Vtuberを批評することの難しさについて炎上リスクの視点から考察する(1/2)

正直、息苦しくない? 今のVtuber界隈

現在、Vtuber文化は日本が育んできたインターネット文化の最先端といっても過言ではないだろう。2019年になってから、リアルイベントが急激に増加して大成功しているようだし、VR方面でもOculus questが発売され人々の身近にVtuber文化が近づいているように見える。しかし、そのせいなのか、日本のインターネット文化の悪いところも如実に受け継いでいるように感じる。これほど、炎上が多い界隈もなかなかないだろう。

今回は炎上の構造取り上げつつ、Vtuber特有の問題に触れ、この界隈で批評がしにくい風潮が強いことの原因を明らかにしていく。

炎上の構造

ITmedhiaNews[ネット炎上は「強い正義感」が引き起こす]を引用しながら、まず、ネット上の炎上段階を見ていこう。

第1段階 事象発生

例えば著名人などが、何らかの発言・失言、不謹慎な行動を起こす。

第2段階 発見・指摘

その行為を見つけた第三者が「これは酷い」「不謹慎だ」とソーシャルメディアなどを通じて指摘する。

第3段階 共感・共有

その指摘に同意する人が多数あらわれ、リツイートやシェアなどで拡散する。

第4段階 拡散

指摘や意見・異議が数多く拡散されたことがネットニュースなどを通じて、さらに拡散され、広く認知されるようになる。

この4段階において、最も重要な段階は第2段階である。第2段階でいわゆる炎上案件を発見し、流布しようとすることから炎上が始まるからだ。例えばtwitterでは、「こんな人がいます。このような悪いことをしています!」という感じで流れてくるツイートを流すことが第2段階である。

Vtuber界隈で言えば、悪質なリスナー、魂を大切にしない運営、礼儀がないVtuber……このような告発系のバズツイを流すことが第2段階だ。僕はこのようなツイートを何度も見てきた。Vtuberを追っている人なら思い当たる節も多いと思う。

詳細は前回僕が書いたnoteを参照してほしい

炎上は正義マンが引き起こす

さて、このような人は初めから「炎上してやろう」と思ってそのようなツイートをしているのだろうか? もちろん、炎上した本人にとってはそう思うだろう。しかし、多くの場合、そこには正義感が存在している。

おおつねまさふみ氏によると、

この「正義感が強い人」というのは、あくまでも善意の人である。不公平や不正を見逃さないし、失礼な発言や行為は許せない。自分が属している集団内の秩序を守りたいーーという、社会通念上はきわめて真面目な「ふつうの人」なのだ。

と定義されている通り、多くの場合、正義感が強い人は公共のために行動する。つまり、みんなのために、このような人は断じて許すことはできないという正義の盾を装備してしまっている。

この状態の人は止まることができない。その人にとって、反対して来る人はすべてと認識されてしまうからだ。敵の意見には耳を傾けないし、自らを省みることもできなくなってしまう。

その様子はまるでヒーローだ。炎上を通して、多くの味方を手に入れ、相手が弱まっていく様子を上から見る……そして、正義感をもって行動することはとても気持ちいいのだ。

情報が正しいとは限らない

正義感が強い人が炎上を引き起こしやすいことは前章で述べた。しかし、その正義感が正常に働き、社会悪がなくなることは本来好まれるべきものだろう。このような炎上を最悪の方向にもっていくのがインターネットの構造である。

まず、インターネットは人の志向性を強化する。twitterでは、フォロー・フォロワーという関係上、同じ趣味の人と繋がり、同じ思考の人がTLに集まりやすい。このような傾向をフィルターバブル という。普段のニュースや検索結果ですらAIのアルゴリズムによって、私たちが見たい情報にアクセスしやすくし、見たくない情報はアクセスしにくくなる。

このようなことを踏まえると、普段のツイートは自分の意見が肯定されやすい状況がすでに出来上がっている。つまり、炎上しているとき、周りのフォロワーは比較的肯定的な反応を示す可能性が高いということだ。そして、自身の意見が正しいことであると認識を強めてしまう。エコーチェンバー現象と呼ばれるこの現象だが、Vtuberのような閉じたコミュニティでは特にその傾向が強いと考えられる。

そしてたちが悪いのがインターネット上という切り取られた情報によって判断しそのような行為に及んでしまうことだ。

この画像はメディアが偏向報道することを批判することを示す象徴的な風刺画だ。このようなことが日々インターネット上で起こっていると考えた方がいい。特にtwitterはその傾向が著しい。140字という文字数制限があり情報が最も取捨選択されやすい上に、リツイート機能によって、最も拡散されやすいという特徴を持つからだ。

このような仕組みで正義マンが起因となって炎上が引き起こされると考えられる。

さて、ここまでは一般的な炎上問題について扱った。

次章では、Vtuberのオタクは特にその傾向を強めると示していきたい。

つまり、Vtuber界隈は炎上しやすいということを示していきたいと思う。

参考


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