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【金沢大学】はじめての通称名登録🌷

こんにちは!SOGI研メンバーのれいれいです。

実は僕、春休みの間に通称名登録をしました!ということで新学期から学内では正式に令になります!やったー!

ということでこのnoteでは、みなさんが気になる金沢大学での通称名登録の方法・流れ、メリット、注意点などを詳細にお伝えしようと思います。

僕の体験が自分の名前で悩む人たち、通称名登録をしようか迷っている人たちのほんの少しの手助けになれば嬉しいです。


僕がRayとして活動しはじめたきっかけ

はじめに、僕がRayとして活動しはじめてから、正式に通称名登録をするに至った経緯を説明します。(はやく内容が知りたい人は飛ばしてね!)

僕の本名は一般的に女性の名前として認知されているもので、顔を合わせていてもいなくても、自己紹介の段階から何の疑いもなく「女性」と認識されることに苦痛を感じていました。

例えば軽音サークルでバンドを組むときに、本名で登録されているLINEのアカウント名を見て「せっかく女の子がボーカルだから」とガールズバンドの曲を推薦されることがよくありました。

僕の声を聞いたことも姿を見たこともないのに、名前だけで女性ボーカルの歌が合うだろうと判断されるのは納得いきませんでした。もちろん "ガールズバンド" の曲を歌いたくなかったわけではありません。声の高さや雰囲気、曲の好みではなく、勝手に想像された性別だけを理由に合う曲を選定されたことが腹立たしかったのです。(そもそもミスジェンダリングされてるのも問題だけど)

そんなことが何回か続いて、僕はよりジェンダーニュートラルな名前がほしいと考えるようになりました。

僕が活動時に「令」という名前を使うようになったのは、2022年5月のことです。はじめは金沢の古民家で月に一度開かれる「にじのまカフェ」で使用することに決めました。参加者の中で僕が元から知っている人はSELF(性の多様性について考える学生団体)から参加している数人の友人のみ。あとは全く初対面か、顔は知っていても名前は覚えていないだろうという方たちばかりでした。活動名デビューには丁度良い状況だったのです。

数日前からここで使ってみようと決めて、なににしようかひとりで悶々と考えました。本名の由来は自分でも気に入っていたのと、なぜこの名前にしたのか聞かれた時に答えやすくて抵抗感がないと思ったので、自身の本名に使われている漢字のつくりと音をとってこの名前に決めました。

はじめて自己紹介でこの名前を口から出したときは、なんとも言い難い気持ちになりました。いままで名前を言う時に蟠りがあったのがスーッと消えて、自分が自分でいられるような気がしました。

にじのまで使用してみて、毎月会う人たちに「れいくん」「れいさん」と呼ばれるようになって、呼ばれるたびに心躍り、宇宙までふわふわ飛んでいけるような気持ちになりました。

通称名登録をする決意

しかし、にじのま以外では活動名を使うことがなかなかできませんでした。SELF内でもすでに定着している名前を急に変えるのはなんとなく体力がいる気がしたし、本名で呼ぶ人、通称名で呼ぶ人がイベント運営時にごっちゃになると、こいつ結局誰やねんということになりかねません。間違えて呼んだらごめんってなるし。いちいち説明しなきゃいけなくてかえって面倒になると考えたのです。

しかしそんな時にスウェーデンに留学することになって、一度日本にいる友人から名前を呼ばれなくなる期間ができ、留学を大きな転換点にできるのではと思い、こんな絶好の機会は今しかないと考えました。

実際に留学期間中は留学生同士の会話でも「Ray」を使っていて、一緒に日本から留学した子達の中にはしばらくこれが本名だと思っていた子もいました。

授業のときも、初回の自己紹介でニックネームで呼んでほしいとお願いしたら、出席確認時、ディスカッションの間、メールの宛名やグループ分けのリストに至るまで「Ray」と表記されるようになりました。

もうこんなに心地よい生活は手放せない!!と思い、帰国してすぐ学務課の課長さんに連絡、疑問点をお尋ねした後、必要書類をまとめ提出しました。

通称名登録って?

ここからは通称名登録についてご説明します。

そもそも通称名登録とは、自身が学内で使用したい名前を登録できる制度のことです。もっと詳しく言うと、大学のシステムに登録されている戸籍上の名前を、希望する通称名に変更することができます。名前だけでなく、姓名ともに変更することも可能です。

大学のシステムに登録されている名前を変更するので、学生証はもちろん、授業の名簿に載る名前、LMSで表示される名前、自宅に届く大学からの郵便物の宛名、電子発行機による各種証明書など、全てに本名の代わりに通称名が表記されるようになります。レポート発表卒論まで、全て登録した通称名を自身の名前として記載することになります。

通称名の使用は中止することも可能です。例えば証明書に本名が記載されなければ困る場合などに、同じ申請書を提出すれば一時的に通称名の使用を中止することができます。そして、また使用したくなった時には再開することもできます。

登録の流れ

金沢大学の学生相談窓口のサイトからLGBTQ+相談窓口のサイトにとびます。メール相談の項目に「学内で使用する通称名や性別を変えたい」という表記を見つけました。そして僕は、下に記載されているアドレスに通称名登録の旨を書いて送りました。

前もって聞いておきたいことがある、登録するか迷っていて話だけでも聞いてみたい場合でも、一度メールすれば詳しく説明してくださる方に繋いでもらえます。メールでのやり取りの後、申出書をもらうことができます。

「通称名使用については、それぞれの事情に応じた対応が必要になるため、丁寧に希望をとりたいと思っている。」と学務課の課長さんはおっしゃっていました。よってどこかに置いてある申出書を書いてもっていくというものではなく、メールまたは直接窓口でやりとりした後、個別に書類を渡してくれるみたいです。本当に親身に対応してくれます。

必要書類は2つです。

  • 通称名に係る申出書

  • 戸籍上の氏名等が確認できる書類

通称等に係る申出書(実際に申請する場合は、所属の学務課に申し出てください)

僕は通称名と戸籍上の氏名のところだけ記入し、理由にはそのまま「ジェンダーニュートラルな名前を必要とするから」と書きました。性自認などを詳細に書く必要は全くありません。

戸籍上の氏名等が確認できる書類は、住民票を提出しました。もちろん本籍地などは必要ありません。名前が分かれば問題ないです。(この書類でもいいのか・・・?と迷ったら気軽にメールで尋ねてみましょう)

僕は金沢に戻るのが新学期がはじまる直前になってしまうので、スムーズに通称名を使用しはじめるために実家から郵送で提出させてもらいました。これも事情を説明して相談すれば了承してもらえます。申請して受理され、新しい学生証をもらえるまで少し時間がかかるので、登録を決めたら自分に都合の良い時期を見計らって早めに申し出ることをオススメします。

通称名登録のメリット

  • 学内では自分の希望する名前で生活することができる

  • プレゼン発表を自分の希望する名前でできる

  • 学内の友人や先生から自分の希望する名前で呼んでもらえる

  • 戸籍上の名前は変わらないので、手続きの都合上ハードルは下がる   うまくやれば家族にも知られない(郵便物やLMSにだけ注意!)

先で述べたように、自分で通称名を名乗って活動するのには不都合なことがたくさんあります。授業で出席確認の際本名で呼ばれたり、オンライン授業ではzoomの名前を本名で書かなければいけなかったり、発表やレポートももちろん本名で行わなければなりません。

(教授に相談すれば通称名で授業に参加することは可能だと思いますが、大学にはいろんな意味でいろんな教授がいますし、いちいち説明する心理的負担は大きいです)

その点通称名登録をすると、学内では授業でもサークル活動でも常に通称名を正式な名前として使用することができるという訳です。(本名を忘れるほど!)

通称名登録の注意点

  • 証明書(学生証、成績証明書・在学証明書など)の名前も通称名で表記される

  • 大学からシステム管理で一斉送付される郵送物の宛名が通称名になる

  • 使用中止する際、申請書を提出しなければならない

証明書や学生証が通称名になると困るのは、例えば留学アルバイトの手続きです。パスポートの名前銀行口座名義と一致しないなどで問題が生じたり、理由を説明しなければならなかったりする可能性があります。

家族に通称名登録を知られたくない場合は、郵便物が実家に届いたときや成績をLMSで確認されるとき、学生証の提示を求められた際などに知られてしまう可能性があります。姓も変える場合はそもそも郵便物が届かないことも考えられます。

また、なんらかの理由で通称名の使用を中止する際、いちいち申請書を書いて提出しなければならないのは正直面倒です。急ぎで本名での証明書がほしい場合も、システムが反映されるまでに時間がかかると焦ります。

これらは臨機応変に戸籍上の名前と通称名を使い分ける(証明書2パターン発行できるとか)ことができれば解決するものですが、学生の名前はシステムで一括管理されているので、すぐに改善されることは難しいみたいです。仕方がないので、メリット・デメリットを十分に理解した上でどうするか判断することが望ましいでしょう。

僕が通称名登録について相談した際は(留学前なので昨年8月頃)、まだまだ前例が少なく相談員や事務員の方の中でもまだシステムを完全に認知できていないようでした。そこで課長さんと副課長さんが直々に話を聞く時間をとって熱心に話を聞いてくださって、改善できるよう努めると約束してくれました。これからに期待しています。


僕はまだ通称名登録をしただけで、大学で使ってみるのは今年の4月からです。もう4回生になるので、周囲にどんな反応をされるのか、実際使ってみてどうなのか、正直不安もたくさんあります。新入生のころにこの制度を知っていればどんなに楽だったことか。

今年の春から入学する人たちには、ぜひこの制度を先に知っていてほしいです。今が一番負担なく変えられるチャンスだと思います。もちろん、2, 3, 4回生の方々が今からでも自分の望む名前を手に入れるひとつのきっかけになればとも期待しています。

通称名登録制度をより多くの人々に知ってもらって、金沢大学での学生生活において余計なストレスなく学ぶ環境を得ることができればと祈っています。


(番外編)

そして実は今日学務に行って新しい学生証をいただいてきました!

大学からの帰り道に山を歩いて下る間、頬をなでる風も、太陽の光も、木々の葉の色も、ヘッドフォンから聞こえる音楽も、いつもより2割増しで鮮明に感じました(ガチ)。いつもは寄らないコンビニに寄って、コーヒーを飲みながらスキップで帰りました。ずっと気になってたかわいいお花も買っちゃいました。

僕が名前を変えても、社会は何も変わらないし、誰の生活にも影響しません。ただ僕の不安やモヤモヤがひとつ減って、いつもより自分のことを好きになれるだけです。そんな制度や変化が、通称名登録以外にももっともっとたくさんあるんだと思います。みんなが少しずつ安心と希望を得られる社会になりますように。


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