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それは誰に聞いた話なのか?ー47歳、大学院だよアッチョンブリケ。

47歳シングルマザー、会社ふたつ経営しながら、神戸大学大学院人間発達環境学研究科に通っています。いまは、論文の骨子を決める発表会が2週間後にあるので、準備中。(ちなみに「プロポーザル」というそう。いままで行政とかの企画提案コンペでしか使ってなかった用語が、こう使われているとは知らなかった) 

雀荘のメンバーをしながら大学を卒業してから25年。アカデミーと縁遠い日々を送っていたのに、「社会教育」と「新しい働く場づくり」という自分の事業を一歩進めるために、大学院でちゃんと学びなおそうと思っちゃったんだよアッチョンブリケ。


▶「不登校の原因:第3位『親子の関わり方』」に胸を痛めていたけれど。

私の研究のメインテーマは「アントレプレナーシップ」で、その学習論になる予定。ただ、対象として不登校児を想定しているので、そのあたりのことを調べ続けている。で、すごい記事に出会った。

『不登校は「家庭が原因」?教員と生徒で食い違いーNHKによる中学生1968人調査で見えた実態』(東洋経済オンライン)

不登校の原因については、毎年文部科学省がやっている調査(「〇年度  児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」として公表……「問題行動」ってタイトルすげえ)で発表されている。

たとえば令和元年度の場合、1位が「無気力・不安(39.9%)」、2位が「いじめを除く友人関係をめぐる問題(15.1%)」、3位が「親子の関わり方(10.2%)」。
不登校傾向(たまになる)児童の親として、3位が親子関係というのは、かなり胸が痛む。


▶「不登校の原因:第1位『先生との関係』」……あれ???

ところが記事によると、NHKが行った調査では、1位が「先生との関係(23%)」、2位が「いじめを受けた(21%)、3位が「決まりや校則になじえない(21%)」だという。

「不登校、その先を考えてほしい | 未来スイッチ!」(NHK)

文科省調査と全然違う。まるっきり違う。おっとろしく違う。唖然とするくらい違う。研究としては、どちらのデータを元にして考えたらよいのだ?

なぜこんなに違うのかについて、先の東洋経済オンライン記事(元は「不登校新聞」記事)は明らかにしている。アンケートに答えたひとが違うのだ。


▶それは誰に聞いたのか。

文部科学省の調査は、主に教員が回答している。NHKの調査は、不登校児童本人が回答したものだ。詳しくは記事を見ていただくといいのだけど、対児童のNHK調査で1位となった不登校の要因「教員との関係(23%)」は、文部科学省調査では2.2%(!) 同じく2位の「いじめ(21%)」は、文部科学省調査では0.4%(!!)

……えっと、笑っていいやつ?


今回は「誰に聞いたのか」で、採れるデータが劇的に違った例だった。どちらが正しいとかではなく、「教員からは、こう見えている」と「本人からは、こう見えている」の、ふたつの事実なのだろう。
そして、今回はふたつの調査を比較できるようにNHKが文部科学省調査と項目を揃えたが、もちろん「どう聞いたのか」によっても、異なる事実が出てくるはずだ。
さらには、紙によるアンケートなのか、先生を通じて回収されるアンケートなのか、LINE等での直接回答なのか、聞き取り調査などでも、ぜんぜん違ってくるはず。


▶世界をできるだけ誠実に見ようとすること。

私はライターをしていたので、わりと一次情報はしっかり確認する訓練をしていた……つもりだった。だけど今回、大学院での研究用にデータを見始めたら、「データそのもの」を、もっと慎重に見なければいけないことに気づいた。

大学院に通い始めて、学んだことが、いくつかある。ひとつがこの「世界をできるだけ誠実に見ようとすること」だと思うな。

いやー、それにしても。まあタイトルから「問題行動」だもんねぇ……。主語(責任者)は、学生側という認識なのかもね。



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