花と器 Feb.#1 桃/枝ものをいける

春の気配がだんだんと感じられるようになってきました。
道沿いには、梅や桃が花をほころばせている姿も。

わたしの出身地である岡山県の花でもある桃。7月〜8月に美味しい果実をつけるために、今の季節から花を咲かせます。
桃が咲き始める3月中旬(3月10日から15日あたり)は、七十二候の第八候「桃始笑(ももはじめてさく)」とされており、桃の花が笑うように咲き始める時節を表した可愛らしい名前のついた季節。
刺すように冷たかった空気も、柔らかさが感じられるようになり、美しい花も咲き始め、目を喜ばせてくれる明るくのどかな様子。


花屋の店先には2月中旬〜3月上旬のまだ寒い時節から顔を出すので、お部屋に飾れば一気に春を感じられるため、オススメです。

桃の枝を家でいける時の留意点

家で花瓶にいけるときに気をつけたいこと。

1.枝を触るときは蕾に触れないこと
桃の蕾はコロっとすぐに落ちやすいので、強めに触れるとせっかくの蕾がどんどん落ちていってしまいます。なるべく触らない。触らなくてはいけない時は、そっと。

2.水あげをすること
暖かければ花はどんどん咲いてくれますが、枝モノなので、水が上がりにくく、水あげがうまくいかないと、花が咲く前に蕾のまま枯れてしまいます。水あげや水換えには気を使いましょう。(枝モノの水あげについては、下記で解説します。)

3.花瓶は重さと高さのあるものを(重心がしっかりあるもの)
桃の枝は、小ぶりなものであればさほど大きさを必要としませんが、枝の先にだけ花をつける種類ではなく、枝の下から上の方まで、点々と花をつけるため、花をたくさん楽しむためにはどうしても枝が長く大きくなってしまいます。重心がしっかり下にくるよう、重さと高さがある程度あるものを選びます。また、高さが必要なのは、水あげにも関係します。(※詳細は下方での枝モノの水あげ解説にて。)


おまけ:桃と梅

咲き始める時節や色形が似ていることから、よく桃と間違えられる存在なのが、梅。桃の実に先駆けて梅は5〜6月に実をつけるため、花も桃より先に咲き始めます。

調べてみると、梅はバラ科サクラ属。一方の桃はバラ科モモ属。大元を辿れば親戚なので、似ていて当たり前です(笑)梅は2月上旬〜4月に咲き始めますが、梅はお正月の花としていけられることもあり、花屋さんでは12月の終わりごろからお目見えします。ブーケなどにもしにくいことから、一般的な花屋さんにはあまり置かれていないことの方が多いです。

いけばなにおいても、桃と梅は容姿は似ているけれど樹木としての性質や特徴が異なることから、いける時の違いの対比を引き合いにされる存在。いわば春の花界の松嶋菜々子と藤原紀香な関係なんです。(ちょっと古いですかね、今の世代だと誰なのか、、、笑)

桃は愛らしく、華やかで女性的な柔らかい印象に。梅はダイナミックで男性的、力強く迫力ある印象に。(とわたしは先生から教わりました)

桃の枝は、樹皮に弾力(ねばり)があり、枝を矯めて*(断裂しない程度に折って角度をつけること)もまた元の形に戻ってしまいやすい特質があります。断裂しない程度とはいえ、しっかり折り矯めをしないと、曲げた形が保てません。
一方、梅は枝や樹皮が硬めで乾いていおり、矯めるとかなりしっかり折れてしまうので、折り加減が重要。断裂しない程度の折り矯めを求められます。

(*矯め(ため):枝や茎の線を曲げるために、折れて断裂しない程度に折ったり切れ込みを入れて角度をつけること。いけばなの技術のひとつです。下記の作品の解説にも方法を少し解説します。)


枝ものの水あげ方法

枝ものは数本の枝だけでもボリュームが出るため、一気に部屋が華やぎ洗練された印象の空間にすることができます。近年ライフスタイルにこだわっている人のお部屋にも取り入れられている写真をよく見かけるようになりました。
春は、花をつけ華やかな印象になるモモだけでなく、グリーンと白でナチュラルな雰囲気のユキヤナギ、コデマリも素敵。

写真:コデマリ

初夏(5月〜)の頃だと、持ちも長く、緑の葉が多く茂るので観葉植物の代わりとしても使い勝手の良いドウダンツツジなどもおすすめです。

枝ものをいける際の処理の仕方について
1.切り方

太い部分を安全に切るには、一度に断裂させるように刃で挟むのではなく、はさみの先を使って枝の周りに小さく切れ込みを入れていき、その部分を手で折ったり、硬すぎて手の力では折れないものについては、切れ込み部分を机の端などでテコの原理を使って折るなどします。

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