空色カミュの物語

【あなたはまだ本当の愛を知らない】インドを旅中にインド人に言われたその言葉。【愛って何…

空色カミュの物語

【あなたはまだ本当の愛を知らない】インドを旅中にインド人に言われたその言葉。【愛って何?】そこから内なる世界と繋がる旅が始まる。魂と感覚にビンビンくるスパイシーな旅の物語を、15年前のバックパッカー時代の私の実話を元に書いています。

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  • あなたはまだ本当の愛を知らない

    「あなたはまだ本当の愛を知らない」インドを旅中あるインド人のおじさんに言われたその一言。「愛を知らない?」いや、わたしは知っているはずじゃ。。。揺らぎ始める何か。生きるってなんだろう、愛ってなだろう?読むだけであなたの枠をガラガラと崩していく物語です。

最近の記事

第8話 導きの神様

「ナマステ〜メガ〜」 聞いたことのある男性の声がドアの外に響いて、私は青い木のドアをそっと開けた。 「ナマステー?」 ヨガマットを肩にぶら下げた、彼の聖者のような穏やかな笑顔がそこにはあった。 このアシュラムに泊まっている旅人のイスラエリーのラニだ。 「ナマステ〜 This is from Maya」 そういうとラニはクッキーとメモを一枚渡してくれた。 「、、、Thanks」 メモを受け取り開いてみると、そこにはSorryという顔のかわいい絵と共に、チャイ屋の

    • 第7話 旅する朱色のセーター

      お腹の底からマヤと歌っていたら、すっかり身体にエネルギーが巡った。お腹が痛くてうずくまっていた私はどこへ行ったんだろう? ヒンディー語の唄を教えてくれた子供たちの家に、夕方一緒に行こうとマヤが誘ってくれた。 フリーダムと沐浴したガンガーの川辺の近くに、子供たちだけでやっている小さなチャイ屋さんがあると言う。そこに子供たちは住んでいるらしい。 マヤはヨガのクラスが終わったら、私の部屋をノックすると言って、曼荼羅柄のヨガマットを持ってウインクして出て行った。マヤは太陽みたい

      • 第6話 マヤの魔法

        自分を愛すると誓ったガンガー沐浴の翌朝、ひどいだるさで目が覚めた。 頭がガンガンする、お腹も下し、吐き気もする。私は一人、小さな部屋に閉じこもり唸っていた。なんでー?昨日はあんなに元気だったのに。生まれ変わったって喜んでいたのにー?うう。 インドに来てからはじめての体調不良だった。ガンガーが冷たかったからかもしれない。食べたものに当たったのかもしれない。いや、私の中の何か悪いものが、今肉体から離れようともがいているのかもしれない。とにかく、とにかく、辛い。そして無力。何も

        • 第5話 自分を愛したい〜ガンガーの愛に触れる〜

          コンコン、コンコン。薄暗く静かな部屋に響くノックの音。 ガンガーへ一緒に沐浴しに行くことを約束していたフリーダムだ。 私はそっとドアを開けて、小声で「ナマステー」と手を合わせ挨拶をした。フリーダムは私をそっとハグすると、チャーミングに微笑んだ。 昨日はマッサージの後、ベットに横たわり私はあっという間に眠ってしまい、でも不思議とフリーダムが来る少し前には、パッと目を覚ました。水をガブガブと飲んで、トイレをすまし、沐浴用に布を一枚バックへ放り込み、長い髪の毛を一つに結ったり

        第8話 導きの神様

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        • あなたはまだ本当の愛を知らない
          8本

        記事

          第4話 Massage is Message 〜身体に宿る記憶〜

          フリーダムがジンジャーティーを飲み終え、私たちは「see you tomorrow 」と心目と目で合図を交わし、それぞれの時間の流れへと別れることにした。私はフリーダムの光に透ける金色の髪の毛が好きだった。腰まで届く一つに束ねた三つ編みが好きだった。笑った時の、目尻にできる皺が好きだった。若草色のパンジャビ姿が好きだった。世界を美しく見ている、彼女の魂が好きだった。お姉ちゃん。そう、年の離れた気の合うお姉ちゃんのような、不思議な懐かしさがあった。 彼女のちょっとした仕草が私

          第4話 Massage is Message 〜身体に宿る記憶〜

          第3話 ガンガーを愛する者たちの、魂の再会

          「人は自分が信じている世界を生きているんだよ」 サンが言ったその言葉が砂時計のように、わたしの中をするすると落ちて行く。 自分が信じた世界を生きている、、、? 「ナマステ」 その時、誰かがドアを開けた。 そこには手を合わせて優しく微笑む女性の姿があった。柔らかそうな金色の髪の毛を、インド人のように三つ編みで束ね、若草色のパンジャビ姿がよく似合っている。 砂時計はまだサラサラとわたしの中に落ち続けていたけれど、彼女の明るいトーンに意識がまた切り替わったのを感じた。彼

          第3話 ガンガーを愛する者たちの、魂の再会

          第2話 世捨て人 リシケシに住み着いた画家との出逢い

          旅に出る前、あれが必要かな?これが必要なんじゃないかな?と荷造りしながら悩むとき。私はいつもその土地で生きている人がいるということを思うようにしている。 「そこにも人間が住んでいるんだ。」 それならどうにでもなる。生きてる人がいる。暮らしている人がいる。何か忘れ物があったって平気。そこには人が生きているんだから。旅に出るとそう自然に思えるのに、あんなに人がいっぱいいる東京の暮らしの中で、私はどうしていつも失われることへの不安を抱えていたのだろうか。 旅をする度に荷物は減

          第2話 世捨て人 リシケシに住み着いた画家との出逢い

          第1話 時間を外して生きる。リシケシの祈りの音色。

          死んだように生きていたあの日々。 精神安定剤がお守りだったあの頃。 マンションから飛び降りようとしたその夜 わたしは死ぬ前に自分で自分を救いたいと心から誓った。 誰かに救われることを待っていたら、そこに出口はないんだ。 自分を救いたいと心から叫んだ時、腹の底から何か熱いものが湧き上がってくるのを感じた。 そのこみ上げるなにかを私はただただ信じて、ここまで来た。 〜インド物語 カミュの日記より〜 長野の田舎で一般家庭に生まれ育った私は 20歳でフリーターとして上

          第1話 時間を外して生きる。リシケシの祈りの音色。