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看護師のケアの意味を、伝えるためのEBN(Evidenced Based Nursing)

EBN=evidenced based nursing
根拠に基づく看護ケア、という意味だ。
EBM=evidenced based medicine
という、根拠に基づく医療の必要性が言われて久しい。
初めは医学において注目されてきたが、1990年代から、社会福祉やヘルスケアの専門分野でも必要性が言われてきた。
病院、地域、企業、さまざまな領域で活躍する看護師も、“根拠に基づく”ケアが求められているという。

**でも、“根拠がある”とは何だろうか。
そもそも、看護師が、何かケアをするときの根拠、とは何だろうか。 **

●『看護師さんって、患者さんの身の回りのお世話でしょう?病院での癒しの存在だよね』
●『笑顔でお話を聞いてくれたり、優しくしてくれるイメージ』
●『いろんなことに気づいてくれて、医師に相談してくれたりとか、よくカンファレンスとかしてるよね』

看護師になります、というと、医療関係ではない人から、このように言われたことがある。

私は数年間どっぷりと看護に浸かってきて、
看護師の行うケアには意味と、目的と、目的に向けた計画があると学んできているけれど、
一般的に、看護師の行うケアに“看護目標”をたてている、とか、観察計画、実施計画、教育計画をたてている、とか
評価する指標をもって、評価し、展開しているなどの、具体的なイメージはないのかもしれない。
例えば、転倒転落防止、とか、手術に前向きは気持ちになる、も目標である。
でも、そんな具体的なイメージがないのは、当たり前かもしれなくて、私も建設現場の方がどんなふうに計画をたてて実施しているか、とか、飲食店のシステムはどうなっているのか、とか、ほかの仕事については、何も知らない。

じゃあ、看護ケアの根拠とは、なにか。
上の、看護師さんへのイメージを、
看護師のケアの意味、そこに根拠がある必要性に置き換えてみると

●『身の回りの世話をすることによって、患者の気持ち、身体状況の、何が、具体的に、どのように変わるのか』
●『どのように話を聞くことによって、患者から必要な情報を得たり、ニーズを把握して、より良い治療につなげられるか』
●『カンファレンスは、どのタイミングで、どんな進行で行うことで、事故を防止できるか』

と、表せると思う。

漫然と看護をしているわけではない。
ただ、日々の忙しい仕事の中で、なぜそのケアが良かったのか、ほかの人もその良いケアをするにはどうしたらいいのか、どうしてそのケアが良いのか、といった
ケアの意味や必要性=根拠、を
「良い看護ができてよかった」で終わらせず、
研究や経験知として、情報をまとめ、
その情報を必要とする看護実践者が、
より良いケアを行えるように情報を提供する方法の一つが、EBNといえるかもしれない

具体的に、EBNについて、本の記述をもとに、
①EBNの定義
②Evidenced based nursingという言葉から、連想しにくい本質
③看護領域で、EBNの発展を妨げる障壁
について、まとめてみたいと思う。

①EBNの定義
EBN は、
研究によって、明らかにされた知識

現場で実践する人が、身につけた知識や技術

ケアをする個々の患者のニーズや考え
の、3つが統合したものといわれる。
(1997年、2000年Sackettら)
実践は絶えず見直され、この患者に対して、
より良い方法はないかと問われるべきであり、
そのときに、入手可能な最善の研究結果を、看護師たちの“意思決定プロセス”に用いることが目的である。

②Evidenced based nursingという言葉から、連想しにくい本質
エビデンスと、いうと研究結果のイメージがあるが、個々の現場で実践者が得てきた方法、工夫もエビデンスである。
それに加え、それぞれの患者さんの個別性もしっかり考慮した上で、
この研究のこの結果は、この場面において、この患者さんとの関わりに生かせる、という判断をして実践するのが、EBNだ

だから、研究者だけいても成り立たない。

③看護領域で、EBNの発展を妨げる障壁
**EBNは必要だ、と散々書いてみたけれど、いきなり明日から看護の現場でやりましょう!と言って、できるものではないのも事実だ。
自分に置き換えてみたとしても、日々の業務で忙しいなか、「患者さんのケアの個別性に合わせて、最新の研究結果を探してきて、使えるものを見つけて、実践してみて」といわれても、何もできる気はしない。 **

看護ケアの特徴や、実際にケアをする現場の人の視点から、EBNの発展を妨げる障壁を考えてみると
・ケアに『これが絶対!良い!』はない
・これまでの現場で慣れた方法や伝統が、くつがえされる不安
・日々増え続ける研究に、忙しい看護師がアクセスするのは大変
・研究結果を正しく読み解く、知識や手段を身につける場が現場にほとんどない

治療に限らず、看護の分野でも研究は日々積み重ねられ、新しい発見もある。
ただ、忙しい現場の実践者が、最先端のケアの知識の山にアクセスし、そのなかで必要な、質の高い知識を得ようとするのは難しい。
研究にもさまざまな種類があり、研究方法によっても結果の解釈、もたらされるものは違うため、研究の知識がまず必要になる。
研究について知らなければ、「私の病棟での研究結果じゃないし」と、ただただ行われ生かされない研究になってしまう。

だから、看護の組織のなかで、EBNを進めるための、体制をつくる必要があるかもしれない。
日本の看護領域において、大学の研究、教育、現場の連携の乖離は、いつも懸念されている課題ともいえるから、
看護の大学と現場が、連携して、体制作りをすることも、できるかもしれない。

私のクセで、まとめようとするあまり
情報を少なくまとめられず羅列してしまう。
EBNについても、思うことが多くて、結局長い文になってしまった。

ただ、タイトルにした『看護師のケアの意味を、伝えるためのEBN』で改めてまとめれば、
✿︎なぜこのケアが、この患者に必要か、を示す根拠となる
✿︎現場で行われているより良いケアが、情報として広まり、多くの現場で生かされる

ということに尽きると思う。

机上の空論に終わらないEBNのあり方は
これから看護の分野で注目される分野であると思う。

参考文献
チェンジ・プラクティス 看護をかえるEBN
編著者 Jean V Craig, Rosalind L Smith
監訳 斎尾武郎 2003年初版

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