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グローバリゼーション

日本人にとって「グローバリゼーション」とか「グローバル化」とは何か?と聞くと、半分以上は”英語”コミュニケーションに関することを答えるそうです。

本当にそれでいいのでしょうか?
今月の初めに台湾で開かれていたComputexというIT関係のトレードショウに行ってきました。今年から、Innovex(Innovation+Computexの造語らしい)というベンチャー、スタートアップのための専用の展示ホールが設定されて、何やら台湾は、半導体やEMS/ODMという製造拠点の色合いから、新しい事業を立ち上げるという風景に変わりつつあるのを感じました。

実はComputexは初めての参加だったのですが、今回参加してみて一番強く、というか何やら焦りのような感覚で感じたのは、日本が世界から孤立してるんじゃないかということだったのです。

もともと、雑誌などのメディアからの情報として知っていたのは、中国や台湾の先端技術に関わる世界では、シリコンバレーと台湾/中国での人の行き来が盛んで、その拠点間での人的ネットワーク、交流によって本国の産業もどんどん盛んになっていくということでした。
まあ、それを改めて実感したということなのですが、Innovex会場のメインステージでは、台湾ベースのスタートアップの人たちと、いわゆるベンチャーキャピタル(VC)というスタートアップに投資しようとする人たちが交流イベントをやっています。それが、普通に英語でやっているのです。もちろん、苦労しながら英語でプレゼンしてるスタートアップもいますが、日本の普通のトレードショウでは考えられない光景です。私のような日本人もチラホラですが、欧米系の人たちは実は日本のショウで見るよりもかなり多い人数で参加しています。さらに、いろんな人たちの話を聞くと、多くのベンチャーキャピタリストやスタートアップを支援しようとする人たちは、ほとんどの人がアメリカやヨーロッパの企業での経験がある人たちだったということです。
英語云々ではもはやありません。台北で行われていたトレードショウは台湾国内のショウではなくて、世界を相手にしたグローバルショウだったのです。

翌日、私の台湾人の友人と食事をしたときに、この話をして日本人が取り残されている感覚をもった話しをしたら、彼はこう言いました。「日本は人口が1億以上あって、十分そこでビジネスが成り立つじゃないか。台湾は人口2千万ちょっとで台湾だけでは商売が成り立たないんだよ。日本は別にそれでいいんじゃないのか?」
自国でのビジネスで成り立つかどうかは、人口5千万が境界だと言われているそうです。韓国がぎりぎりですね。一時期、韓国のアイドルが日本にたくさん進出してきたのは、この法則だと言っている人も確かにいます。

まあ、確かに日本でもベンチャーを取り巻く環境は、ここのところどんどん良くなっていて活気も出てきています。海外のVCも以前よりは日本を見るようになっています。でも、日本企業の、あるいは日本人のグローバル化という意味ではどうなのでしょうか?

私も外資系企業での経験がありますが、そこでわかったのは、世界中の人たち(グローバルビジネスをやっている人たち)が、日本人が英語が下手くそ(平均ですよ)なことを知っているということです。
で、私が思うのは、英語のうまい下手ではなく、世界市場で戦う心構えが出来ているのかということなのではないかということです。

生産技術、高品質で一時、世界を席巻した日本企業。その成功体験が忘れられない、別に外に出なくても日本市場だけで十分勝負できるという事情。英語の下手さと、なんとなく交流の下手くそな日本人が、これから先、もっと孤立化していくのではないかと不安を覚えました。

昨年の秋ごろに日経新聞の特集で、シリコンバレーに関する記事があったのですが、日本企業もずっと以前からシリコンバレーに拠点を持って人も派遣しています。でも、日本人はシリコンバレーのベンチャーエコシステムに入りきれないのだそうです。いろんな原因が指摘されていますが、ひとつ興味深かったのは、シリコンバレーでの人的交流、ネットワーキングは夕方以降に行われます。でも、日本企業の派遣者は、時差の関係でUS時間の夕方から日本本社と電話会議をしなければならず、いつも忙しくて、ネットワーキングに参加しないのだそうです。
きっとそれだけではないのでしょうが、面白い表現ですね。

昨年、シリコンバレーに行ったときに感じたのですが、例えばスタンフォード大学のキャンパスを歩いていると、インド人と中国人が私の感覚で60%以上、日本人はあまり見ません。インド人や中国人は、シリコンバレー内での自国の人的ネットワークも強力に作りますが、現地のコミュニティとも非常にうまくやっているということです。
ここにも、英語力ではない、何か日本人の残念な状況が見えるわけです。

もちろん、ダメなところばかりではないのですが、「グローバリゼーション」ということを考えたときに連想したことです。


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