20190507 伸びる

伸びている皮膚に天道虫が来る

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今日は大型連休が明けて1日目だけれど、わたしの働く小学校は、代休日となっている。小学校の学童保育は、朝から夕方まで開所している。

学童保育で先生として働くわたしは、いつもよりなんだかテンションの低いこどもたちを、とくべつ盛り立てることもないかと思い、のんびり過ごしていた。

会話もいつもよりぼんやりしている。ある男の子とも、お互いあんまり話題がなくて、昨日の天気のはなしなんかをした。

「きのう、雨降ったよね」「うん、雷うるさかった」「わたしのうちで飼っているいぬが、雷のなるたびにわんわん鳴いていたよ」「何いぬ?」「ダックスフンドだよ」

「へえ。ねえ、ダックスフンドって、伸ばしたら、伸びる?」「……うーん、そんなには、伸びない」

「ふうん。いぬ飼うのって、お金かかる?」「そうだね、ごはん食べるし、病院にもいくし。すこしはかかるね」「そっかあ」

会話は、そこで途切れた。それからもわたしたちは特に頑張ってしゃべることをしなかった。わたしはそんな彼とのひとときがとても心地よく感じていて、きっと彼もそうだったと思う。

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