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産科理学療法士のひとりごと

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まだまだ少ない「産婦人科でのリハビリ」を担当している理学療法士が綴る頭の中。
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【産婦人科のリハビリ日記】理学療法士という認知度の低さ

このnoteを始めた頃には まだ産婦人科に介入する理学療法士が全然いなかったものの この数年で全国的にすごくたくさん増えてきたな〜って思います。 それでも、まだまだ「理学療法士」という職業の認知度は低く 何をする人なのか?というのが 一般の方のみならず 産婦人科内でも認知されていないというのを感じます。 同じように産婦人科の中で頑張ってる理学療法士さんから お悩みのDMなども時々いただくので 私の考え方もシェアしていけたらと思います。 ⬛︎リハビリテーション科という環境

【産科PTの臨床から】産後に腹横筋収縮を体感してもらうためのアプローチのポイント

産前産後の身体的変化は色々ありますが、ごく簡潔に言うと、 胎児の成長に伴って ●インナーユニットを構成するものがそれぞれ負荷を受ける ●重心位置が前下方に変化することで姿勢戦略が変わる 産後の体のケアをするにあたって 私がまず最初に学んだのがこのインナーユニットの変化でしたし この分野に入って10年近い今でもずっと向き合い悩み続けているのがここです。 ⬛︎インナーユニットが難しい理由が、インナーユニットの難しい点です。 インナーユニットが使えている状態にするのは、 腹

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【産婦人科のリハビリ日記】#30. 帝王切開の後の起き上がりが大変

クリニックでの理学療法士の介入はまだまだ少なくて 「えっ!?産婦人科に理学療法士さんがいるんですね!?」と 驚かれることも時々あります。 理学療法士として産婦人科にいてよかったなと思ったことの一つが 帝王切開の産後の方のフォローをしたとき。 ●産婦人科は「基本的には動ける」対象者さん元々理学療法士として病院に勤務していた頃は、どちらかというと「どう見ても動作が困難な方」が対象でした。 でも、産婦人科って(特に私の場合はクリニックなので、産婦人科の中でもリスクが低めの方ばか

【産婦人科のリハビリ日記】#29.インナーユニットの大切さを伝える

産婦人科で入院中の産後の方のところを回らせてもらっていたり、外来で産前産後の体のケアをさせてもらったりしています。 トラブルがある方は評価をした上で、必要なことを行うといういわゆる理学療法の対応をしています。が、中には特にトラブル的なものがない方もみえます。 じゃあそのままでいいかというとそういうわけではなく、産前産後に特有なのは、インナーユニットのエクササイズや再教育が必須な部分なので、ここをお伝えするようなことも合わせて行なっています。 インナーユニットのことを妊産婦

理学療法士と整体師は何が違うの?

産婦人科でリハビリ外来していても 「整体行った方がいいですか?骨盤矯正した方がいいですか?」っていうのは本当によく聞かれます。 これって、一般の方からしてみたら、理学療法も整体も接骨院での骨盤矯正も違いがよくわからないっていうことですよね。 とはいえ、私自身もここちゃんと言語化できていなかったんじゃないかと思ったので、少し理学療法士の特性とか得意なことを掘り下げて考えることで、その違いを自分なりに言葉にしてみようと思います。 ■理学療法士の特徴とは自分の言葉に置き換えて

Canvaで編集可能!産前産後リハカルテ テンプレート

産前産後のケアをする方向けにカルテのテンプレートを作りました! ■こんな方に基本フレームは産婦人科に関わるPTさん向けに作っていますが、 民間セラピストさんや整体業の方にも使っていただけます。 Canvaというデザインアプリで編集できる形にしてありますので ご自身でカスタマイズしながら使ってください。 ※編集にはCanvaのアカウントが必要になります(無料)。 編集なしでそのまま使いたい方もみえるかと思い、ダウンロードしてすぐに使えるPDFバージョンも一緒に入っています

【産婦人科のリハビリ日記】#28. PTとして産婦人科にいてよかったと思ったこと

産婦人科のクリニックで、産前産後リハビリの外来・入院中のケア・マザークラスでの講和・妊婦さん向けのインナーマッスルエクササイズなどを担当させていただくお仕事をしています。 PT1人で入っているからなのか、「私ちゃんとこのクリニックの役に立ててるかなぁ?」って不安になることがよくあるんですが、対応させてもらった患者さんによっては って思うこともありましたので、今回はPTとして産婦人科に存在していてよかったと思ったことをまとめてみます。 ■痛みを言語化してあげられる骨盤の神

【臨床】骨盤痛の妊産婦さんに多い整形外科の既往とは

産前産後に腰痛とか恥骨痛など 骨盤周辺のトラブルがあると 大体「妊娠中のホルモンの影響で骨盤が緩んだから」で 片付けられがちですが 実際にはそれは引き金でしかないよな〜と 思うことが臨床では多々あります。 ●靭帯が緩むのが原因なら全員がトラブル妊娠中の靭帯の弛緩は生理的な変化なので もれなく全員に起こる変化ですが それが原因で骨盤に痛みが出るのであれば 全員に痛みがあるはずなんですよね。 でもそうじゃないのは、 それ以外に原因になるものがあるからですよね。 それを「個

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切迫早産での長期安静による筋力低下。痛みもメンタル低下も起こる。

切迫流早産での長期安静を経験されたことがある方、パートナーの方がそうだった、という方もたくさんいらっしゃると思います。 切迫早産に限らず、長期で安静にしていた方って、若かろうがなんだろうが廃用による筋力低下が本当にすごくて、人によっては / 立つと自分が地面に突き刺さりそう \ って表現される方も見えるし / 宇宙から帰ってきたみたい… 体がずどーーんと重くて 体を前に倒したら起こせなくなるほど \ と言われるほどの方も見えます。 PTなら、なんとなく「廃用による筋

産前産後の理学療法って何ができるの?

産前産後の時期の方に理学療法士は何ができるの? っていうのを、 たぶん一般的な病院や施設の理学療法士さんたちも あんまり知らないのかも...と思ったので 今日は徹底的に産婦人科PTにできることや その専門性などをを書いてみたいと思います。 1. 産婦人科のリハビリで多く出会う訴え本当はグラフ化したものもあるんですが ちょっと勝手に出してはいけないと思うので 多いものだけ羅列すると... パッと見はやっぱり骨盤周囲が多いかなっていうのも あるのかもしれませんが 基本的には

【産婦人科のリハビリ日記】#26. 産後の尾骨痛と骨盤のアライメント

あいかわらず産婦人科でリハビリしていても 「整体はどういうところに行ったらいいですか?」 「骨盤矯正は行かないとまずいですか?」と聞かれます。 みんな不安を抱えながら どこに行ったらいいのかわからず 迷っているんだなぁと思うと 情報発信ってやっぱり大事だなってますます感じる昨今です。 ■産後の尾骨痛の方が多い臨床の不思議なところなんですけど なんか同じような方がよく来るターンがあるんですよね。 これ、本当にただの偶然だと思うんですが すごくいつも不思議に感じています。

【産婦人科のリハビリ日記】#25. 骨盤矯正とか行った方がいいですか?

産婦人科の中でリハビリをしていても 本当に多く言われるのが / 私は骨盤矯正行ったほうがいいですか? \ ...そうか 一般の人にとっては 産婦人科の中で専門家にみてもらうことと 骨盤矯正は別物なのか... と改めて捉え方の違いを感じています。 なんでだろう? そもそも一般の方にとっての 骨盤矯正とはどんなイメージで 産婦人科のリハビリとはどんなイメージなんだろう? と思って TwitterとInstagramで聞いてみました。 ■Instagramで骨盤矯正の認

【産婦人科のリハビリ日記】#24. 骨盤ベルトで骨盤ケアはできる?

骨盤ベルトはしていた方がいいのか? していなくてもいいのか? というのはよく妊婦さんやママさんからの ご質問でもあるんですが、 割と他職種の方からも よくご質問を受ける内容でもあったりします。 骨盤ベルトってなんだか 産後の万能な道具的に使われていたりしないだろうか? 痛みを取ってくれて 骨盤を戻してくれて 子宮の位置をどうにかしてくれて みたいに思っている方が結構多い印象ですが 私の中での骨盤ベルトは ●積み上げて倒れそうになったブロックを 「ちょっと外から持って

【産婦人科のリハビリ日記】#23. 産前産後の尿もれの悩みに対応できる場所が少ない

妊娠中や産後の尿もれのお悩みって すごく多いのに 専門的に評価して対応できる場所は すごく少ない現状。 しかも、どこで誰が見てくれるのかが よくわからなくて繋がれない現状。 そこで迷子になってる女性も たくさんいるような気がしています。 産婦人科の中でのリハビリは その多くが「痛み」への対応なんですが もう一つ大きなキーワードになっているのが 「尿もれ」です。 今は「骨盤底筋」っていうワードが そんなに珍しいものじゃなくなって YouTubeとかにも骨盤底筋エクササイ