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届け!地下足袋とあんぱん。コスタリカで忍者に出会った話(前編)

社会人になってからただの一度も日本国外に出国できていなかったなぁ、と。これを書き始めて気付かされました。今はすっかりパスポートの期限も切れてしまい、台湾以外の外国へは行こうという気があまり起きませんが、学生時代は頻繁に海外へと飛び出していたことが懐かしい。

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学生時代、わたしは第二外国語にスペイン語を選んでいて、少しは上達させたいな〜と思っていました。そんな時、たまたまサークルの先輩に紹介してもらって知った「ネイティブが教えてくれるスペイン語教室」。
行ってみると「会員になれば500円/月で学べるよ」といわれ、月謝の条件に目がくらんだわたしは、<コスタリカ交流協会>というNPOにちょこっと関わることになります。これがきっかけでコスタリカという国を知る機会が増え、必然的に興味を持つようになっていました。

(画像出典:http://www.costaricafan.net/2008/02/post-2.shtml

コスタリカといえば、よく「それどこ?」と言われるんですが、中米に位置し、かの有名なパナマ運河のあるパナマ共和国の上隣の国で、サイズは九州+四国くらい。常備の軍隊を持たない非武装中立国であり、そこにかかる費用を教育に投資するという少しこだわりの思想を持った国でした。

何より、わたしが大好きなコーヒーの世界有数の産地でもあります。
(有名なコーヒーショップチェーンである、スターバ●クスの自社農園もコスタリカにあるんです。)

さらに、生息する生物の多様性も世界NO.1

見たこともないカラフルな生き物がそこかしこに存在し、手に青い靴下を履いた真っ赤なカエルや、神の鳥と呼ばれる極楽鳥のような<ケツァール>。ちょっと郊外に行くだけで、川には<野生のワニ>、道には<イグアナ>、虫や爬虫類、鳥類、植物全てにおいて珍しい生き物であふれています。

中でも「ブルーモルフォ」という青い羽の蝶々は、その羽が反射する光を宇宙に浮かぶ衛星から観測できると言われるほど。そして、見ると幸せになるという逸話もある幸運のシンボルなんだそう。

そんなおとぎ話のような国へいつか行きたいな〜と思ってはいたんですが、フライト時間が20時間ほど&関西からの直通がなかったので、アメリカかメキシコ経由でトランジットも2〜3回して行くしかなく、航空券も安くありません。お金がない学生の身としては、ちょっと尻込みをしたまま大学生活が終わりかかっていました。

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とはいえ、「社会人になってしまったら、いつ行けるかわからなくなる」という思いと、「社会人になった時に多くの人が行ったことがない国へ行ったことがあるって、話題に事欠かないのでは?」という謎の下心から、卒業が迫った3月にコスタリカへ渡ることに。

しかし、覚悟を決めたはいいけれど、コスタリカは中米・スペイン語圏の国。もちろん、わたしがスペイン語を話せるわけがない。

言葉が不自由な上に、卒業間近の忙しい時期に一緒にいってくれる友人もおらず、ましてや向こうに知り合いもいません。

不安は募る一方だったけれど、なんとか行く方法を考えに考えた末に、「コスタリカの家庭料理を学びたいので、英語が話せる人のお家にホームステイさせてもらえないか作戦」を思いつき、知り合いのつてを頼って、日本に興味があって英語が喋れる人のお家にホームステイを依頼しました。

これなら一人で心細くもないし、言葉も通じるじゃないか!わたし天才なのか?!とひとりで大興奮したほどです。

そんな感じでコスタリカ行きが決まり、宿泊先も決まって、いよいよ行く!という一週間前、一人のおじさんから「お願いしたいことがあります」と連絡が。これが、後に言う「サンノゼ空港あんぱん事件」の発端。ただコスタリカへ行くだけでは済まず、ネタ満載の旅になろうとはこの時知る由もありません……。

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「地下足袋を30足届けてもらえないかな?」

わたしにホームステイ先を紹介してくれた人から、コスタリカへ行く子がいるらしいと聞いたので、と言うおじさんからの依頼は「地下足袋30足をコスタリカの人へ届けて欲しい」という内容。

「色々事情があり、荷物を送らなければいけなかったが、到着期限まで日がなくて、航空便(高い)にしないと間に合わないところだった。もし頼まれてくれればその荷受人に空港のpick upもお願いできるから、是非お願いしたい!」とのこと。

わたしは深く考えずに「空港迎えに来てもらえて、町の案内もしてもらえるんならラッキーだ」と快諾したのは良かったんですが、ただ一点、めちゃめちゃ気になることが。

届け先の相手が「忍者」だということ。

ただ、なんとなく「なぜ地下足袋なのか?」と聞いていると、荷受人が「忍者だから」という珍回答。もちろんあだ名などではなく、正真正銘の職業忍者。コスタリカで忍術を教えているらしく、生徒も30人くらいいるとのことだった……。
(その教室は人気が出すぎて、ついには隣国のニカラグアにも支店を出したようです……笑)

そんな珍依頼を受け、思っていた以上に重たかったゴム地ソールの地下足袋を引きずりながら、私は不安を胸にひとりでコスタリカへと旅立ちました。

その時はまだ、入国時に大ピンチに出くわすとも知らず。

(つづく)

※忍者の写真は後編にて紹介……笑

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