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産科理学療法士のひとりごと

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まだまだ少ない「産婦人科でのリハビリ」を担当している理学療法士が綴る頭の中。
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#ウィメンズヘルス

【産婦人科のリハビリ日記】#30. 帝王切開の後の起き上がりが大変

クリニックでの理学療法士の介入はまだまだ少なくて 「えっ!?産婦人科に理学療法士さんがいるんですね!?」と 驚かれることも時々あります。 理学療法士として産婦人科にいてよかったなと思ったことの一つが 帝王切開の産後の方のフォローをしたとき。 ●産婦人科は「基本的には動ける」対象者さん元々理学療法士として病院に勤務していた頃は、どちらかというと「どう見ても動作が困難な方」が対象でした。 でも、産婦人科って(特に私の場合はクリニックなので、産婦人科の中でもリスクが低めの方ばか

【産婦人科のリハビリ日記】#29.インナーユニットの大切さを伝える

産婦人科で入院中の産後の方のところを回らせてもらっていたり、外来で産前産後の体のケアをさせてもらったりしています。 トラブルがある方は評価をした上で、必要なことを行うといういわゆる理学療法の対応をしています。が、中には特にトラブル的なものがない方もみえます。 じゃあそのままでいいかというとそういうわけではなく、産前産後に特有なのは、インナーユニットのエクササイズや再教育が必須な部分なので、ここをお伝えするようなことも合わせて行なっています。 インナーユニットのことを妊産婦

切迫早産での長期安静による筋力低下。痛みもメンタル低下も起こる。

切迫流早産での長期安静を経験されたことがある方、パートナーの方がそうだった、という方もたくさんいらっしゃると思います。 切迫早産に限らず、長期で安静にしていた方って、若かろうがなんだろうが廃用による筋力低下が本当にすごくて、人によっては / 立つと自分が地面に突き刺さりそう \ って表現される方も見えるし / 宇宙から帰ってきたみたい… 体がずどーーんと重くて 体を前に倒したら起こせなくなるほど \ と言われるほどの方も見えます。 PTなら、なんとなく「廃用による筋

産前産後の理学療法って何ができるの?

産前産後の時期の方に理学療法士は何ができるの? っていうのを、 たぶん一般的な病院や施設の理学療法士さんたちも あんまり知らないのかも...と思ったので 今日は徹底的に産婦人科PTにできることや その専門性などをを書いてみたいと思います。 1. 産婦人科のリハビリで多く出会う訴え本当はグラフ化したものもあるんですが ちょっと勝手に出してはいけないと思うので 多いものだけ羅列すると... パッと見はやっぱり骨盤周囲が多いかなっていうのも あるのかもしれませんが 基本的には

【産婦人科のリハビリ日記】#26. 産後の尾骨痛と骨盤のアライメント

あいかわらず産婦人科でリハビリしていても 「整体はどういうところに行ったらいいですか?」 「骨盤矯正は行かないとまずいですか?」と聞かれます。 みんな不安を抱えながら どこに行ったらいいのかわからず 迷っているんだなぁと思うと 情報発信ってやっぱり大事だなってますます感じる昨今です。 ■産後の尾骨痛の方が多い臨床の不思議なところなんですけど なんか同じような方がよく来るターンがあるんですよね。 これ、本当にただの偶然だと思うんですが すごくいつも不思議に感じています。

【産婦人科のリハビリ日記】#24. 骨盤ベルトで骨盤ケアはできる?

骨盤ベルトはしていた方がいいのか? していなくてもいいのか? というのはよく妊婦さんやママさんからの ご質問でもあるんですが、 割と他職種の方からも よくご質問を受ける内容でもあったりします。 骨盤ベルトってなんだか 産後の万能な道具的に使われていたりしないだろうか? 痛みを取ってくれて 骨盤を戻してくれて 子宮の位置をどうにかしてくれて みたいに思っている方が結構多い印象ですが 私の中での骨盤ベルトは ●積み上げて倒れそうになったブロックを 「ちょっと外から持って

【産婦人科のリハビリ日記】#23. 産前産後の尿もれの悩みに対応できる場所が少ない

妊娠中や産後の尿もれのお悩みって すごく多いのに 専門的に評価して対応できる場所は すごく少ない現状。 しかも、どこで誰が見てくれるのかが よくわからなくて繋がれない現状。 そこで迷子になってる女性も たくさんいるような気がしています。 産婦人科の中でのリハビリは その多くが「痛み」への対応なんですが もう一つ大きなキーワードになっているのが 「尿もれ」です。 今は「骨盤底筋」っていうワードが そんなに珍しいものじゃなくなって YouTubeとかにも骨盤底筋エクササイ

【産婦人科のリハビリ日記】#22. 切迫早産で入院した方の産後

産婦人科の中にいて なかなかもどかしいと感じるのは 切迫早産で長期入院後の方の リハビリを担当した時。 / こうなる前に 何かもっとできたんじゃないか? \ ってなっちゃうんですよね。 ■ごく一般的な女性にも起こり得る「廃用」理学療法士的にみたら どう考えても「廃用」なんですよね。 筋力が低下するのはもちろんなんですが 関節の動きにもやっぱり影響がある。 私、なんとなく廃用って もう少し高齢の方とか もっともっと長期で入院が必要な 重篤な疾患の方だとかに起こるものっ

【産婦人科PTの体験談】私の妊娠中〜産後0日目の評価と産後リハビリ

産前産後ママ界隈ではSNSやブログでの 出産レポってたくさんありますよね。 今回はそれのPTバージョンという感じで 産前産後理学療法を学んだ後に 第二子を妊娠・出産した 私の妊娠中〜産後0日目を お伝えしたいと思います。 妊娠中のエピソードと妊娠中の評価は無料ですので 参考にしていただけたらと思います。 1. 妊娠中の様子(エピソード)第一子とは3歳違いなので 妊娠中はどっぷり魔の2歳児。 お腹が大きくなってきた頃は ちょうど初夏で気候も良かったので 私のウォーキング

有料
880

【産婦人科のリハビリ日記】#21. エクササイズしたくても痛みでできない

単体の産婦人科クリニックは スタジオが併設されているところが多く、 医師の許可が出ている妊婦さんや産後のママが プログラムを受けることができたりしますよね。 私もクリニックで2人出産しているので そんなプログラムの案内がありましたが 結局1人目の妊娠中にヨガを一度受けたのみです。 腰が痛くてできない姿勢が多かったから... 産後に至っては 仙腸関節痛と尿もれで 有酸素運動はとてもできませんでした... ■運動するために整える産前産後の運動は 妊娠糖尿病・帝王切開・器械

【産婦人科のリハビリ日記】#20. 抱っこは産後のADL

産前産後の特徴的な部分としては 「妊娠中〜産後の解剖生理学的な変化」が すごく大きいと思うんですが 理学療法士的な目線で考えた時、 私は個人的に産後特有のADLとして ●授乳 ●抱っこ がすごく特徴的だなと感じています。 産後の生活の大部分を 上記の2つが占めていますよね。 ■産後すぐの体にとっての負担出産したら急に抱っこが日常になってくるけど 体はまだ全然日常ではなくて 抗重力位で自分の体をニュートラルに保つことさえ 大変な状態でもあるんですよね... そこに3

【産婦人科のリハビリ日記】#19. 妊産婦さんには「リハビリ」という言葉は馴染みがない

「産前産後リハビリ」と言う名称で 産婦人科の中に入らせてもらっているんですが 産後の患者さんからは と結構な割合で聞かれます。 「リハビリ」と言う言葉は 妊産婦さんには全く馴染みがないようです。 最初はママたちからのその言葉に 「いや、私ここにいるんだけどな...」って かなり戸惑っていましたが、 もう1年もやっていると 対応もできるようになってくるもので... と、 「骨盤矯正」とは何なのか? と言う部分を簡単にお伝えすると... と安心していただけることが増えま

【産婦人科のリハビリ日記】#18. 骨盤に対する不安を持つ人が多い

前回の記事でも少し触れましたが 産褥期のママさんの中には 「産後の骨盤の状態」に不安を持つ方が 多い印象があります。 そこに対して 「骨盤のこの先の変化をお伝えする」 ということで安心してもらうことが多いのですが どんな感じでお話ししていますか? というご質問をいただいたので 少し触れてみたいと思います。 ■本当は何を知りたいと思ってるのか?褥婦さんからよく聞かれるのは ●私の骨盤は大丈夫ですか? ●骨盤ベルトはした方がいいですか? ●ガードルはした方がいいですか?

【産婦人科のリハビリ日記】#17. 産褥期のベッドサイドに関わる

実は1ヶ月ほど前から 外来リハビリだけではなくて 病棟での介入も始まりました。 対象者さんは産褥期。 ベッドサイドをまわっています。 ■予防のためにベッドサイドの目的の一つは予防だと思っています。 産後の大仕事はやっぱり授乳なんですが、 胸の痛みと戦いながらだったり 赤ちゃんの睡眠欲との戦いだったりして 授乳に集中するあまり 座位姿勢は ・骨盤後傾 ・胸椎後弯 ・肩甲骨外転 ・頸部を過度に屈曲 「産後、なんか肩や首が痛くて...」 が今のところお悩み第一位となってい