勝つための未来の組織と人事考課

昨年、こちらに投稿した「時代遅れの人事考課制度」は、いろいろな方面から反響をいただき、同時にたくさんのご意見を伺うこともできました。

問題なのはわかるけど、ではどうするべきか、というご指摘やご意見が多数あって、この半年くらいの間、自分の中でも答えを模索してきたのですが、そんなときに、未来の組織や「組織革命」について、とても勉強になる2冊の本に出合うことが出来ました。

ひとつは、「ティール組織(フレデリック・ラルー著)」であり、もうひとつは、「マーケティングとは組織革命である。(森岡毅著)」です。

多くの日本企業の現在の人事考課制度は相対評価であって、社員は足元の社内競争に大部分の意識をとられ、本来は味方である社内のメンバーと強い結束力で本来の敵である競合や新規参入と戦って行かなければならないのだが、それが出来ない状況になっている、というのが私の指摘でした。
なので、人事制度も戦う組織用に変えていかねばならないと、そこまでの指摘でした。

そうであれば、人事制度を絶対評価に変えることや、変化の速さに対応した上司と部下とのコミュニケーションだけで、組織が強くなるかということを考察し、検証していかなければいけないと今さらながら思うわけです。

「ティール組織」は、未来型の組織としてその形が紹介されていますが、実は世界の中で何社かはすでにその組織を実現していて、圧倒的な成果を出しているということです。
残念ながら、実践している企業の中に日本企業は含まれていませんでした。

ごく簡単にティール組織を説明すると、すべての社員に決裁権限がある組織ということです。決済金額の上限などもなく、誰でもいつでも、提案してお金を使うことが出来るということです。
たった一つの条件は、決済する前に複数の周囲の人に相談しなければならない、ということなのですが、相談相手が役員であっても、あくまでも相談であって、相手からのアドバイスを聞くも聞かないも、すべて提案社員に任されているということです。

ちょっと聞いただけではわかりにくいかもしれません。また、言ってることはわかるけど、にわかには信じられない、という反応が多いのではないでしょうか。

私は、ただ、この本を読んでいて、これが自分がやりたかった組織だと思いました。
それぞれの個人はやりたいことをやれる。これほど高いモチベーションが得られるやり方はありません。すべてを把握したいと思うし、絶対に成功させたいと思うし、そのためにどんなことでもやるのだと思います。

ティール型組織は、基本はフラットな組織なので、組織の階層を上に上がるという考えがありません。仲間との関係は対等です。なので、評価の仕組みが従来とはまるで異なるようです。

上司が部下を、目標と実績の差や、その人の欠けているところなどを指摘して、改善を促すというのが従来の評価システムですが、ティール組織では、仲間同士がお互いに評価をするのだそうです。しかも、業績や能力を判定するのではなく、個人が実績やその人の本来の使命はなんであるかを見直すのを周りが手伝うという形で行われるのだそうです。

評価する周りの人間は、評価する対象の人が実績や本来やるべきことについての考えを説明している間、その話をじっくりと聞き、聞き終わったら1分間ほど目を閉じて、その人のことを頭のなかで思い浮かべ、そのあと、愛情と思いやりを持って2つのことをフィードバックします。

ひとつは、その人といっしょにやった中で最も価値があると思っていることが何かということ、もうひとつは、その人がやるべき分野、言い換えると、変えて育てることのできる分野は何かということについてです。つまり、実績に対する褒め言葉と、やるべきことに対するサジェスチョンの2つをフィードバックするのだそうです。すべてポジティブなフィードバックです。

仲間うちのフィードバックを、一枚の紙に書き留めて、次に本人と複数の仲間のうち一人とのペアで、フィードバックから自分自身への考えを深めていくというのが「ティール組織」で行われている評価だということで、自分自身を見直す儀式の場であり、また、お互いの成果や役割についての祝福の場になっているかのようだとのことです。

さらに、給与や賞与の査定も、上司が決めるのではなく、仲間同士の相互評価によって決められるということです。

お互いの実績や役割を、愛情と思いやりで相互評価した上で、自分対それぞれの仲間の相対値を全員が出し合って、それを集計してあるアルゴリズムで決められるのだそうです。

仲間同士でなれ合いになるのではないかと懸念もあるかもしれませんが、一人の上司が採点するよりは、はるかに公平性があると言えるでしょう。
点数を付けたあとの、昇給額や賞与の差は、実績を積んだアルゴリズムで算出されるのであれば、そこに慣れ合いは出てくる余地はありません。
また、この時点に来る前の、お互いへのポジティブなやりとりによって、競争よりも協業の考え方が強くなっている点は見過ごせないところかと思います。

「ティール組織」の人事考課システムは、それだけで成り立っているのではなく、組織構造、もっと言うと経営システムと強く連携しているので、人事考課システムだけを取り出して利用することは出来ないと思われます。

しかしながら、私個人としては、このような組織が主流になる時代が日本にも来ることを強く願うばかりです。
現状を見るとかなり不安ではありますが、仲間との連携を深め、組織力を最大化し、個人の力で会社を動かすことが出来る理想の組織の姿が、少なくとも理論上(世界では実績もある)示されたわけなので、これから多くの現場でこの理想の組織についての議論がなされることを期待したいと思います。

一方で、森岡さんは、USJを立て直した経験から、企業を強くするには、「ヒト」の力を生かす「組織」を作ることと、一人一人が自分起点で会社を変える文化や熱が必要だとおっしゃっています。
現実的な実績から生まれた言葉ですが、大きなところでは「ティール組織」とも共通するところがあるように思います。

現在、多くの企業で、社内コミュニケーションが上とか下とか、つまらない差別意識で破断されているとも指摘していて、お互いが同等の立場で、人体組織のように、ち密な連携をしていかなければならないとも指摘しています。

森岡さんはマーケティングがご専門であって、商品開発も組織改革も顧客視点でというお話しもされています。自分起点で会社を変えるひとつのヒントは、「下」からの提案を通すということだともおっしゃっています。
これはまさに、ティール組織の誰でも決済できる、ということに通じます。

ただ、森岡さんは、提案そのものも顧客視点でないものは売れない、つまり、提案も上司と部下とでブラッシュアップしなければならないとも言っています。
この辺は、ティール組織よりもより現実味のある考え方と捉えることもできるかと思います。

人事考課については、森岡さんは、絶対評価は人を怠けさせるので反対という立場を取られています。
相対評価であっても、評価基準ややり方次第でうまく行くはずという立場を取られていて、このあたりは私とは意見が違う所かもしれません。

実際、相対評価の課題は、評価基準の明確化や時系列的なフォローアップや、評価者そのものの評価など、私もいろいろと試してきたのですが、あまりいい解が見つからなかったということがあります。

いずれにしても、人事考課を単独でどうこうというよりは、まずは、競合に勝てる組織を作るということが第一の目的であって、それを妨げる現在の人事考課システムをどうにかしましょう、という問題提起だったのですが、まずは、どうやって勝てる組織を作るか、その延長というか、その組織を最大の効率でサポートする人事考課システムは、「ティール組織」や森岡さんのお考えを拝借しながら作っていけるのではないかと考えています。

まずは、「勝てる組織」にフォーカスしていきましょう。

日本の製造業を再び世界で戦えるレベルにしたい。そんな想いで、製造業を儲かり体質に変える仕事をしています。






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kamonk

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