シンニホン

日本を恥ずかしい国から脱却させよう ー『シン・ニホン』を読んで ー

はじめに
『シン・ニホン AI×データ時代における日本の再生と人材育成』をここ数日何度も興奮して読み倒した。全社員に読んでもらうに頼み、周りに推薦しまくっている。未だに興奮状態にあり、こういう状態で文章を書くと散らかりがちな自覚がありながらも、熱量が高いうちに感想を書き残しておきたいと思う。

ひとことで言うと「エモい!」
安宅さんの『シン・ニホン』。光栄なことに何度も、いくつものバージョンでご本人のプレゼンを拝見したことがある。安宅さんとご一緒しているDS協会スキル定義委員の会合では、委員長である安宅さんの様々な「仕掛け」のアップデートから始まることが少なくない。そのためスキル定義委員のメンバーは、最も数多く「シン・ニホン」に触れた日本人では無いかと思う。私もその1人だ。今回それが書籍となり、全体像がつかめ、解決策を明確に確認できたことに心から喜んでいる。この心情を表す的確な語彙が自分に無いことが悔やまれるが、この言葉で叫び切ってしまいたい。「エモい!」安宅さんの魂の燃焼が伝わって来た、そう思う。

『シン・ニホン』概要
本書には歴史的な革新期である現状の説明に始まり、日本の勝ち筋、必要な人材・スキルセット、そのために必要な具体的な打ち手(リソース配分)の提示。それらが全て明確なエビデンスと共に示されている。それらを見て、自分なりにの仮説が思い浮かぶが、すぐに次の文章でそれが論じられている。考えつくされたものであることがよく分かる。私達はこれからどうするのか? 「シン・ニホン」にはそれが書いてある。可視化された図表はとてもシンプルなのだが、メッセージが一発で伝わるものになっていて感嘆ものだ。さらには書籍では詳細に説明が加わっているので、読者は安宅さんが伝えようとすることが理解できないはずがない。

女性×データサイエンス
私はいま女性×データサイエンスをキーとした企業をを経営している。独りで起業したが、2020年3月時点で社員はすべて女性だ。自ずと集まったら女性だったというだけだが、集まり始めた頃から女性特有の課題があることに気づき「私はこの課題を解決するためにこの数年の自分を使い倒そう」と思うようになった。そんな頃に出会ったのがWiDS(Women in Data Science)*1の活動だ。そして、この活動の日本国内での拡散を始めた頃、安宅さんに言われてたいへん驚き、そして勇気づけられた言葉がある。

「菅さん、男子を蹴散らすつもりでやりなさい! 男子はだまって見てろ、そのくらいの情熱でないと変わらないよ!」*2

衝撃だった。WiDSの取り組み始めてすぐに「女性だけって逆に差別じゃないの?Womanと冠するのを取りなさいよ」と顔を訝しめた「じゃまオバ」が出現したくらいなので、実は「女性」を言い切ることの風当たりは強い。

実は私も「女性だから」「男性だから」の切り口で語るのが苦手だ。生物としての違いはもちろんあることはわかっているが、いわゆるジェンダーギャップは感じたことがなかったからだ。性別など関係なく好きなことをやればいいと常に思っているが、そう思えるのはこれまで本当にラッキーなことに性差別に遭っておらず、それは素晴らしい人達に囲まれていたからだと思う。そしてスタートアップ、過疎地育ちなど「いつもマイノリティ」、それが当たり前で対処方法を無意識に知っていたからかもしれない。

起業してから自分の裁量で外国へ渡航し情報収集する機会が増え、各国の取組内容やジェンダーギャップをはじめとするSDGsの取り組みを知り、私は感じたことが無かったのではなく「在ることに気づいて居なかった」無知な状態であったのだと気がついた。ジェンダーギャップについて知れば知るほど、知らなかった不都合な真実に絶望しそうになるが、気づけて心から良かったと思っている。

AIと倫理、AIと公平性についての議論が盛り上がっており、2019年のデータサイエンティストスキルチェックリストの刷新に際しても、このテーマの取り込みが若手メンバーから挙がり、リストに入れ込んだのをよく覚えている。しかし、私はこれを「身近に深刻なもの」として捉えきれていなかった。先のWiDS StanfordのカンファレンスのAI × Ethics のセッションやワークショップはいずれも衝撃的な体験だった。ジェンダーギャップ、多様性を認めないことは私達の生命の危機に直結する。これは、きちんと記録に残し発信していきたいと思う。そして女性のチカラを解き放つ、データ×AIを使って。

私がやること inspired by シン・ニホン
日本を恥ずかしい国から脱却させる。それが私の今後しばらくの目標だ。具体的には下記を柱としていきたい。

女性のチカラを解き放つ=AI×データ領域で活躍できる女性を増やす
これはRejouiのビジネスをひたむきに推進していく、それに尽きる。そして、これには昨年から明確に手応えを感じている。今まで出会わなかった人たちに出会い、議論する場ができてきた。解き放たれるのを待っている女性が沢山いる。私もそうだったのかもしれない。何故か。それは「出る杭は打たれる」からだ。つまり「じゃまオジ」「じゃまオバ」がかなり存在するのだ。
むしろ「じゃまオバ」を増やさない
かつての上司やいま一緒に様々なことをすすめるオジサマたちは、たいへんSmartだ。皆「どんどんやりない!」と背中を押してくれる。「じゃまオジ」になりたくないオジサマが増えているとも感じる。しかし時折先程のような「じゃまオバ」が現れて攻撃することがある。自分たちの通った道と同じやり方しか認めないというオバサンたちだ。女性特有の嫉妬心があるのかと思っているが、私は決してその人達のようにならない。そして後の世代にも「じゃまオバ」にならないよう働きかけていきたい。
次世代を育てる=母親を奮起させる
女性を解き放つにはもう少し時間がかかると思うが、逆に今の日本は子供に接するのは圧倒的に母親であるといえる。これを逆手に取り、母親たる方たちと「子供たちの未来」を一緒に仕掛けていきたい。実は「じゃまオバ」は女の子にとっては自分の母親だったりするときがある(私の母はそうでなくて心底ラッキーだ)。母親たる彼女たちのスキルやマインドが変われば、シン・ニホンは実現できる。

おわりに
上記以外にもデータサイエンティスト協会スキル定義委員を始めとして様々な活動、これからも心を燃やして取り組んでいきたい。表紙の日の丸を模した太陽と思しき黄色とオレンジは私が大好きな「日の出」。日出ずる国を実現していこう。

安宅さん、素晴らしい本をありがとうございます。新たに熱量を分けていただきました!!

*1 
WiDSはスタンフォード大学ICMEが中心となりデータサイエンス領域での活躍が期待される人材を育成し、奮起させ、この領域の助成を支援する活動。

*2
本当はもっと過激な表現だったが、ニュアンスはこんな感じ

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