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Life is beautiful (b)

(年齢設定ご自由にversionです)


(女性)

私は今まで1人でがんばってきた。
去年体調を崩して寝込んだ時に、このまま死んじゃうのかな?とか色んなことを考えた。
絶対元気になったら、これからの人生は
新しいことにチャレンジして、後悔しないように生きたい…。

仕事と家の往復の毎日。
特にこれといった楽しみもない。

若い時は友達と旅行に行ったり
付き合ってくれる友達もいた。

でも、気がつくといつも1人が多くなってきた。

今年は旅行に行こう。

今の世の中は昔と違って、お一人様が流行っているから、1人旅は行きやすい。
街を見てると、割と1人で食事をしている人や旅行している人が多いし。

そうして、秋のシーズンの良い時に
休みを取って1週間の海外旅行に出掛けた。

1人もなかなかいい。
誰に気を使うこともなく、人のスケジュールに合わせることもない。
行きたい所も自分で自由に決められる。

この自由が、きっと手放せなくなるのかも。
知らないうちに、面倒くさいことが苦手な年齢になった。


(男性)

働きすぎかな…
オフィスから、夜景を見ていたら
何のために生きているのか、考えても答えの出ないことをふと考えてしまった。

これまで仕事が忙しすぎてどこにも行ってない。朝起きるのも年々辛くなってきた。

今回は休みを長く取り、海外旅行に行くことにした。

出張で海外はあるけれど、プライベートでは初めて。どこに行こうか?
仕事で訪れて、気に入った都市に行くことにした。

ノープランだ。

一人旅のいいところは、自由で気まま。


まずは、ホテルで少し休んでそれから散歩に出かけた。
夜の街は心地良い。柔らかな風が吹いている。

ここは日本人が割と少ない。

1人でぶらぶらしていると、日本人の女性を見かけた。珍しいな。
その女性も1人で歩いていた。

最近は、女性も1人で旅をするんだ。
時代は変わったな。

カジュアルなレストランに入った。ロブスターのビスクと、スパイスのきいたレモンチキンを頼んだ。この食事には軽めの赤かロゼが合いそうだ。今日は、きりっと冷えたロゼにしよう。


気分よく食事を終え、外の風に当たる。
歩いていたら少し酔いが醒めるだろう。

部屋に戻りホテルの窓から見える景色は最高だった。
古い町並み、見ているだけで日常から離れ
癒される。仕事で訪れたときは、この景色の美しさには気が付かなかった。日本に帰るのが嫌になってしまいそうだ。

今日は時差もあってか、ベッドの上に横になったら、いつの間にか眠ってしまった。


(女性)

次の日の朝。ゆっくりと起きて、遅めの朝食を軽く済ませ街並みを散歩する。

この街は日本人が少ない。
ちょっとドキドキはするけれど、でも日本人が少ないほうがいい。

ぶらぶら歩きながら、タイミングよく来た
ケーブルカーに飛び乗ってみた。

車内には日本人と思われる男性が1人座っていた。異国の地だからか、やはりつい目がいってしまうものだ。

男性の隣しか席が空いていなかったので
隣に座ることにした。


男性:「こんにちは、ひとり旅ですか?」

(女性:え、この人の声好きなタイプだ)

女性:「はい、そうなんです。ひとり旅ですか?」

男性:「ええ。いつこちらへ?」

女性:「私は昨日到着して、今日初めて街を散策してます。そちらは?」

男性:「僕も昨日です。昨日、お散歩されてるところをお見かけしました。この土地は日本人が少ないので珍しいなと思ったのですが、あなただったんですね」

女性:「え、昨日見られてたんですね。笑
なんだか海外で日本の方とお話しすると不思議な感じがしますね」

男性:「確かに(笑)お名前伺ってもいいですか?」

女性:「はい。〇〇です」(好きな名前で)

男性:「私は〇〇です」
「〇〇さんは、今回の旅の目的とかあるんですか?」

女性:「そうですね…旅をして知らない自分でも見つけられたら…それも楽しいかな?
旅することの素晴らしさって、自分を深く知ることもできますよね」

男性:「そうですね。また旅行中に出会った人たちから学ぶことも多いですね。たとえば、ローカルの人たちがお薦めするスポットや、文化的なことも含めて」

女性:「ええ。私も全く同じことを考えていました」(クスッと笑う)

男性:「今日良かったら、一緒にまわってみませんか?」

女性:「ご一緒しても良いんですか?」

男性:「ええ、一緒だともっと楽しく、良い思い出が出来そうですから」

女性:「ええ」

(男性か女性、どちらかが読む)

その日、〇〇が旅先で出会ったのは、声が好みの素敵な男性だった。最初はただ、旅先での話し相手として話をしていたが、数日過ごすうちに互いに惹かれ合っていった。


私達は旅行中、お互いの趣味や興味のあることを話していたら、共通点が多いことに気がついた。居心地が良い。

女性:「〇〇さん、スイーツにも目がないのね。ワインも詳しいけど、ソムリエなの?」

男性:「いや、ただ好きで飲んでいたら覚えただけだよ」

〇〇は旅先のことにも詳しく、任せていたら
毎日色んなところへ連れて行ってくれた。

女性:「土地のことも、歴史にも詳しいのね」

男性:「世界史が好きだったんだよ。世界史検定
持っててね」

女性:「すごい」



私達は話が合った。
興味のあることが似ていて、食の好みも…
一緒だった。

わからないことを沢山教えてくれる。
聞いていて楽しい。

たくさんワインを飲んで、久しぶりにいっぱい笑った。

日常から離れて、私の気持ちは舞い上がっていた。


日本に帰国する前日。
夜の湖畔でくつろいでいると、〇〇は〇〇に向き直って言った。

男性:「本当に素敵な旅だった。ありがとう」

女性:「こちらこそ、私も楽しかったです。
ありがとう」


旅先での恋愛は、ストレートで面倒なことが
省かれる。相手の気持ちを確認したり、探りを入れる必要もない。

ただフィーリングが合えば一緒にいて
合わなければそれまで。

会話や、空間、時間を楽しめばいい。

心地よければそれで良い。


男性:「本当に、〇〇さんありがとう。あなたに出会えたことで、旅がもっと素晴らしいものになりました。お元気で」

女性:「ええ、私も今回の旅で、〇〇さんに出会えたことが、私にとってのプレゼントかな。体に気をつけて…」



明るく挨拶したあと、なんとなく別れのハグを交わした。初めて体温を感じ、離れがたくなった。

だがどちらともなく、すっと離れ…
私たちはオトナのさよならをした。


離れなければ、そのまま流されてしまいそうだった。
そうすれば、この先の人生は違う景色が見えるだろう。
でも、一瞬の思いに身を任せられるほど若くは
ない。
自分を変える勇気もない。


ふたり、背を向けてそれぞれの場所へ歩きだした。振り向いてはいけない。


出会う運命の人ならば、またいつかどこかで
出会うだろう…。



f i n


お読みいただきありがとうございました。二次創作以外の作品を、初めて投稿させていただきました。

朗読はご自由に。読まれる際は、TwitterのDM等でご連絡いただけるとありがたいです。
よろしくお願いします。


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