内橋可奈子

1983年生まれ。あかるいことををちらほらと。俳句・雑感。

20190522 躑躅(つつじ)

粗筋も曖昧皐月躑躅吸う

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恋人の家の近くにはラブホテルがあって、その屋上の庭になっているようなところから、縁から垂れ下がるほどに躑躅が咲いている。1年前、わたしたちが付き合い始めて間もない頃に、躑躅はちょうど満開だった。

「あの躑躅が見える部屋に、入ってみたいんだよなあ」彼はそう言って、わざといやらしい笑みを浮かべて、わたしの顔を見た。「泊まらなくてもいいし、休憩だけでも」わたしもちょ

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20190510 甘い

地団駄を踏んで躑躅を甘くする

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女の子が、わたしの首に腕を回して、ぎゅっ、と後ろから抱きついてきた。いつものわたしなら、そういうことは受け入れずに、それとなく離すようにしている。

みんなはもう小学生で、必要以上に密着するコミュニケーションとは別の方法も、覚えていったほうがいいと思っている。それに何より、わたし自身がちょっと戸惑いを感じてしまうから、できるだけ離れる。ひとがひとと接すると

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20190507 伸びる

伸びている皮膚に天道虫が来る

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今日は大型連休が明けて1日目だけれど、わたしの働く小学校は、代休日となっている。小学校の学童保育は、朝から夕方まで開所している。

学童保育で先生として働くわたしは、いつもよりなんだかテンションの低いこどもたちを、とくべつ盛り立てることもないかと思い、のんびり過ごしていた。

会話もいつもよりぼんやりしている。ある男の子とも、お互いあんまり話題がなくて、昨

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20190506 令和

抓られて笑って泣いて平成過ぐ

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時代が変わるその時、わたしはだいすきなひととお布団にくるまっていた。恋人はわたしじゃなくて、「令和まであと何時間何分」みたいなカウントダウンをするテレビ番組をずっと見ている。わたしはそんなの見たくなくって、そんなのに興味を示している彼に背中を向けて、ずいぶんと見慣れた天井をじっと見ている。

わたしはそうして興味がないふりをしながらも、みんなが特別だと言っ

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「生活のたのしみ展」をたのしむわたし その2 HARIBOのまるごとグミのお店

わたしがたのしむ、というようなことをタイトルに入れたのになんだけど。一緒に行った母があまりにも楽しそうだったので、母がたのしんだたのしみ展、レポートにちょっと変えてみる。

母は熱心な「ドコノコ」ユーザーで、糸井さんの愛犬ブイヨンちゃん、ブイコちゃんの大ファン。糸井さんは母にとって、ブイちゃんとブイコちゃんのお父さん、なのだ。

「ドコノコ」をきっかけに、ほぼ日のことに興味が出てきたらしい。わたし

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「生活のたのしみ展」をたのしむわたし その1 『カレーの恩返しカレー』

ついにやってきました「生活のたのしみ展」という気持ちでいっぱいだ。

ほぼ日と糸井重里さんのファンであるわたしは、六本木、恵比寿と、開催を横目に見て、行けずにじりじりとしていた。大阪・阪急うめだで開催された時には、もう、スキップして行ったものだ(心の中だけでね、たぶん)。

丸の内で「生活のたのしみ展」が開催されると発表されて、わたしはすぐに、ぜったい行く、と決めた。はりきりやのわたし、また初日に

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