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大きく飛躍している「長く続いた会社」の7つの特徴

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実はわたし、アトツギが前向きに家業に向き合ってほしいという思いがあって、今年の夏からアトツギを応援するプロジェクト運営の仕事をしています。

プロジェクトの根底にある考え方は「家業で起業」

長く続く会社の特徴の一つであり、これからの後継ぎがワクワクしながら家業に携わるためのキーワードでもあります。
ということで、家業で新しいことを始めた人、自分らしく事業を取り組んで発展させた経営者のインタビューへ通う日々。

今10人ほど話を聞いてみて、私なりに気づいた共通点があるので、まとめてみました。

1.「新しいことしよう!」と思っていない

「少しだけ先を見据えて、目の前のことを一つ一つ、クリアしていたら今ここにいる。」
という人が多いです。
もちろん、打開策をと新しいことを始めようとする方もいるにはいるのですが、全く接点もない事業に乗り出した人はなく、今まで家業が続けて来た仕事に何かしら繋がりがあるということ。
設備や作っている物自体の関連性だけでなく、それを支える技術の断片、立地や環境、仕入先やお客様などといった、無形の資産。その何か一つでも繋がっている物で、考え抜いて生み出される解は、外から見ると「新しいこと」に見えるのですが、彼らにとっては「新しいこと」ではなく「家業と地続きの結果として」ということなんだと思いました。

2.学校を卒業したあと、そのまま家業に入った人はいない

家業に入るには40代になってからよりも20代、遅くても30代と早ければ早いほどいいとは言いますが、だからと言って、学校卒業後にすぐに家業へ入るのではなく、どこか別の会社で働いた経験というのが重要になってくるようです。
また、丁稚奉公的な意味で、家業の関連業種や業界への就職をしようとする人もいるのではないかと思うのですが、今取材に行っている「家業で起業」系の経営者は、全然関係ない異業種に就職しているケースがほとんど。

この後に出てくる「6.業界の集まりに入り浸らない。社外・業界外の付き合いを大事にしている」にも大きく関わってくる考え方なのですが、業界の常識を常識と捉えない感覚(世の中において非常識であると感じれる感覚)や、逆に家業や業界で当たり前でつまらないこととされているものが新鮮に思える感覚を育てることが大事。

異業種での経験は必ず役に立ちます。
それは、単に技術やノウハウだけでなく、考え方や仕事の習慣などが役に立ったという経営者も。

また、ITとの関係は切っても切り離すことができないこのご時世、家業の前にIT関連の仕事を経験した人は、割合的にも多い印象。ただ、ITでなければいけないのかというと、そうでもないようで、どんな業種・職種でも間違いなく役に立つと言えそうです。
もしかしたら、今までの経験をうまく咀嚼して自分の目の前の仕事(後継ぎであれば、家業)に生かすことができる人が成功しているだけなのかもしれません。

一方で、わたしは自分が本当に好きで挑戦してみたいことを最初の仕事に選ぶということが大事なのかなと思いました。
あの時我慢しなければ、という後悔の念は一生つきまとうものですし、好きなことは続けられる可能性が高い分野でもあります。

その続けられることを仕事で遂行するノウハウを身につけておけば、家業に入っても、そのうち家業と自分の得意分野や好きなことを掛け算してトライするチャンスを作ることだってできる。
そしてそこで、思う存分仕事に没頭する日々を送った経験が、何にも変えがたい財産となる。そう話してくれた経営者が多かったです。

3.脱・下請け。自社ブランドを必ず持っている
(持とうとしている)

日本の高度成長期、大企業がどんどんものを作って売り上げを拡大していく裏では、日本中の中小企業の存在がありました。
しかし、日本経済のここ数十年、コストを絞るためにアジアへのシフトで仕事がなくなり、リーマンショックなどの外的要因により親元の会社が製造中止で取引を止められてしまうなど、自分たちの努力だけではどうにもコントロールできない事態が次々に起きてきた。

そんな茨の道をかいくぐって、今残っている会社というのは「脱・下請け」が成功した会社。
売り上げの多くをB to B(OEMや一部の仕事の下請け)に依存していると、危ないという意識を持ち、自社ブランドを持とうと舵を切り、自社ブランドを立ち上げるパワーのある経営者が多い様子。

4.情報発信の重要さを良く理解している

「情報が溢れている今の時代、誰かにアクセスしてもらえるように情報発信できていないということは、この世に存在しないも同義」と言った経営者がいました。
どんなに素晴らしいものであっても、白馬の王子さまはよほど身近な目に止まる場所にいない限り現れません。
インターネットとうまく付き合うというのが今までの常套手段ではありましたが、これからは更に、そのコンテンツのありよう、誰が発信するのが信頼たるのか?
世の中の人々の心理を考え抜いて情報発信に重きを置いている会社がほとんどでした。

5.センスがいい

これを言ってしまっては元も子もないのでは?!と言われそうなのですが、デザインの重要性を理解し、自分で難しいなら外部のデザイナーを迎え、デザインを大事にしているケースがほとんどと言えます。
世の中には同じ機能を持ったモノやサービスは数多あります。
その中から人の心を捉え、対価を払うという行動をさせるためには「デザインの力が必要だ」と唱える経営者がほとんどでした。

自身もセンスを磨くべく、かなり努力して良いとされるもののインプットに余念がない一方で、信頼できるデザイナーとうまく組むということが鉄則のようです。

6.業界の集まりに入り浸らない。社外・業界外の付き合いを大事にしている

2で既に書いた通り、外からの情報やアイディアを得ることを大事にしているようです。
また、業界での集まりということだけでなく、ただ飲んで愚痴を言い合うだけの社交の場というものをそもそも避ける傾向が。
「そんなことしている暇があるのであれば、もっと次の一手を打つ仕事に時間をかけたほうがいい」という経営者もちらほら。
社交が仕事にもつながるとは言いますが、自身の仕事に中身がなければいくら社交をしても意味がないということのようで、まずは自社の仕事に没頭し、それをベースに新たな視点での意見を得られる場へと出向く傾向にあるようです。

7.地元や社会への貢献の意識がある

最後に、「自社だけで儲けよう」「他社のパイを奪っていこう」という考え方ではなく、「業界自体を活性化していきたい」「自分が関わる地域や、社会に役立つことにつなげたい」という想いのある経営者が多かったように思います。

彼らが具体的な言葉で語ったわけではないのですが、社員、地域、更には社会全体への貢献が、回り回って自分の元へ何かいい形で返ってくることを知っているような気がしました。
大企業と異なり、自社が成り立つためには、地域や社会、業界が元気である必要がある。そして、自分がそれらに支えられて育ち今がある、ということを身を以て感じていて、持ちつ持たれつで成り立っていることをよく理解しています。
その潜在的な意識が自分の会社を発展させることを通して還元していこうとする姿勢に現れているような気がしました。

さいごに。

面白いほどに、彼らにはこの7つの共通点がありました。
本当にどの経営者さんとお話をしていても、「あれ?この話前も何処かで聞いたなぁ」と思うことがよくあります。
本当に不思議なほどに、同じことを言う。

これからどうしていけばいいか迷っている後継ぎや経営者の人は、この共通点をある程度なぞらえて頑張ってみる価値はあるのでは。

何かヒントになれば幸いです。

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*この投稿は、私が個人で運営しているWebサイト「iiito.(イト)」で書いたコラムの転載になります。
記事はこちら▷ http://iiito.jp/column/column20171019/

*私が取材に行った話がレポート記事になっているサイトはこちら

「ぼくらのアトツギベンチャープロジェクト」
http://next-innovation.go.jp/renovator/

(記事一覧はこちら▷ http://next-innovation.go.jp/renovator/press/

この取り組みでは、インタビューへ行って取材だけでなく、写真の撮影を担当もしています

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