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文さんへ、この気持ちだけでも伝わっていますように。

今日、文さんと、会ってきました。
待って、私が文さんなんて呼んでしまっていいんだろうか。怒られるかな。ごめんなさい、許してください。


文さんは宮下文一さんといって、知っている人にはとても有名な人。
初めて知ったのは、中島みゆきさんのライブ。「宙船」を歌う歌声が艷やかであざやかで、誰この人?!って思って調べたのがきっかけでした。


今日はチャリティーコンサートがあって、出掛けてきたんです。文さんのTwitterで知った時から楽しみにしていたんです。
コンサートはもちろん、とても良くて、ここに特に書く必要も感じないほど良かった。空調がとても良く効いていて、隣の人が腕をさすっていたくらいだったのに、興奮で汗が止まらなくて。
画面越しじゃない文さんの声は、伸びやかで涼しくてなのに熱っぽくて、ドキドキしました。
そして、コンサートが終わったあと、どうしても欲しくなって、サインまでいただいてしまいました。


声を掛けるのにもものすごく緊張してしまって、いただいたあとにもきちんとお礼を言えたのか覚えていないくらいガッチガチになってしまった自分がいました。
そういえば、本当に緊張する時は声が出なくなるんだった、と大学入試の時を思い出しました。
もしかしたら目が合うかもしれないとちょっとだけ期待して、目立つような一番お気に入りの青緑のワンピースを着て、お気に入りの青いアイシャドウをつけたのにくすむ目元が気に入らなくて家を出るのがぎりぎりになって、そんな私にサインをくれたんです。
本当は、「宙船」を聞いた時からファンです、とか2015年の中島みゆきさんのライブの「Why&No」のソロパートが格好良かったです、とか誕生日ライブ行きます、とか言いたかったのに。
でももう声が出なくて、文さんの目が私だけを映して、私だけのために声を発してくれていると思ったら舞い上がってしまって、もうなんだか恥ずかしいような気もするし嬉しくてたまらなくて、そう、何も言えないまま逃げるように帰ってきてしまいました。


この文章が、文さんに直接届く可能性が0じゃないと分かっていてこれを書いていて、届いて欲しいとも確かに思うのだけれど絶対に読まないで欲しいとも思っていて。
でも、少なくとも誰かに伝えたい。
文さんは、とても格好良い人なんです。私は男の人では、文さんの声が一番好きです。
幸せそうな歌い方が好きです。その喉から発せられる声が好きです。紫に染めた髪が好きです。穏やかな顔が好きです。確かに主張するのに主役を支える歌声が好きです。ライブのメイキング映像で自転車に乗って帰っていた後ろ姿も、おどけてふざける姿も格好良くて好きです。
ずっと、画面の向こう側の人でした。でも、今日目の前で文さんが歌っていて、目の前で笑っていて、私のペンで私のノートにサインをしてくれて、私に握手までしてくれて、帰りの電車で挙動不審になるくらいには興奮しました。


興奮のままにこの文章を書いて、きっと明日読み返したら恥ずかしいに違いないと分かっているのにこのままアップするくらいにはまだ興奮しています。
サイン、嬉しかったです。握手の手を差し出してもらえたのはもっと。
今日は興奮で眠れないかもしれない。今日が幸せだったってずっと覚えていたい。本当は今からシャワーを浴びてあの空気を洗い流してしまいたくない。あの声を、ずっと覚えていたい。
思っていたより薄い唇や親指の伸びた爪やきれいに染まった紫の髪も、色のついた眼鏡もそれを留めていた黒い紐も、首につけていたチョーカーも。全部、忘れたくない。一生覚えていたい。
私だけのために発せられた「ありがとう、ございます」っていう掠れた声を忘れない。


文さん、ありがとうございました。緊張で何も言えなくて申し訳ありませんでした。でも、すごく嬉しかったんです、私。
また、会いに行ってもいいですか。それまで頑張っているから。
ありがとうございましたって、この気持ちだけでも伝わっていますように。


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