ビジネス知識と_家庭やりくりの知恵__2_

どうやってPTが産婦人科に入ったの?PT人生の急展開。産婦人科リハビリへの道

【2020.1.5 追記】「10章:結局、何が大事だったのか?」

自己紹介的な記事を全く書いてないので、のらりくらりと10年ほどサラリーマンPTをしていた私が、どうして産婦人科で働けることになったのかを書いてみようかと思います。

1.ぬるま湯に浸かってた10年

新卒で入職して10年ほど、ずっと同じところで働いていました。

目の前の患者さまに対しては、もちろん真剣に向き合ってました。
患者さんのために勉強ももちろんしていました。

ただ、それ以上に何かしたいとか、理学療法士として夢があるとか、上に行きたいとか?資格取るとか?そういう目標みたいなのは全く!全く!なくて、本っ当〜〜〜〜にのらりくらり。

今、目の前のことだけ精一杯やってさえいたら、それで毎月お給料がもらえるし、ボーナスは出るし、ほとんど毎日定時で帰れる所だったので、自分の時間も持てるし...
って楽しく10年過ごしちゃった。という理学療法士でした。
同僚と仲が悪かったわけでもないし、それなりに居心地よかったんですよね。


まさにぬるま湯。

ここにこのままずっといたら、ダメになりそう...とは
心のどっかで思ってました。でも、環境を変えるというのは私にとっての一大事で、年を追うごとに大変になるという感覚があって、ダメになりそうと思ってはいたものの、そこに踏み出す程のモチベーションもなかったので、何か動き出すことも特にしていませんでした。

ぬるま湯にどっぷり浸かっていましたね。


2.出産という転機

出産したら色々体が変でした。
骨盤はふわふわして歩きにくいし、仙腸関節は痛いし、尿もれもする。

でも出産でそんなことになるなんて誰も教えてくれなかったし、なんでそんなことになるのか、どうしたらいいのかもよくわかりませんでした。


産後は骨盤をどうにかしに行くってみんな言ってたな...
整体って何するんだろ?
整体とかしても、尿もれはよくならないよな...

いや...
ん?????

ん????


私、理学療法士なのに、なんで整体に行こうとしているんだ?整体行くくらいなら自分でなんとかできるんじゃないの?なんで私、妊娠中のことも産後の体のこともわからないんだ?

そういえば、なんで理学療法士って産婦人科の勉強しないんだろう?

産科理学療法っていう診療点数がないからかな...
だから学生時代から産婦人科に関わることは全くなかったのか...

と諸々思考を巡らせていました。


10年間、理学療法士として当たり前の様に働いてきたけど、よくよく考えたら、私が勤めてたところは産婦人科もない病院だったので、そんなことは全く頭にも浮かんだことがありませんでした。


ん?じゃあ産婦人科もある大きな病院だったら理学療法士は産婦人科とも関わることはあるんだろうか????

と思って調べたのがきっかけでした。



結果的には、大きな病院でも産婦人科の理学療法をしている例は当時見つけられなかったのですが、フリーランスとして、産前産後のケアをしている理学療法士さんが関東にほんの数名だけみえました。


あっ!!やっぱり同じことを思うPTさんがいるんだ!

この人の話が聞きたい!!!!


とそこからウィメンズヘルスの世界にどっぷり入りました。
2014年の秋のことです。


当時、今みたいに勉強会はありませんでした。
まーーーーーーーったくありませんでした。
それなら、開催されてる場所でそのタイミングで勉強するしかない!!
と、まだ9ヶ月だった長男と一緒に新幹線に乗って子連れで東京まで勉強をしに行ったことを今でも覚えています。


3.目標が出来た

理学療法士なんて体力のいる仕事、私何才までやるんだろ?
と、のらりくらりとやってた10年。

まるで「目標」なんてなくて、ただただ、目の前にくる患者さんと毎日を過ごすだけの日々でした。


でも、出産して自分がトラブルに見舞われたことで、産婦人科の分野での理学療法の可能性にちょっと目が行きはじめ、勉強を重ねれば重ねるほど、

「なんでこの分野で理学療法が出来ないんだ」

という思いに変わっていきました。


いつしか、それは
「産婦人科の中で理学療法を提供することで、妊産婦さんの役に立ちたい」
という大きな目標になったんです。


4.サロン経営という新境地

どこかの産婦人科でいきなり雇ってもらうなんていうことはまずあり得ないというのは、色々調べて行く中でわかったので、勉強したことをもとに、産後のケアサロンという整体の形からスタートしました。

そこで、いかに自分がぬるま湯に浸かっていたかを思い知ります...

やりまーす!って言ったら人が来るわけじゃない。
人は来てくれても、私が提供しているサービスが、本当に料金に見合ったものなのかという自信が持てない。

私が今までもらっていた給料は、
本当に私がしていたことに見合ってたんだろうか??????


初めて感じました。
「お金をもらう」つまり「対価を得る」ということの重み。


毎月決まった額のお金を得ていた日々には、
「働いた対価を得る」という本来の給与の意味なんて感じたことなかった気がするんです。

目の前のクライアントさまから、お金を支払ってもらうということが、こんなにも畏れ多いことだとは...

もっと勉強してもっとできることを増やして、私に出会えてよかったって思ってもらえる私にならなきゃ!!

目の色を変えて勉強をはじめました。


5.人の縁がつながる

病院を出てからはともかくいろんな活動をしました。
・サロンの経営
・イベント出店
・カルチャーセンター講師
・市民活動団体さんでのママ向け講座の講師
・専門職向けウィメンズヘルスセミナー団体の企画運営

いろんな活動をしながら勉強を重ね、SNSやブログで発信もしていくうちに、地域の起業家さんや、ウィメンズヘルスの理学療法士さんとのつながりができて行きました。

いろんな所で「私はこんなことがしたいんだ」という目標のようなことを話す機会が増えていくと、だんだんご縁は繋がるものなんだなぁって今になって思います。それはどういうことかというと...


2016年から一緒に活動をしている女性のフリーランスPTさんがいるんですが、彼女に「母親教室で理学療法士が話す」っていう企画書を作って行っていきなり見せたことがありました。
いろんな産婦人科と今後つながりを持つのに、いきなり個別リハビリじゃなくて、まずはこういう提案をしたらどうだろうかって。


かなさん、これいいじゃないですか!!!


と好反応だったので、
これをどう産婦人科に持って行こうかなぁと思っていた時....



かなさん!私のお客さまに産婦人科の先生がいます!
お茶することになったのでご一緒しませんか!?
例の企画書、ご意見いただけないかと思っています!!!


神!!!!!



6.理学療法士に出来る事を伝える

母親教室で、理学療法士として、
体の使い方やADLや簡単なエクササイズなどを伝えるのはどうか?
と言う提案をまとめた企画書をその産婦人科の先生にみてもらいプレゼンしました。

カフェで。。。


うん。これ、うちのクリニックに話してみようか?
多分、いいって言うよ。

ご意見をいただこうと思ってたつもりが、この時に、お勤めのクリニックに話してくださるという話にまで発展しました。



筋筋膜性の疼痛ってわかってても、それを治すのは医者も助産師もできないんだよね。理学療法士さんの方がその辺プロだから、絶対いいと思う。
まずは母親教室から入って、徐々に押していこう!
いずれ産婦人科で個別でやりたいんでしょ?
わかった!まずは第一歩目からね!


!!!!!!!!!!!

涙出そうでした。



7.クリニックでプレゼン

その産科医さんが間を取り持ってくださって、プレゼンのお時間をいただけました。

妊産婦さんのために、理学療法士としてこんなお話が出来るといいなと思うんです。と言う感じで母親教室に介入したい旨をお話させてもらい、産科の先生も立ち会いながら、フォローをしてくださいました。

正直、先生のフォローが本当にありがたく、その場で「とにかく一度やってみましょう」と言う話に。


今となっても
「近藤さんは●●先生が連れてきた人」
「近藤さんは●●先生の一押し」
と言われるほど、やはり医師が連れてきたと言うのはとても大きいんだと感じずにはいられません。

ご縁!!!!!


8.個別の理学療法立ち上げへ

母親教室で理学療法士として講話をする事1年。
教室のあと、痛みのある方は個別に相談に乗らせてもらうことはありましたが、5分10分の中で出来ることは限られていました。

ただ、徐々にその人数が増えていき、最終的には6人待ちとかになって、5分ずつ相談受けても30分も待たせてしまう事もあったりしました。


そんなある日...

母親教室中、講話の順番を待ってるクリニックのスタッフさん(経営者さん)の肩や首を触らせていただく機会があって、リリースしてあげたんですよね。

すると...


これ、妊婦さんたちにやってもらえない?
肩こりや腰痛の人いっぱいいるし・・・



きた!!!!!!!!!

これを逃すまい!!!!


とここからは猛アピールです。

私実は "アメリカ理学療法士協会認定の産前産後理学療法" と言う講座を終了しているんですけど... とその辺りもしっかりアピールしながら、妊婦さんにもこういうこと注意しながらこういうのができます。こんな感じはどうですか?と思ってたことをベラベラベラ〜!!!!っと...



ちょっと!今時間ある?
みんなに話すわ!決めましょう!!


母親教室終わったその足で、ミーティングになりました。



9.チャンスは一瞬

この時に「え、でも私じゃ。。。」って言ってしまってたらそれまでだったんだと思うんですよね。

●目標を持つ
●誰のために何がしたいかを明確にする
●自分の知識と技術を磨く
●いろんなところでやりたい事を話しておく
●相手を理解する信頼する
●チャンスが来たら一気に掴む
●与えられた場所で毎回全力を尽くす

私がここまでに学んだ事です。
なんとなくだらだら〜としてきた10年が嘘のようですが、目標を持ってからはいろんなものが一気に加速しました。私の行動も加速してるからかもしれません。


ただ、目標って達成されちゃうと、なんか燃え尽き症候群みたいになっちゃうんですよね。笑
だから、私は常に次の目標を立てるようにしています。


今は
住んでいる地域で産婦人科理学療法を広めたい。
病院内で介入できる場所を増やしたい。

と思って頑張っています。
こういう想いを持ち続けて頑張っていくことが、世の中の役に立つことに繋がるのかなって思ってます。もがき続けながら前に進むのも結構楽しいです。


10. 結局、何が大事だったのか?

たしかに、1人の産婦人科医の先生との出会いが、大きな大きな一歩であったことは間違いありません。

ただ、後日談ですが、


カナちゃんは本当に理学療法というものが好きで、"患者さんのために"勉強をし続けている人なんだなというのがすごいわかったから、この人なら(紹介しても)大丈夫だろうなと思った

ということを言われました。

●正しく専門的に学べる場を探すこと
●一人一人のクライアントさんの所見を丁寧に取ること
●その中で学びを得続けること

そういう部分を大切にしてきたことが、次の「経験」のチャンスに繋がったんだなと今となっては思います。

クリニックの経営者さんから信頼を得られたのは、APTAのセミナーを受けて専門的に勉強したと言う旨を話した時でした。

■APTAのセミナーとは...
APTA(アメリカ理学療法士協会)認定の女性医学コース
日本男女理学療法医学会がコーディネート・主催・運営をされており、
「産前産後理学療法」と「骨盤底理学療法」がある。


そんな専門的な勉強してたのね!?
すごい付加価値じゃない!

と言っていただけたことが、リハビリ外来への流れに大きくつながりました。


日本のこの分野では理学療法はまだまだエビデンスもないので、クリニックにとっても、理学療法士が「妊婦さんや産後の人にリハビリしたい」と言ったとしても信頼していいものかどうなのか、確かに謎ですよね。

どうやって自分の理学療法を信頼してもらうのか?

今はまだまだそんなフェーズかもしれません...

私がそこに対してしてきたのは、

1回の臨床でも結果を出せるようにする
●産婦人科の知識を得て
●他職種と共通言語で話ができる様になる

その形跡を、先生や経営者さんなど、出会った方に認めてもらえて今があるんじゃないかなって思ってます。出会いそのものももちろん大切だけど、そこに至るまでの過程があったからこそチャンスにできたのかなと言うのも感じました。

これらは今でもまだまだ続けていて、
一人一人の症例さんに対して、毎回情報をまとめて1人反省会をしたり、理学療法だけでなく精神科や助産師さんの論文雑誌も取り寄せて勉強したり、出来るだけソースのしっかりした勉強会を選んで参加したり...

この先に出会う妊産婦さんのために、歩みを止めない様、これからも歩き続けていきたいと思います。


\これまでの活動の軌跡や経歴/


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