松倉海斗ソロコン「まちゅパラ」を3年越しに振り返る
2023年11月14日、Travis Japanの松倉海斗が26歳の誕生日を迎えた。
彼の誕生日にかこつけて、この記事で3年前に配信ライブという形で開催された、彼のソロコンサートについて振り返ってみる。私にとってもこれは、松倉担になるきっかけでもある思い出深い配信だった。
なお、既に長い月日が経って記憶も薄れているため、記事に書いたステージ上の演出や言動は大体こんなニュアンスだったという視点で読んでいただければ幸いだ。
コンサート概要
配信日時
2020年8月8日 12時/15時/18時
出演者
松倉海斗
少年忍者(50音順)
ヴァサイェガ渉
織山尚大
川﨑皇輝
北川拓実
黒田光輝
アニメのような幕開け
松倉海斗の高らかな歌声による幕開けは、さながらアニメのOPを見ているようだった。披露したのは以下の2曲。
LIFE~目の前の向こうへ~ / 関ジャ二∞
自分のために / TOKIO
どちらも夢追い人への応援歌という要素があって、この後展開されるストーリーともピッタリだった。「自分のために」を歌い終えると舞台は暗転し、謎のストーリーテラーな声が問いかける。
「お前の夢は何だ」
それに答える松倉の声が流れる。「僕は表現者になりたい」
若きショーマンの日常と挫折
再び松倉が少年忍者の5人と登場。ブロードウェイで観るショーのような3曲を続けて披露した。
夢のHollywood / Travis Japan
Secret Code / KinKi Kids
Street Blues / 関ジャ二∞
「夢ハリ」は当時何度も聞いていた曲だったが、これをいつもの7人ではなく松倉と少年忍者の5人で歌うのがなんとも新鮮だった。普段は中村海人が歌う「明日は無い覚悟して今日を生きよう」のパートを少年忍者の5人に歌わせたのは、何かの含みを感じた。
続く「Secret Code」は「これこれ!こういう曲をやる松倉を見たかった!」と全私が歓喜に包まれた。金管楽器のサウンドが効いている前奏は「夢ハリ」と親和性がありつつも味変といった趣があって、松倉の持ち味を活かした格好よさがあって最高だった。
で、この盛り上がりから一転、静かで落ち着いた「Street Blues」に移行するこの展開がたまらない。「Travis 幼稚園 Japan」と呼ばれるようなグループに所属する松倉が見せる大人っぽい一面はギャップの塊でしかなく「こういう曲も似合うんだ」と只々驚いた。しかもこの曲、関ジャ二∞のシングル「応答セヨ」のカップリング曲というのがなかなか渋いチョイスだ。あまり知られていない隠れ名曲を発掘するセンスも評価したい。
ここまでの3曲、私には、とある若きショーマンがステージで歌い踊る様子と解釈した。その後展開される場面は、ステージを終えて帰宅した若者が物思いにふける様子にも見えた。
そこでまず披露したのがこの曲。
pure / 作詞作曲:松倉海斗
そう、松倉海斗のオリジナル曲だ。この曲は元々2018年にYouTubeの企画で作成されたものだ。当時はサビしかなかったが、後日2019年のサマパラで初めてフルバージョンを披露した経緯がある。
※2:49から
「松倉海斗の理想の生き方」というモットーで作った歌詞は、至極真っ当で普遍的な内容だが、人生に迷いが生じた時には忘れがちなことである。これまでの流れを経てこの曲を歌ったことで、松倉海斗演じる主人公のひたむきさもより伝わってくる気がした。
歌が終わると再び謎のストーリーテラーが語りかける。
「お前の行く道は果てしなく険しいぞ」
不穏なナレーションによる導入とともに歌ったのは、堂本剛がパニック障害を題材にして作ったこの曲。
Panic Disorder / 堂本剛
歌い終わって後奏が流れる中、舞台上で松倉が倒れたところでステージは暗転。あまりに痛々しい内容のこの曲で表現したのは、主人公の身に心が折れるほどの困難が襲い掛かった様を表しているのだろう。それは一体何なのか。コロナ渦という時代背景が故の苦しみか、それとも一年前の8.8で味わったライバルに先を越される悔しさか。2023年の今もし「まちゅパラ」を見返すことができたら、事務所の解体的出直しという危機と重なるかもしれない。いずれにしろ、もがき苦しむ様をパフォーマンスで表現する松倉を見ていると、視聴者の私まで胸がつぶれる思いになった。
続いて少年忍者の5人だけで一曲披露。
NEVERLAND / NEWS
これは後日行われた少年忍者の単独ライブでも披露された曲だったが、嵐の前触れを思わせる空気感漂うパフォーマンスで、ここまでの流れをぶった切ることなくストーリーに溶け込んでいた。さながら松倉演じる主人公の試練はまだまだ続くといったところか。
やがて曲が終わりかけたころ、謎の不審者ローラースケートを履いた松倉が旗を持って戻って来た。
トンチキタイムもとい夏歌メドレー
「お前ら!夏といえばローラースケートだろ!」
へ?!どうした松倉?
さっきまでの重苦しい空気から一転、このステージの主役が突拍子もないことを言い出した。当然少年忍者の5人も困惑している。「後輩を困らせるなよ」と思った私の心を読んだのか、松倉は画面の向こうのファンに問いかける。
「なあ皆!夏と言えば何だ!」
いや、少なくともローラースケートではないと思うよ…?という私の意見は無視され「ほらローラースケートって言ってんじゃん!」という茶番が展開され、少年忍者の5人もローラーを履く羽目に。そしてローラーといえば光GENJIという安直な考えで次のメドレーと進んだ。曲順は以下の通り。
パラダイス銀河 / 光GENJI
ジェットコースター・ロマンス / KinKi Kids
Ho! サマー / タッキー&翼
初見時は完全に困惑するだけだった一連の流れだが「ああ、これがいわゆるトンチキってやつか」と、どうにか自分を納得させた。それにしても慣れというのは怖いもので、3回目の配信では松倉の問いに「はい!夏と言えばローラースケートです!」と洗脳された答える自分がいた。
仲間の力と過去の振り返り
メドレー後はMCや衣装替えを挟んで小休止。オレンジのアロハシャツに着替えた松倉がこう言った。
「あー、俺一人じゃ不安だな…。ねえ、誰か助っ人来てくれない?」
するとまさかのストーリーテラーがこう答えた。
「OK!いいよ!」
そんな軽いキャラだったんかアンタ。すると松倉、ある人物たちがいることに気づく。
「あ、あれは…。Travis Japanだ!!!!!!」
その視線の先にはトラジャの他のメンバー…ではなくその顔写真をお面代わりにした少年忍者の5人が立っていた。配役は以下の通り。
川島如恵留→ヴァサイェガ渉
吉澤閑也→織山尚大
七五三掛龍也→川﨑皇輝
松田元太→黒田光輝
宮近海斗と中村海人→北川拓実の一人二役
川島とヴァサイェガは共にアクロバットが得意だったり、黒田は元太担を自称するなど、何となく共通点がありそうな配役だったが、唯一余り物を押しつけられた感のある北川拓実が何とも美味しい役どころだった。少年忍者の衣装も松倉同様、演じる先輩のイメージカラーをしたアロハを着ていたのだが、北川だけは半分赤で半分緑の特別仕様だった。彼らと一緒に披露したのがこの曲。
Kis-My-Calling / Kis-My-Ft2
原曲はキスマイのメンバー紹介ソングのため、歌詞はTravis Japanに合わせて一部アレンジされていた。ちなみにこの曲、2019年のサマパラでもメンバー7人で披露しており、当時のレポによると衣装も同じくアロハだったとか。
※参考映像
その後MCを挟んで披露したのがこの曲。
秘密 / 二宮和也
これはかつて松倉がTravis Japanに加入する以前、とあるコンサートで歌った思い出深い曲とのこと。その時バックについていたのも少年忍者の5人だったとか。
続く2曲は(確か)松倉一人でギターの弾き語り。(記憶が確かではないので違ったらごめんなさい)
手と手 / 松倉海斗
街 / 堂本剛
「手と手」は松倉海斗が作詞作曲したオリジナル曲で、コロナ渦という当時の世相を反映した、直接会えないファンに宛てたメッセージソング。後の2021年に開催された全国ツアー「IMAGE NATION」では他のメンバー6人と一緒に2番を披露。その内容は、やっとファンと同じ空間でライブをできる喜びに溢れていた。
※4:34から1番サビのみ
続く「街」は、楽曲を作った堂本剛曰く「故郷から新しい土地へと向かう自分を想い、新しい土地から故郷の自分を想う」歌とのこと。過去の自分を振り返り立ち上がろうとするこの歌は先ほどの「Panic Disorder」と対になるような内容だ。ちなみにこの歌、松倉がステイホーム期間中に自宅でカバーする動画もある。
「Kis-My-Calling」から「街」までの流れは、松倉演じる主人公には頼れる仲間がいること、そして彼が歩んできた道を振り返り、それは間違いじゃなかったと噛みしめているようにも見えた。
再び歩き出す若者とストーリーテラーの正体
少年忍者と一緒に2曲続けて披露。
Time / KinKi Kids
Finally Over / A.B.C-Z
「Time」でじわじわと温度を上げて「Finally Over」で立ち上がるのに必要なエネルギーチャージが完了したという流れだろうか。「Finally Over」では北川拓実と一緒に歌うパートがあったのだが、松倉に負けじと北川の歌もいい味をしていた。歌に定評のある松倉と一緒に歌う経験は、北川にとってもいい糧になったことだろう。こうして先輩から後輩へと継承される何かがあるというのは、この事務所が紡いできた長い歴史を物語っているようで個人的にも印象に残るシーンだった。
曲が終わり暗転すると再び謎のストーリーテラーの声。
「辛い困難に直面しているが、彼は絶対にそれを乗り越えられる。なぜならストーリーテラーであるこの私は、未来の彼自身なのだから」
その正体を知った時、そういう視点で物語を進めていたのかと戦慄した。松倉演じる主人公の苦悩は、デビューはおろか対面でのコンサートもできない当時の状況も相まって本人と重なって見えたのだが、その状況を「絶対に乗り越えられる」と断言する未来の彼の何と頼もしいことか。
もう一つ、このストーリーテラーがどれほど先の未来にいるのか沢山の解釈ができるのも面白い。主人公が直面した困難の内容によっては「8.8の1年後である今の松倉」とも取れるし「デビューを果たした近い未来の松倉」や「コロナ渦から日常が戻ってきて、対面でファンと会える状況になった松倉」とも「とても濃密な20代を振り返る3、40年後の松倉」なんてとらえ方もできる。
白い衣装を着て再び出てきた松倉が物語のフィナーレに歌ったのがこの曲。
星をめざして / NEWS
ストーリーのラストを飾るこの曲の歌詞は、もはや「まちゅパラ」のために書かれたのではと思うような内容で、配信当日はもう涙が止まらなかった。既に起きてしまったことを悔いても仕方がない。夢とか、なりたい自分を「星」に例え、それを目指して再び歩き出す自分をどうか見守っていてほしい。そんな松倉の決意を感じるようなフィナーレだった。だがコンサートはもう少しだけ続きがある。
エピローグ
再び少年忍者の5人が登場し、一緒に2曲披露。
エナジーソング~絶好調超!!!!~ / 嵐
Summer Paradise / ジャニーズJr.
これらはさながら映画のエンドロールといったところか。ストーリーがしんみりするラストだっただけに、最後は笑顔で締めたい意図を感じる選曲が何とも松倉の人柄を表していて私は好きだ。
少年忍者の出番はここまで。今回のコンサートがきっかけで彼らのことも好きになった私は、たまにYouTubeを見る程度に彼らのことを追い始め、今では「まちゅパラ」に出ていなかった他のメンバーの顔と名前も一致するほどになった。こうして考えると、先輩のバックについて顔を売る行為は、安定した世代交代もできるよく出来たシステムだなと感心した。
最後に松倉からの挨拶があって、ラストの一曲を残すのみとなった。この流れは他のメンバーのソロコンと同じ。
Together Now / Travis Japan
※参考映像は後日行われたグループ単独の配信ライブより
一人でラスサビ直前まで歌うと、別撮りの映像で他6人のメンバーが歌う様子が差し込まれるラスサビに突入していく。「まちゅパラ」以前に開催された他のメンバーのソロコンでその演出を初めて見た時は本当に鳥肌が立ったし、これがきっかけで平日開催の「げんパラ」「しめパラ」「しずパラ」もどうにか都合をつけて観たほどだ。毎回各メンバーのソロコンの締めにこの演出がなされることで「まちゅパラ」への期待もどんどん上がり、本番当日は最高の心構えで視聴できた。
歌い終わると映像合成した他の6人は消え、再び松倉一人だけに。ステージからはけた後、画面いっぱいに松倉からの手書きメッセージが映し出された。
総評
2023年の今「まちゅパラ」振り返ると、ストーリーテラーの言ったことは本当だったんだとつくづく実感する。去年の3月にTravis Japanがアメリカに留学すると宣言した時は、正直言って暫くデビューは無理かもしれないと覚悟したが、彼らはたった8ヶ月ほどでそれを成し遂げた。今年に入ってからは事務所のブランドが大きく揺らぐ出来事があったが、他社のアーティストと共演するなど、その実力で着実に多くの人に認められ、先日はD.U.N.Kという外部フェスへの参戦も決まった。
私にとっても「まちゅパラ」は単に松倉海斗を推すきっかけに留まらず、Travis Japanならきっと大丈夫と信じられる確固たる信念にもなったような気がする。本番の映像をフルで見返すことができないのは何とも残念だが、今でも本公演のセトリをもとに作ったプレイリストを再生しては、あの日ステージに思いを馳せている。
改めて松倉海斗へ、
誕生日おめでとう!!!!!!!
※本番の舞台裏は18:01から
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?