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止まらずに、下を向く 【文字をめぐる日常 vol.01】

路上で文字探しをしていると、街で出会う「この文字はヤバい」と思う純粋な気持ちから段々とレアでマニアックな文字に執心してくる。文字探しは宝探し。グーグルマップを開いてアーケードと飲み屋街の位置をまず確認して、県庁がある程度の街だとよく見つかって…でも大体はそんな簡単には見つからずトボトボと家路に着く。下を向くと、あの文字がある。

レア度ゼロの路上文字

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「止まれ」という道路表示は法で定められた寸法と運用をされ、全国津々浦々の道路に設けられて日夜道路の安全を守っている。あって当たり前、無いと文字通り困るものだ。ただ路上の文字としてのレア度は限りなくゼロに近い。脳にはこの造形を見て面白がるより止まって注意するモーションがインストールされてしまった。

山のような「止まれ」に出会う

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たまたま近所で山のような「止まれ」を見つけたとき、道路標示で長く額面通りに受け取っていたこの文字の面白さに気づいた。お前、オプションパーツ付ける事で輝くタイプだったのか。山の様に見える形は区画線によって擬似狭さくさせ、信号のない交差点への流入車両に対し速度抑制するものだそうだ。

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山型に見えるこの区画線の処理は交差点へ進入する場合だけ現れるアナモルフォーシス(ある角度から見る事で成立するデザイン技法)なので、交差点側からだと実はそこまで山には見えない。これが近所なのに今まで見つけられなかった原因だ。

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他の擬似狭さくをまとった止まれ。区画線の間の幅を広く取ってあり、ネガティブスペースの形が生まれていない。この道路自体が緩くカーブしており、止まれも垂直に組まれていなかった。

自転車乗りのお供も連れる

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都内ではお馴染みの自転車ナビマークと止まれ。近い、近すぎる。止まれの文字間に対してあまりにも近いのでもはやそういう仲にしか見えない。観察しているとどうやら止まれの道路表示のマージンはまちまちの様だ。(法的に決まっていそうだけど)

すれ違う二人

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両端に交差点のある小さな道ですれ違う二人。一方通行ではないので両想いなのだろうか。停止線も効果的に効いていてこのままTシャツにしてしまいたいぐらいだ。道路標識は運用によって時折バグみたいな表示になっているのが面白い。

停止線の残響

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道路標識の文字は徐々に消えてゆく。そして新しく太々とした白い文字に生まれ変わる。その直前のか細い声のような、文字と認識できる最後の姿に切なさを禁じ得ない。

下を向いて歩こう

全く同じ文字にオプショナルパーツが付く事で一気に面白さが生まれた「止まれ」。今後は道路に溢れているからこそ生まれるバリエーションの楽しさについて発見していこうと思う。

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たまにこんなに混み合ってる道にも遭遇する


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