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「個性的なデザイン」の #大阪メトロ に質問したい5つの観点

2018年の年が暮れようとしていたある日、関西だけでなく日本をざわつかせるこんな記事が出た。

大阪メトロが万博開催までに完成を目指すという御堂筋線と中央線の駅のデザイン案。報じられてたちまち巷で話題になった、あの「個性的なデザイン」。

Twitterを眺めていると、「センスがない」「悪趣味」「元の地下鉄のクラッシックなデザインの施設を残した方が良い」など批判9割といった印象で、このデザイン画を書いたり推進した方の心中を察すると何ともいたたまれない気持ちにすらなる。

各駅を個性的なデザインで彩り、谷町四丁目駅は近くにある大阪城の金の茶室に見立てて、内装を金色に施す。梅田駅には、ホームに大画面のデジタルサイネージ(電子広告)を設置。ニュースなどの情報を多言語で表示し、世界とのつながりを感じられる駅にするという。河井英明社長は「地下鉄に乗ることが目的となる、にぎわい空間をつくる」と話した。
朝日新聞デジタル記事引用(https://www.asahi.com/articles/ASLDN5535LDNPLFA00F.html

ここからはわたしの推測だが、記事から読み取れる限りでは「移動をすることだけが目的になるのではなく、わざわざ乗りたくなる、行きたくなる空間づくり」を目指しているという意図があるように感じた。

ただ、本当に失礼承知でいうのだけれど、いわゆる「映え(ばえ)」を狙ってるだけなんではないかな、と思わざるを得ないデザイン案である。
果たしてこの案は生活者のことを考慮されているのか、そして、300億円かける価値のあるものなのか、その辺がとても疑問でしかない。

わたしがこのデザイン案を見て、諸々考慮がなされた上でのデザイン案なのか詳細が知りたいと率直に感じた観点を下記に記しておこうと思う。

<大阪メトロ内装改案の疑問点>
①必要な標識やサインの視認性は保たれるか?
②利用者の安全性、スムーズな動線作りは配慮されているか?
③そもそも最大の利用者である生活者の観点でデザインがなされているか?
④施設は竣工とともに劣化のスタートでもある。劣化しても見るに耐えうる作りを配慮できているか?
⑤費用を装飾的なものだけに投じるのではなく、誰もが利用しやすいバリアフリー化などに投じることを視野に入れた上での景観改善か?

以下よりひとつひとつ紐解いていく。
(あくまでもわたしが疑問に感じただけのことなので、きっとリリース前には鉄道のプロ達があらゆる観点からチェックや計画をしていると思うが、そこが見えてこなかったので、ぜひ知りたいなあと思った。)

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①必要な標識やサインの視認性は保たれるか?

特に、心斎橋駅の派手な色使いや、テキスタイル調の細かな柄をあしらった内装案や、他の駅の光源が天井に多く使用されるデザインを見ていて心配になった理由は、「標識や重要なサイン」がちゃんと認識できる配慮があるのか?ということ。
遠くからでも見つけやすく、見やすい必要がある標識や掲示板が見にくくなってしまわないかということが少し心配になった。

②利用者の安全性、スムーズな動線作りは配慮されているか?

また、地下鉄を「わざわざ来たい場所にする」という名目上、どうしても観光やアミューズメント施設的な側面を持たせるつもりのように思えるのだが、内装を見物したり、そこで写真を撮ったりする人が続出することで、本来の鉄道乗降以外の動きをする人が出てくるはずである。
その存在がスムーズで安全な利用を妨げるのではないか?と感じた。
ただでさえ、「駅構内でのポケモンGO的な位置情報を利用したゲームなどは危険を伴うので禁止」「ながらスマホはやめましょう」とアナウンスする鉄道もあるというのに、わざわざ利用者に鉄道の乗降以外の動作をさせるような仕掛けは、あまりいいアイデアだとは言えない。

③そもそも最大の利用者である生活者の観点でデザインがなされているか?

なんとなくだが、利用者自体を増やしたいという目的は、突き詰めて考えると収益構造を改善させるために利用者を増やしたいという意図があるような気がしているんだけれど、ただでさえ混雑する駅構内やホームに人をわざわざ集める案を考えなくてもよくない?と思ったし、駅は毎日利用する側からしてみれば、毎日過ごす家と同じような存在で、それが派手派手しい色や視界に入る情報量が多いことが果たして心地よく利用できるのだろうか?ということに疑問を感じている。

もし、利用者数を増やす目的ではなく、収益をあげたいという理由なら、駅構内、特にホームに降りる人を増やさずしてお金を稼ぐ方向性にシフトして考えてみてはどうか、と思ったし、そうした方が、生活利用者としても自分の導線を妨げる存在が増えずに済むのでありがたい。

④施設は竣工とともに劣化のスタートでもある。劣化しても見るに耐えうる作りを配慮できているか?

日本の歴史的建造物などは、彩色が施されているものも多いが、守られているそういった建造物ですら劣化してどんどん薄汚くなってゆく。
強いて言えば、今の大阪メトロの構内だって、竣工当時は画期的なデザインで作られたもののはずだったが、まさに劣化が進み、今に至った訳で。

派手派手しい内装は劣化をしていったとしても、それでも美しく保てるものなのか?シンプルな作りに比べ、劣化した際に余計に見苦しい感じにならないか?という点が配慮なされているのか知りたい。

⑤費用を装飾的なものだけに投じるのではなく、誰もが利用しやすいバリアフリー化などに投じることを視野に入れた上での景観改善か

何より、わたしが常日頃感じているのは、内装がボロくて汚いという以前に、全くもってバリアフリー化が進んでいない印象。
特に万博などが決まった大阪には、大きなスーツケースを引いてやってくる外国人客も増えるだろうし、わたしのように脚が悪かったり、車椅子やベビーカーの人もたくさん訪れることになると思う。

駅を改装するにあたり、見た目に投じるお金がどのくらいの割合なのかがわからないけれど、こういった利用の利便性や公益性の向上にどれだけ投じられるものなのか知りたいなと思っている。

最後に

大阪メトロは普段利用しているわたしも「薄汚いな」「なんかボロっとしてるよなあ」と感じていた。多分、機能的にも見た目的にも相当ガタが来ているのは確かで、改修はすべきだとは思うけれど、それが「見た目や雰囲気だけ」に注力しすぎず、利用者にとっての受益部分がしっかりと実現された上での装飾なのか?ということを大切にして欲しいと感じた。

デザインとは視覚的なものだけを造るものではなく、人が接するすべてにおいて、デザインは関与の余地がある分野だと思う。
どういう意図を持って利用者の行動を促すか、そこへ促す利用者の心理なども併せて設計することもデザインの範疇だ。

より良く、使いやすく、快適な施設づくりをして欲しいと思っている。


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カナエナカ

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