見出し画像

函南の森にて

先日、函南原生林に行ってきました。

画像1

函南原生林は、 「不伐の森」として知られ、
この森を源流とする来光川下流域の人々の
水源涵養林として江戸時代から保護されてきた場所です。

何度も伐採の危機にあい、
実際一部は開発の手にあったものの、
「箱根山禁伐林組合」により、守られてきたのでした。

そして、その森を学習の場として後世に伝えるべく、
国と県により生活環境保全林として整備し現在に至っているようです。

今回は箱根側から入ろうと試みましたが
道が悪く、その日に限って車の調子も悪かったので断念し、
原生の森公園から歩いて入ることにしました。

画像2

原生の森公園の入り口には「紫水の池」があり、
キャンプ場としても整備されており
なかなかにきれいな公園でした。

画像3

15分くらい歩いていくと「不伐の森」の入り口があります。

画像4

迫力のある大きな石碑は、
昭和初期に起こった水騒動で資金が必要になり、
25haが売却、伐採されてしまったことを戒めとし、
二度と過ちを繰り返さないために設置されたそうです。

先人達の想いの強さがこの石碑に現れているようで
思わず立ち止まってしまいます。

生活環境保全林として整備はされているものの、
貴重な植生を残す場所として
自然環境保全地域にも指定されていました。

 函南原生林というと、
「函南のブナ」という名前が印象的で
ブナ林が多いんだろうなーと安易に考えていましたが、
そこは神奈川県南部。

入口付近は
アカガシやイヌガシ、ウラジロガシなどの常緑樹に
ケヤキやカエデ類が点在する森でした。

画像5

アカガシの巨木があちこちでみられ、
一本一本がそれぞれコケやシダ類を樹皮にまとい
なかなかに味があります。

画像6

特に観察道沿いにあるアカガシは、
見事で見とれてしまいました。
箱根側のアカガシはなかなかに人懐っこい感じ。
なかなかに感覚的な意見ですが(笑)
そこは、不伐の森にありながらも、
多くの来訪者を受け入れてきた歴史なのかなあ、
と感じてしまいます。

画像7


標高700mを超えるあたりから植生が変わり始め、
ブナがちらほらと出始め、落葉樹が多くなってきます。

画像8

 ですが函南のブナは、
この森の樹木同様コケやシダを沢山身にまとい、
地衣類も黒っぽいようです。

故郷青森でよくみかける白っぽい肌のブナは少なく、
太陽さんさんと降り注ぐ太平洋のブナ!
という印象を受けました。

「函南の大ブナ」は有名な巨木として知られていましたが、
既に腐朽で倒れ、今はもうありませんでした。
跡地(?)には若い木々たちが生育し新たな森を形成していました。

この森全体のイメージとしては、
スズタケやハコネザサが繁茂し、鬱蒼とした印象でした。
観察道も登坂が続くので、歩き続けるのは少しハードです。

ですが、コケ類やシダ・花達もそれなりに多く、
カエデ類も多いので、
春や秋は美しい姿がみられるのではないかなと思いました。

画像9

ヤマジオウ、というシソ科の植物や

画像10

8~9月に結実するコバノフユイチゴもあり
歩き疲れた時の癒しになりました。

関東の夏は暑すぎて、
森案内にはちょっと厳しい季節です。
でも、
秋や来年の春にお連れしたい場所をみつける絶好の機会。

私の「素敵な森探しの夏旅2022」は、
しばらく続きそうです。

 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?