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白衣のエクソシストたち

 東京都・絶対匿名さんからの手紙を基にしています。

 S子さんは入った大学の、心霊研究会に入部しました。

 ある日その部室で、交霊会が行われました。みんなで円形の3本足の小さなテーブルを囲んで椅子に座る、そしてみんなでテーブルのふちをしっかりと両手で掴む。手を放してはいけない。そして霊を呼ぶ言葉をとなえるのです。   

 この時突然地震が起こりました。S子さんは思わずテーブルから手を放してしまいました。そしてテーブルの下に首を突っ込んで両手で頭を保護しました。この時S子さんに霊が憑依しました。S子さんは錯乱状態になり意味の分からない言語を言いながら首を激しくぶんぶんと振るあるいは床にあを向けに倒れて手足をばたばたさせる。ほかの部員たちはどうしょうもなく救急車を呼びました。それでS子さんは私の勤務する✖✖病院に緊急入院したのです。

 後で大学の職員たちが心霊研究会の部員たちに聞いたところでは、その時別に地震は感じなかったとみんな言います。よくある話です・・・。

 (S子さんが救急車に搬入されるときに、黒いスーツを着てサングラスを掛けた男が一人同乗したそうです。そしてその男が✖✖病院に行くように言ったのだそうです)

 「S子さんはまだ保護室かね」 

 「はい。ディルームに行くと他の患者さんの、狂った念波を吸収して苦しくて堪らないと言って自分から保護室に入りたがるのです」

 「念波ねえ・・・。で彼女の両親は何と言っているのだ」

 「多忙で病院に来れないそうです。電話では、とにかくすぐに治して欲しい。S子さんには本人には言ってないが親同士の決めた許嫁がいて結婚にさしさわることは早く解決して欲しい、ということです。父親は政府高官で、治療費はいくらでも出すと言っています」

 「政府高官!親同士の決めた許嫁!まったく連中はいまだに武家社会のままか!」

 「ええ、公務員は世襲制ですから・・・」

 「それですぐにわれわれにを指名できたということか・・・連中はこの世の裏も表も知っているし目的のためには手段を選ばないからなあ」

「どうします?」

, 「ふんだくるだけふんだくってやるさ!」


 こうしてこの病院でS子さんは開頭手術を受けることになります。

 人間の脳には霊を感じる部位があります。その部位を摘出すればもう霊は感じない。

 つまり、『治る』のです。 

 この手術は困難で危険なものです。この手術ができる医師は日本では一人だけです。この病院にしかいません。医師を支える医療スタッフも私たちしかいません。日本ではこの手術は✖✖病院でしかできないのです。

✖✖病院は個人経営の精神病院です。この病院では健康保険は受け付けません。全額自費払いです。ただし金持ちからはうんと医療費を請求します。貧乏人はただで入院させます。

 このような性格の病院ですから、✖✖病院の存在を知る人はあまりいません。何処にあるかも大部分の人はわかりません。

 私も✖✖病院の正式な病院名は言えません。所在だって言えません。

 ではなぜこのようなことを書いたか。 

 学生が興味半分で交霊会なんてするものではありません。

 彼らがテーブルを使ってやったことは、テーブル・ターニングと云って、日本のコックリさんの原型です。

 うかつに霊などを呼んではいけません 

 テーブル・ターニングもコックリさんも禁止です。

 私たちだっていつまでもこの『仕事』を続ける気はありません。何かに取り憑かれた人たちの面倒を看ることには、もう、うんざりなんです。

 

 





 



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