●ウタとカタナとカミサマと
「『失われた歌』を探してるんだって？」　
Piya Piyaの欠片を求め、村で情報収取をしていた君達。

そんな君達をいきなり後ろから呼び止めたのは、謎めくカオスの神・ユリィであった。　

彼女は建物の屋根の上にいたが、ひらりと身軽に君達の前へと降りてくる。何やらニマニマといたずらっ子のような笑みを浮かべて――君達の眼前にズイッと突き出すのは、輝く紙片である。

「じゃじゃーん。コレ、な～んだ」　ただの紙屑でないことは一目瞭然だ。何せ神々しく輝いているし、不思議な魅力とオーラを感じる。そこには文字が書かれており――「ミロバランの」、とまで読み取れたところで、ユリィはその紙をサッとしまい込んで隠してしまった。　

まさか、それは『失われた歌』。君達の驚いた顔に、無秩序の神はそれはもうご満悦に、わざとらし～く首を傾げた。確信犯である。

「うーん。なんだろな？　気になるナー。欲しい？　欲しいよネー」
　これは……何か条件を突き付けてくる予感。

いったいこのトリックスターがどんな条件を突き付けてくるのか、君達が緊張していると――　――すらり。

ユリィが刀を構えた。　――ぎらり。しろがねの刀身に君達の驚いた顔が映る。　えっ、必要なのは血ですか！？　生贄ですか！？　君達がたじろぐと、ユリィは無邪気に笑ってこう言った。


「おまえたち！　今から私とチャンバラごっこしろ！」　ユリィは構えた刀を指先で『グニャグニャ曲げた』。どうやら見た目は本物ソックリだが、柔らかいゴムのような素材らしい、要はオモチャだ。

これなら斬られても大丈夫そう。

「私が楽しめたら、おまえたちにさっきの歌をやろう。とゆわけで！　遊ぶぞ！　大通りの方に来い！」　きゃらきゃら笑って、ユリィは大通りの方へ駆けていく――やれやれ、追いかけるしかなさそうだ。