"ドーズドーズドーズ" - 02 - ジャケのこと

 午前中から続く長い旅も後半に差し掛かり、体の表面は汗で冷え、わたしはベッドの上に横たわっていました。何に心を動かされたのかは覚えていませんが、目の周りは蒸発した涙で乾いていました。
 -怠惰で既に日常と化したトリップも二週間ぶり。やっぱり、二週間のインターバルが最低限ね。週に一度じゃ、数が増えるばかりだわ。-
 取り止めのない空想と頭の中でする会話。
 目の力を抜いてぼんやりと障子を見つめる。
 障子紙は白。紙の繊維が折り重なって、陽の光を柔らかくする。果たしてそうだろうか。紫外線は突き抜けてんじゃないの?だってほら、畳はそれで傷んでるんでしょう…まあいっか。障子紙の繊維は折り重なって、模様を作ってる。白に白が重なって気持ちがいいな。ザラザラしてる、紙。ザラザラの白にツルツルの白が乗ってたらいいのに。シルクスクリーンとかもそうだよね、ザラザラにツルツルのインクが乗ってて気持ちいいよね。触りたい。ザラザラにツルツルが乗ってんのがいいよね。特に同じ色だとすごくいい。気持ちいいよね。わー。すごい。同じ色なのに質感が違うと気持ちいいな。ああ。今気持ちいいな。わーい。うれしい。じゃあジャケもそうしよっと。ザラザラの紙に、屋外用のペンで。

 その日はよく晴れていて、日曜日でした。

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