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僕が生まれ持ったものは治らないものだった②

そんな僕に転機が訪れる。


1年前の夏、僕の知人の恋愛に巻き込まれてとても面倒な思いをした。

僕の知人(女)と同級生(男)+女の浮気相手(男)の漫画みたいなNL三角関係だった。

本人がどう考えていたのかは知る由もないが、あっちもこっちも好きで浮気して、SEXの相性が~なんて言い出したから、『じゃあどっちが好きなの』って問いただしたら泣き出す始末。

あぁ、僕にこの子の気持ちが分からないように、この子には僕の気持ちが分からないんだろうなと、呆れと諦めと拭えない嫌悪感とで
縁を切ろうと決意した。


この先、僕はこんな風に分かり合えないシーンにたくさん遭遇するだろう。
その度嘘を吐くのか?

ぐるぐるとお風呂で無限ループしていた時、

「いやいや、分かり合えないんだったら隠す必要なくない?」
青天の霹靂のように、ナイスアイデア!!みたいなテンションで
「あぁもう嘘つくのやめよう。だって僕は僕じゃん」心にスっと落ちてきた。

けれどまさか、
そう思ってからこうやって動くまでに1年を要するとは思わなかった。

『もしかしたら、

このまま誰かに恋をすることが出来るんじゃないか?
カミングアウトすることで何か変わってしまうかもしれない。
これは意味があることなのか?』

一進一退、気持ちの攻防戦
だけどやっぱり1年誰にも恋をしなかった

それが事実だった。

そして先日、僕は勇気を振り絞って自分のSNSのプロフィールに
アセクシャルを加えた。

受け入れる反応をしてくれる人がいて
あぁ自分らしくいていいんだと暖かくて切なくて柔らかい感情が生まれた。

この気持ちはなんだろう?

嘘から解放された清々しさ?
自分らしくいられる喜び?
周りの方たちと分かり合えない寂しさ?

その全部なのかもしれない。

それでも全部ひっくるめて僕は僕を受け入れて、自分を愛す必要がある。



望んでセクシャルマイノリティーになる人なんてまずいないだろう。

なんでそうなったの?

僕が知りたい。

いつからそうなの?

気がついた時からずっと、としか言えない。

今だけの気の迷いだよ!
いつか治るよ!

アセクシャルとは伝えてない人達から何度も言われてきた。


治る?
好みの違いの様なこの性は治る・治らないに振り分けていいの?
「私アイドルの○○が好きなんだ」って言う人に
「えっおかしいよ!△△にしないと!」って言う?ちゃんと相手のことを考えられる人なら言わないよね?

この言葉たちがどれほどLGBT当事者を傷つけるのか知っていて欲しい。


なぜLGBTの人たちが声を上げるのか?


それは、

僕たちは性的『少数者』だからこそ、知られていないことが多い。
世の中の《今の》当たり前からはズレたこの感覚が『治る・治らない』じゃない、生まれる前から持っている《個性》のひとつだと、
1人でも多くの人に知ってもらいたいからだと
僕は思っている。

知ったあとに、声を上げてもらいたいとか、何かして欲しいのではない。ただ

恋愛しないことが考えられないように、
恋愛することが考えられない人もいるのだと
ただ知っていて欲しい。

知ってもらえるだけで救われることだって沢山あるのだから。

そして、かつて僕がそうだったように
ジェンダーを隠して苦しい思いをしている方の気持ちを僕のこの文章が少しでも楽にできていたなら幸いです。


2019.8.10 kanato

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