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色んな配慮を求めるマークがある、つまり、色んな人がいるということ

先日話題になったツイートです。

エスカレーターの右側(関西なら左側)を空ける不文律があっても、右側に立てないと困る人がいる、というのは知っていましたが、マークを作って存在をアピールしなくてはならないということに考えさせられました。

そういえばこのマークを初めて知ったけど、こういう配慮を求めるマークって色々ありそう……というわけで、ちょっと調べてまとめてみたら意外とたくさんありました。

ずらっと並べてみたので見てみてください。
困っている当事者が身に着けたり提示するものに絞りました。


マタニティマーク

マタニティ

身に着けている人が妊娠していることを示すマークです。特に、つわりが辛いけれどお腹なかは目立たない妊娠初期の方が多くつけています。
「電車・バスで席を譲ってもらえると助かる」というだけでなく、万一倒れた場合や、事故に巻き込まれてしまった場合に適切な処置を受けるためのものでもあります。
2006年に厚生労働省が制定。サイトでデータをダウンロードして使えます。各自治体窓口、妊婦雑誌の付録などでも手に入ります。

ヘルプマーク

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義足や人工関節を使用している方、内部疾患や難病の方など、外見では分かりにくいけれど配慮や援助を必要としている方が身に着けています。
東京都の発行なので、首都圏で見かけることが多いです。タグが大きめなので、近視でも分かりやすくいいと思います。
2012年、都営大江戸線での掲示を皮切りに使われるようになりました。
東京都福祉保健局障害者施策推進部計画課が管理しています。ヘルプマークの趣旨に合致すれば作成・活用することが認められています(ガイドライン参照)。
都営地下鉄・バス・各路線の駅や営業所、東京都心身障害者福祉センター、都立病院、公益財団法人東京都保健医療公社の病院、東京都内外の自治体窓口等で対象者に配布しています。

ハートプラスマーク

ハートプラス

心臓疾患などの内部障害・内臓疾患があることを示しています。辛さが外見からはわからないため、そのような方の存在を視覚的に示し、理解と協力を広げるために2003年に作られました。
特定非営利活動法人ハート・プラスの会にてデータを配布しており、必要な人はカード等を自作します。

エスカレーターマナーアップ

エスカレーター

このnoteのきっかけとなったマークもあらためてご紹介します。
エスカレーターの片側空けの不文律に従えない理由があることを訴えるものです。
残念ながらマークの正式な名前はわかりませんでした。普及前にこの問題が解決してくれれば一番なのですが、わかりやすい名前、あったほうがいいと思います。
公益社団法人東京と理学療法士協会エスカレーターマナーアップ推進委員会のサイトで申請して入手できます。

見えない障害バッジ

見えない障害リボン

難病、内部疾患、発達障がいなど、見えない障がいを持つ方のためのバッジです。かわいい!
画像は左側にハートがついている当事者用です。障がいのない人のためのハートのついていない啓発用のバッジもあります。
2010年の秋、Twitterで「見えない障がい」をあらわすバッジがあればいいのにという機運が盛り上がり、2011年に試作品ができました。Twitterを知り合った有志のみで運営・配布されているます(すごい!)。
わたしのフクシ。でひとつ350円+送料で不定期販売。

耳マーク

耳マーク

身に着けて耳が不自由であることを示したり、施設等が聴覚障がい者への配慮をしていることを表します。耳に音が入ってくる様子を矢印で示し、一心に聞き取ろうとする姿を表したものです。
1975年名古屋市にて制定されました。社団法人全日本難聴者・中途失聴者団体連合会が管理しています。

手話マーク・筆談マーク

手話

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窓口等に掲示することで手話や筆談対応ができることを示し、障がいのある方などが提示すると手話や筆談対応を求めていることを示します。
一般財団法人全日本ろうあ連盟のサイトよりダウンロードして使います。

見えない障がいバッジ スマイルハート

スマイルハート

自閉症は発達障がいなど、外からは分かりにくい苦手や障がいのために困っている子供たちのためのマークです。「優しい心で暖かく見守ってほしい」「純粋な心」の、二つの意味が込められています。
栃木県小山市発行。希望者に福祉課の窓口で配布しています。

聴覚障害者標識(聴覚障害者マーク)、身体障害者標識(身体障害者マーク)

最後に自動車の運転時に表示するマークをご紹介します。運転者がどんな人かは車の外からは分かりにくく、ほとんどの障がいや配慮の必要な事柄は見えなくなってしまいます。
どちらも警視庁・警察署の管轄。運転免許試験場内の売店で販売しています。

聴覚障害者標識(聴覚障害者マーク)

聴覚障碍者標識 車

政令で定める程度の聴覚障害のあることを理由に運転免許に条件を付された方が車に表示するマークです。表示しない場合、道路交通法違反になります。
やむを得ない場合を除き、このマークをつけた車に幅寄せや割り込みを行った場合には、道路交通法違反となります。

身体障害者標識(身体障害者マーク)

身体障碍者標識 車

肢体不自由であることを理由に運転免許に条件を付された方が車に表示するマークです。やむを得ない場合を除き、このマークをつけた車に幅寄せや割り込みを行った場合には、道路交通法違反となります。
普通自動車を運転することができる免許を受けた人で、肢体不自由であることを理由に当該免許に条件を付されている人です。表示は努力義務です。

最後に マークが多いということは

けっこうずらずらと挙げましたが、まだまだたくさんあると思います。
正直、マーク多すぎてわかりにくい。誰か(政府とか)まとめるべきです。

マークを並べて気が付いたのは、周りからは分かりづらい障がいを抱えて困っている人が多いということです。

それを歩いているとき、立ち止まっているとき、座っているとき、人に会うときすれ違うとき、常に周りに自分というものを伝えなくてはならないというのは大変なことだと思います。

目の前にいる人は自分とは違う人で、自分とは違う事情を抱えている、とみんなが思い至れるようになれば(私も含めて)、これほどたくさんのマークが作られることはなかったでしょう。
色んな所で色んな人ががまんできなくなるということは無かったでしょう。

一方で、色んな人が色んなところで、それぞれの主張をできる社会になったということでもあります。
聴覚障がいは他の障がいに先駆けてマークを作ってきたようですが、他のマークはほとんど2000年代に作られたようでした。そこが時代の転換点だったのではないでしょうか。

マークの多さは多様性の時代に入った象徴であると同時に、社会が混沌としていることも示しています。

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