見出し画像

令和の今、私が観たい古畑任三郎を考えてみた④

懲りずに第3シーズン。1話から7話まで。

有村架純「汚れたエプロン」研究者

独立行政法人の研究者として、神経細胞に関する新たな論説を発見したとし論文を発表。
高齢男性が圧倒的な母数を占める研究界において、若手女性研究者が新発見をしたということで世界から注目を集めた。
また、癒し系で家庭的な風貌を強調するかのようなエプロン姿での研究姿が話題を呼び、業界誌に止まらず多くの男性誌からもフィーチャーされ時代の寵児となる。
しかし、不倫相手であった上司(戸次重幸)との関係がもつれた挙句、自身の努力により獲得したと信じていた新発見への評価も、業界で権力を保持する不倫相手によって下駄をはかされていたに過ぎず、関係悪化によりその評価も一転失われそうになったため、細胞注射を用いて殺害する。

角田晃広(東京03)「焦りすぎた殺人者」ハウスメーカー営業
かつての小堺一機、風間杜夫、玉置浩二のごとく、ひたすらに古畑に追い詰められていく情けなくも同情したくなるような犯人を角田が好演。終始コミカルなテイストで進行していく。ハウスメーカーの営業課長として、途方もない営業目標を課せられている角田は、理不尽なパワハラを日常的に繰り広げる営業本部長(渡辺いっけい)を完璧なアリバイを作った上で殺害し完全犯罪を試みたが、同僚に殺害現場を見られたと勘違いしパニックとなり、モデルルーム内で当初の計画にない殺害を犯してしまう。まるで揶揄うようにカマをかける古畑と終始冷や汗をかいたような角田の情けなさの対比が見どころ。角田がCMキャラクターを務めるオープンハウス協賛のもと撮影されたが、まるで現実の風刺ではと住宅業界界隈で話題となる。

小池栄子「殺人テラピー」 エステサロン経営者
ヒルズ族として一躍時の人となったIT企業創業社長とセレブ婚後に離婚。そしてシングルマザーとなったが、莫大な慰謝料を元手に、エステサロン経営者となる。
元来の地頭の良さと恵まれた容姿を武器に、「強く美しい母・女性・経営者」として世の女性の羨望と支持を多く集めるが、セレブとなる前の小池を知るかつての悪友(熊田曜子)から揺すりをかけられ殺害。
社長室の中で白スーツに身を包む小池が古畑に放つ、「胸が大きいのに賢い、だなんて褒めているのではなく馬鹿にしてると思いません?胸が大きい事やセクシーさと、優秀さは関連しないでしょ。」という台詞が現実世界でも女性達の胸を打ち、小池は後に内閣府男女共同参画局の局員に抜擢されることとなった。

横浜流星 「殺人舞踊」大衆演劇劇団員
大衆演劇の劇団孔雀二代目。幼少期より舞台に立ち続け、天才女形として一般客は勿論、老若男女業界関係者を、その美貌と危うい色気で骨抜きにする。通称「麗し王子」
メインスポンサーでもある不動産会社の社長から肉体関係を強要され拒み続けてきたが、巨額のスポンサー契約打ち切りを提示され揉み合いとなるうちに殺害してしまう。
本来の振り付けが、変更されていた事で古畑に怪しまれる原因となった。
事件解決のキーワード: 着物の柄

広末涼子 「3470-8181」通信会社広報
大手電気通信企業の美人広報。
企業のイメージキャラクターである俳優(伊勢谷友介)が違法薬物使用疑いが懸念されたため契約解除を通知するが、実は伊勢谷は広末のかつての元彼であり、契約を解除するのであれば過去交際時に薬物を共に使った際の写真をばら撒くと脅されたため殺害。
殺害後広末は何事もなく新製品発表会に出席し、過去製品のポケベルを交えて商品アピールするが、その姿は90年代後期の彼女を知るアラフォー世代が歓喜した。
冒頭の古畑の台詞
「通信機器の発達は目覚ましいことでして、10年経てばあっという間に技術は様変わりするものです。伝書鳩に始まり、黒電話、無線電話、PHSなんてものもありました。平成では携帯電話、そして令和の世ではスマートフォンの爆発的な普及。平成初期にはポケベルなんてものもありまして…
"2 8 3 2 3 2 6"
この意味がわかる方は…きっと40代以上でしょう。」

金城武 「花様年華」カメラマン
アジアのスター・金城の約20年ぶりの日本作品への出演となり、日本だけでなく東アジア全域で放送前から大きな話題を呼び、時を経て熟成された麗しさを誇る金城の姿に世界が歓喜した一作。
香港出身のカメラマンであるヘンリー・キー(金城)はVOGUE JAPANのファッション撮影のため来日するが、かつて金城の両親を車で轢いた挙句逃げるように日本へ帰国した日本人の加害者を執念で見つけ出し殺害。
ファッション撮影の現場に何度も顔を出す古畑らに対し、「僕にファインダー越して見つめられた人達はたちまち身も心も裸になってしまうみたいです。古畑さんもカメラの前に立ってくださったら、古畑さんの心の内がわかるはずです。」と優しく囁く金城にほだされ、ポージングを繰り広げていく古畑が見もの。

鈴木亮平 「Bon voyage」総合商社駐在員
フランス駐在からの一時帰国として羽田国際空港の地を踏んだ鈴木であるが、そこには前回の帰任時に関係を持ち孕ませた東京オフィスの一般職社員(馬場ふみか)が待ち構えていた。子供を堕すように懇願する鈴木であったが相手は頑なに拒み、鈴木の妻へ白状すること迫ったため殺害。
羽田国際空港スカイラウンジ内だけで物語は展開。
高級スーツに身を包み、フランス語・英語・スペイン語を駆使しながら各国の文化や政治の蘊蓄を古畑に語る鈴木の姿は、一流企業のエリートというに相応しい大いなる説得力を与えた。
本来はフランス語を使うべき単語を、スペイン語を用いたことが古畑に怪しまれるきっかけとなった。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?