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誕生日は今年も怖いか

※この記事には希死念慮、うつ、親との関係不和などを含みます。

あと1時間ほどで34歳になる。
2020年という一年は本当にみんな、みんなが大変だった。
私も大変だった。
よく生き抜いたな、と思う。

一年前から、調子が良くない。
 電車に乗る、だとか、保健師らしくきちんと装って人前にでる、だとか。
そのうちに、料理をする、だとか、身なりを整える、だとか布団から起き上がる、だとかー日常生活、普通の暮らしに必要としてきたいろいろのことーができなくなっていった。
 ぼんやりしているとプラットホームに呼ばれるような気持ちになったのでこれはまずい、と思って休職した。


『保健所』『保健師』『医療従事者のみなさん』
この一年この言葉を聞かない日はなかったんじゃあないかと思うが、私はその内側にいなかった。
こんなときに。
こんなときに、よそ事のように家の中で寝たきりになって。
死にたい、と思っているなら真っ先に名乗りを上げて特攻せむ、などと件のトート閣下(仮)とうだうだやっていた。
サウナにいくことは、不要不急の外出なのでは、と思うとセルフケアとしてのサウナもはいれなかった。ガチガチだった。心も体もなんだかかたくなで、緩やかに自殺しているのと変わらないような気さえしていた。

8月。『自分の薬をつくる』(坂口恭平著)をよんでみる。日課としてアウトプットをじゃんじゃんしていこうという。
 パンを焼き始めた。小さな成功の積み重ね。
楽しいことをやってよかったんだったな!と気づく。おいしいし!
一週間の半分くらいは起きていられるようになる。このころに、『もしも親が死んだらやりたいこと』が手帳に残っていたので記す。


ー今は下川町に行きたい。自然があってサウナがあって温泉があって、不自由のない程度の買い物が歩いてできる。家賃のために働かないでも住めるくらいの家賃で。
 下川町で受けた親切を過信しているのかもしれない。
 仕事に行くとき、「命を削っている」と思う。「命をかけてやっている」のと「命を削っている」のは少し違う。ー


10月。ずっと行ってみたかった長野県野尻湖のそばにある木造フィンランド式サウナが楽しめるTheSaunaでサウナ修行中の人を見つける。(ツイッターすごいな)
めっちゃ面白そう。
面白そう、と思えたのがうれしかった。楽しいことをちゃんとわかるようになった。
11月から1月の終わりまで延長に延長を重ねていただいて三か月もいた。
死にたいと、一回も思わなかった。
朝も元気に起きたし、ごはんも作れたし、雪かきもした。
ちょっと前まで、寝たきりでご飯が作れないからプロテインを飲んでいたのに!
あーたのしかったな、しあわせだったな。TheSaunaの話はまた今度ね、ゆっくりしましょうね。

それで、帰ってきて約2週間。半月。
毎年のように恐れていた2月を穏やかな気持ちで過ごしている。
もっと怖いかな、と思っていた。
「誕生日が怖い」になるのが怖かったので先の先の先まで用事を入れたり(未来の舞台の配信のチケットを買うだとか。おいしいチョコレートを買うだとか、サウナを予約する、だとか。)
杞憂に終わりそうでうれしい。よかった。

母はもうビデオを撮らない。
『33歳のあなたはなにができるようになりましたか』
『34歳のあなたは、なにができるようになりますか』
もうほめてもらわなくっても全然いいんだけど、今年は豊作すぎたから少しだけ書いておくね

おいしいパンが焼けるようになりました
サウナの火入れができるようになりました
ビス打ちもやったよ
ロープワークも(ちょっと失敗するけど)できるようになったよ
こんな苦しい一年だったけど死を逃げ場とせずに生き抜いたよ

34歳は、行きたかった下川町に住むよ。
あなたにはまだ言っていないけれど。
自分の幸せのために生きていこうと思っているよ。

私が生まれた日。
別に普通の火曜日。


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