはず。)

たかが政治家のいち発言…と思えればいいけれども、いち政治家がそう言っている、ということは、世の中にそう思っている人がけっこういる、ということだ。
そんな人間たちに混じって暮らしているのは心労だし、「偏見議員が何か言ってらぁ、あはは~」と、笑い飛ばせるほどの度量もない。

昨年夏といえば、いろいろなものの限界説として槍玉に上がる「35歳」が半年後に迫り、ぐちゃぐちゃになりながら、ひたすら焦っていた。
周りの知人らのように、立派に会社員として働き、幸せな結婚をして、育産休も取得できるような立派な会社でキャリアを積み、子供を産んで復職し、家庭にも社会にも貢献している立派な人間になりたかったけれども、ひとつもクリアできていない現状に絶望しながら、せめて何かひとつだけでもクリアしておきたい…! と、手あたり次第、闇雲に手を伸ばしては、無駄にダメージを受けていた。

仕事は何をやってもダメだったから、せめてなんとか生産性ある人間になるためには、子供産んどきゃ後ろ指さされないはず!
そう思って始めた婚活は、男性陣の「35歳未満」という検索ラインになんとかひっかかりたいと、いくつものマッチングアプリに登録し、アホみたいに知らない人たちに会いまくった。
嫌な思いも、怖い思いも、それなりにした。同じくらい、私もきっと他人様を傷つけたと思う。

転職の限界。結婚の限界。出産の限界。
まことしやかに言われる「限界説」を、知っていたならどうして皆と同じようにやらなかったのか、やれなかったのか、我慢や努力が足りなかったのか。幾度となく後悔をしてはみても、先には何も立たないのです。
続々と子供を産み育てる立派な知人らを見ては、「いいなぁ、生産性があって」と羨んで、「で、自分は?」と省みては、何度も何度も絶望奈落に飛び降り自殺するだけなのです。

悲劇のヒロイン気取りもいいところだ。


そうしてついに、今月、リミットを迎える。タイムオーバーだ。
あの議員センセイが言う「生産性ない人間」のまま、これからも暮らしていかなければならないのだ。
これを絶望と言わず、何と言えよう。
「生産性ない」の対象たる人々は、一体何を拠り所に生きているんだろう。
このモヤモヤに、「生産性がない」って名前が付けられなけれは、もう少し騙しだまし生きていられたのかもしれないな。

“生産性のない”文章を書いてしまったなぁと思うけれども、史上最高に嬉しくない誕生日を控えて、ギリギリ限界の内側にいるうちに吐き出しておかないと、胃もたれがひど過ぎて…

そんな私がやりたいことと言えば、子供産まない奴生産性ナシと言った某議員の前で、「ども~~~っ! 生産性ナシ子ですっ!」で始まる漫談を披露すること。
オチは、「生産性ないので、消えま~す!」と、議員センセイの目の前で切腹でもしてみることでしょうかね。
それこそ、何の生産性もありませんが。

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鴨島 妙実

ワン・デイ・モア

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