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アバターについて考える前に、私のアバター遍歴を振り返っておきたい

多くのVTuberが誕生し、ひと昔前に比べてバーチャルの世界で活動するアバターに触れる機会がかなり増えました。また一方ではVRChat等のソーシャルVRプラットフォーム用のオリジナルアバターが配布・販売されるなど、新しいアバター利用の形も増えています。私自身も様々な形でアバターを利用する一人ですが、アバターに関する話題を日々目にする中で色々と考えることもあり、今回はその考えを纏めるにあたって初めに自分のアバター遍歴を振り返ろうと思います。

オンラインゲームのアバター

「アバター」という言葉についていくつかの用語辞典を参照すると、だいたい「Webのコミュニティで交流するための自分の分身」と読み取れます。この意味で捉えるのであれば、私のアバターとの付き合いは初めてオンラインゲームを遊んだときからとなるでしょう。

私が初めて遊んだオンラインゲームはRagnarok Onlineでした。このゲームを知った当時はまだこのゲームを遊ぶのに十分なスペックのPCを持っておらず、何度もキャラシミュレーターで自分好みのキャラクターを作成して妄想を膨らませていた思い出があります。
当時のRagnarok Onlineでアバター(プレイヤーキャラ)の作成時に選べたのは、性別の他にはあらかじめ用意された髪型と髪色だけでした。衣服も職業ごとに固定されているので、自分とそっくりの姿をした他のプレイヤーに出会う機会も少なくありません。唯一、頭に着ける装備はキャラグラフィックにも反映されたので、変わった見た目の装備やレアな装備を身に着けることである程度の個性を出すことができました。

その後、RagnarokOnline以外の様々なオンラインゲームを遊んできました。プレイヤーキャラメイクの幅は、髪型しか選択できないようなものから各種パラメーターを変更して細かい調整ができるものまで様々ありました。キャラメイクの選択肢の少ないゲームでも、自分が選んだ姿と思うと愛着が湧くのは不思議です。

Minecraftのアバター

2011年から数年間、Minecraftのマルチサーバーに参加していた時期がありました。Minecraftでは、プレイヤーキャラの見た目を「スキン」と呼ばれるもので変更することができます。スキンの元は画像ファイルなので、適用するためのルールを守れば自由に作成できます。他のオンラインゲームなどで用意されているキャラクターメイクと異なり、スキンを自分で作成すればオンリーワンのアバターを手に入れることができます。

スキン用のファイルはWebに公開され配布されているものもありましたが、私は「自分」の姿がほしい、と思いました。とはいえ、私にはオリジナルのキャラクターを新しく生み出すセンスは無く、結局、他のオンラインゲームのキャラクターデザインを元に自分で作成したものを使っていました。

マルチサーバーに通い続けてしばらく経ったあるとき、そのサーバーがきっかけで知り合った方が、「企画に参加表明した方を想像で描く」というイラスト企画を立ち上げました。元々その方の描くイラストがとても好きだったことと、他の方から見た自分のWeb上でのイメージがどういうものなのか知りたいという気持ちで企画に参加表明し、そしてとても素敵なイラストを描いてくださいました。自分のWebでの活動を見てくださったことで生まれた姿がとても嬉しくて愛おしくて、早速そのイラストを元に自分のMinecraftスキンを作成し、そのスキンで活動するようになりました。その姿は現在に至るまで、自分のWeb上でのアバターとして自分や知人の方々によって生き続けています。あの時快く描いてくださったgariSKさんには、感謝の言葉をいくら並べても足りません。

配信のアバター

Minecraftのマルチサーバーで活動し始めた時期と前後して、Minecraftや他のゲームのプレイを配信する活動を始めていました。当初はゲーム画面とコメントしか配信画面に映していませんでしたが、2015年にFaceRigがリリースされたとき、このソフトを配信に使えないかと考えました。
この頃はいわゆる「顔出し」をして配信する人を見かけるようになり、その優位性を感じるようになりました。配信者の顔が見えることで、声以外でもプレイ中のリアクションを視聴者に見せることができます。しかし、リアルの姿を配信に流すことは非常にハードルが高い。そこで、FaceRigを購入し、顔出しの代わりとして試すようになりました。

FaceRigにあらかじめ用意されている3Dアバターは、表情の認識性能は優秀なのですが、特に人物は日本ではあまり馴染みのないリアル調のものが多く選択に迷いました。一方、FaceRigには2Dのアバターを動かすようにできるLive2Dモジュールが別途用意されており、こちらを使えば日本でもなじみのあるイラスト調のアバターを動かすことができます。
FaceRigにはオリジナルアバターを使用することができ、私も自分のオリジナルアバターを用意できないものかと考えましたが、FaceRig用の3Dアバターは作成が非常に難しいことと、Live2Dでもイラストを自前で用意できるセンスが無いことから断念し、結局デフォルトの3Dアバターを選択しています。

そして近年、配信用のアバターやツールに関しては、VTuberブームの後押しもあり急速に発展しています。FaceRigを触ったときから自分がやりたかった、「自前のオリジナルの3Dアバター」「手を動かせたり、プレイしている様子がアバターからも分かる」のいずれも、この1年以内、いや数か月以内で実現してしまいました。このスピードには本当に驚いています。

アバターの今とこれから

様々な場面でアバターに触れ続け、そして現在私が思っているのは、「各々がバーチャルアバターを持つことの敷居が今よりもっと下がって、身近なものになっていってほしい」ということです。

ゲームやVTuberといったエンターテイメントの枠にとらわれず、アバターの利用場面はこれからさらに広がっていくと思っています。また、VTuberの定義やコンテンツとしての扱い、VRChatで起こっている文化などの話題から、アバターとは一体何なのかを考える機会が増えたように感じます。自分なりに分析をしながら、アバターに関わる文化がより良い方向に進むために自分は何ができるか考えていけたらいいなと思っています。

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