20190506 令和

抓られて笑って泣いて平成過ぐ

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時代が変わるその時、わたしはだいすきなひととお布団にくるまっていた。恋人はわたしじゃなくて、「令和まであと何時間何分」みたいなカウントダウンをするテレビ番組をずっと見ている。わたしはそんなの見たくなくって、そんなのに興味を示している彼に背中を向けて、ずいぶんと見慣れた天井をじっと見ている。

わたしはそうして興味がないふりをしながらも、みんなが特別だと言っているこの瞬間に、特別と思っているひとといられることに、実は、幸せを感じてしまっているのだ。しょうもないなあ、と思いながらも、わくわくしてしまっている。それを意地を張って、隠している。

あたたかいひとの背中を存分に感じながらひそかに願う。いい時代になりますように。


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