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【「リビング戦士は安らぎを迎えられなかった」 〜essay〜】

桜えびのような色の明太子ソースの画面を横目にこれを書いている。 2023年2月12日日曜日。 私は小学生の頃、富山県の立山に登ったことがある。登ったルートがどのようであったかは覚えていないが、おやきとかいう、芋餅なのか中華饅頭なのかその間の子といったものを食べたことだけは覚えている。 寒くて若干雨が降っていたようなことだけをはっきり覚えている。これは軽石だ、と言われて拾った石は、見かけよりも軽くて、手にチョークのような白いベタベタした白いものが付いた。 雨が降っていたから

    • 【「節約」~essay~】

      夜9時過ぎからお腹を鳴らしてばかり居た、冬の始めのある日のこと。 堪り兼ねて、お金がないのも省みず家を飛び出した。 薄手のブラウスでは寒くて、寒くて。 下を向いて歩いた。 コンビニの前には十字路がある。 この十字路には、毎朝二の足を踏まされている。 十字路に引っ掛かりさえしなければ、家から学校まで5分ほどの距離に住んでいると思う。 だのに、上手い具合に引っ掛かってしまうと、あっという間に始業のチャイムは鳴り始める。 待ってくれ、待ってくれと思いながら、チャイムは

    【「リビング戦士は安らぎを迎えられなかった」 〜essay〜】