見出し画像

何かが違う?!「働き方改革」

働き方改革に関する議論が国会でも白熱しています。でも、何か的が外れているように見えるのは私だけでしょうか?
裁量労働制について、働く時間が短くなるとかならないとか与野党での応酬が行われ、データの精査だとかいう話になっています。
この議論の先に一体どんな明るい未来があるのでしょうか。
働き過ぎの問題、働かせ過ぎを是正できない問題があることもわかるし、月に100時間を超える残業で不幸な事件が起こっていることも事実で、一刻も早く問題の本質を捉えて、正しい方向に変革していかなければなりません。
働く時間の問題だけがクローズアップされているのですが、どんなビジョンをもって改革していくのか、どんな価値観を変えていかなければならないのか、働く側の人間目線で議論が進むことを切に願っています。
何度か別のテーマの中でも主張してきましたが、この大事な議論が、政治家や企業経営者だけで行われれているように思えてなりません。実際に労働してそれによって生活を営む我々自身は、実際にどうしたいのかが、企業の「働き方改革」や国会の議論から見えてこないのが残念でなりません。
別の言い方をすると、労働する側の本当の願い、どのような変化や進化を求めているかをしっかりと掴める政治家や経営者がいないということなのだと思います。
働く人々の“幸せ”とはどんなことなのか、ということが出発点であるべきだと私は考えています。
働く人々の“幸せ”について、職場の中で、あるいは上司と部下との会話の中で、さらに言うと経営会議の中でもっと真剣に議論してはどうでしょうか。
働くことに対する考えは、すべての人で一律ではありません。残業をしないように世の中は動いているけれども、自分はもっともっと働きたいと思っている人もいるかもしれません。とにかく会社の中で出世することを何よりも優先している人もいるでしょう。仕事を通してとにかく成長したいと思うかもしれません。仕事よりも家族との時間を大切に思う人、趣味をやるためのお金を稼ぐことだけが目的の人、いずれ独立するための資金稼ぎのために働いている人もいるでしょう。
さまざまなスキルを身につけるために仕事の内容を変え続けたいと思う人、一つのことを徹底的に成し遂げるために部署を変わりたくない人、人とのネットワークを広げるために複数の会社で働きたい人、独立のリスクを低減するために週末起業したい人など、本当は人々の想いや願いはとても多岐にわたるのではないかと思うのです。
もしかしたら、本当は今と違う働き方をしたいけど、どうせ無理だからとあきらめている人も多いかもしれません。
日本は特に終身雇用制が長い間定着していた関係で、転職をしたり、副業をしたり、独立を考えたりということが出来にくい環境にあるかもしれません。

もし、あなたに部下や後輩がいるのでしたら、「あなたの幸せは何ですか?」「5年後にどうなっていたいですか?」と聞いてあげてみて下さい。そして、あなた自身もそのことを考えてみてください。
「働き方改革」って、本当は個々人の“幸せ”や、将来へ向けた成長が根本にあるべきだと私は思います。
企業経営者は、働く人を“戦力”として考えます。そして“戦力”は永遠にあるものと勘違いをして様々な施策を考えます。今の日本企業の「働き方改革」は、多くの例を見る限り、“戦力”の充実ための施策にすぎません。
女性やシニアの活用、在宅勤務、時間管理でなく成果管理で生産性向上など、言葉の響きはいいのですが、どれも企業の都合がメインで考えられています。もちろん、子育て中の女性が働ける環境や定年後の生活安定など、働き手にもいいことはあるのですが、どうも企業の困りごとを解決することが優先されているように見えてしまいます。
残業はこれ以上させられない。けれども慢性的に人は足りない。悪い企業とレッテルを張られないためには、「働き方改革」はやらねばならない。業績を上げるためには一人一人の生産性が大事だ、というあたりが企業の論理のような気がします。

会社は一人一人の”人“で成り立っています。会社を強くするのも弱くするのも”人“だということを忘れてはいけません。武田信玄の名言もあります。「人は城、人は石垣、人は堀、情けは味方、仇は敵なり」
いい製品やサービスを持っていても、“人”が弱かったり、人の心が離れれば会社は確実に弱体化します。
“一人の人”としての社員の幸福に重きを置いた経営をしていない会社がとても多いと感じています。今から30年前くらいまでの日本企業の経営には、社員第一のような思想があったように思いますが、今は経営者にそんな余裕もなくなっているのかもしれません。
大企業が衰退していくと、新興企業やベンチャー企業が台頭してくることが容易に予想されます。職の流動化が進んで、働き手である我々の選択肢が広がっていくことで、悪い企業、怠慢な経営から人々が離れていく流れができると、そこに本質的な「働き方改革」が生まれてくるようにも思います。
「寄らば大樹の陰」と大企業に頼った生き方はもはや古いのかもしれません。自分の“幸せ”をすべての人が意識するところからしか、本質的な「働き方改革」は生まれないのかもしれません。
私たち一人一人が、自分の“幸せ”や“将来”を真剣に見つめなおし、それについてお互いに話をすることで、あるべき姿を炙りだしていくことが、本質的にやるべきことだと私は信じます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?