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【連載エッセイ】神様に会いにいく

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古事記の神様の物語をひもときながら、京都の神社をめぐるエッセイです。※2016年から約1年間ウェブマガジンKosmagで連載していたエッセイの再掲載です。
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#エッセイ

【エッセイ】神様に会いにいく
Vol.1
はじめに

【エッセイ】神様に会いにいく Vol.1 はじめに

2016年から約1年間ウェブマガジン「Kossmag,」さんにて連載していたエッセイを許可をいただき再掲載することになりました。古事記の神様の物語を軸に京都のいろいろな神社を紹介していきます。カメラマンも編集者もモデルの同行もなし、ひとりで全部やるエッセイ。自撮りの技とともにお楽しみください。
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1.はじめに

数年来の友人であるK氏が

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神様に会いにいく Vol.2 スサノオノミコト(岡崎神社)

神様に会いにいく Vol.2 スサノオノミコト(岡崎神社)



※この記事は2016年9月に書いたものです。

数ある京都の神社の中で、友達に薦めてよかった神社ナンバー1は、岡崎神社だ。狛犬ならぬ狛ウサギがいるこの神社は、子授け・縁結びのご利益で有名で、子授け祈願をした友達が見事に子を授かり、別の友達は恋人ができ、また、うさぎ好きだからという理由だけで連れていった別の友達も結婚して子が生まれ幸せな日々を送っている。すごい。

ちなみにわたしは、うさぎにちな

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神様に会いにいく Vol.3アマテラス (朝日神明宮)

神様に会いにいく Vol.3アマテラス (朝日神明宮)

日本神話で一番愛らしい神と言えば、太陽神アマテラスオオミカミ(天照大御神)だと思う。神様のくせに天岩戸に隠れてしまう無責任なメンタルがたまらない。そして、外のにぎやかな宴会が気になって戸を開けてしまい、まんまと外に引っ張り出されてしまうエピソードは、抱きしめたいくらい可愛らしい。

まるで、わたしみたいだ。

弟であるスサノオが絡むと、アマテラスの可愛さはさらに倍増する。

姉に会いに来たス

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神様に会いにいく Vol.4 天岩戸 (日向大神宮①)

神様に会いにいく Vol.4 天岩戸 (日向大神宮①)

前回の記事に引き続き、今回もアマテラスさまに会いにいくのです。

日本七神明のうち、二社が京都にあって、そのうちの一社が前回の朝日神明宮。そしてもう一社が日向大神宮。日向大神宮は京都のお伊勢さんと呼ばれるほど、たくさんの神様が祀られている。そしてアマテラスが引きこもった天岩戸を祀る神社まであるらしい。

最寄り駅は地下鉄蹴上駅。美しい紅葉で有名な永観堂や、桜がきれいなインクライン、レンガのアー

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神様に会いにいく vol.5 神様オールスター(日向大神宮②)

神様に会いにいく vol.5 神様オールスター(日向大神宮②)

vol.4からずいぶん更新が間が開いてしまいました。この原稿は過去にKossmagというメディアで連載していたものの再録なのですが、なんとこのvol.5だけ原稿がどこかにいってしまって見つからなかったのでした。しかし、写真だけは残っている。もう一度書くのが大変なので往生際悪くあれこれ探していたのですが、ようやく諦めました。書きます。ここさえ乗り切れば、あとは原稿があるのでサクサク更新できるはず!

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神様に会いにいく vol.6 ツキヨミノミコト(月読神社)

神様に会いにいく vol.6 ツキヨミノミコト(月読神社)

なんとvol.6も原稿がなくなっていたので、写真を見ながら思い出し書きをしようと思います。次に訪れたのはここ! 京都の西にある松尾大社。

祀られている大山咋神(おおやまぐいのかみ)はスサノオの孫ということで様々な霊験あらたかな神社で特にお酒関係で有名ではありますが、今回の目的は松尾大社ではなく…

神社より団子…(※この連載はすべて自撮りです)

ではなく…

松尾大社から少し離れた摂社「月読神

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神様に会いにいく vol.7 イザナミノミコト(熊野神社)

神様に会いにいく vol.7 イザナミノミコト(熊野神社)

前回までの連載で、アマテラス・ツキヨミノミコト・スサノオの三姉弟に会えたので、次は彼らの母であるイザナミノミコトに会いたくなった。

日本神話の中で、イザナミほど壮絶な人生、いや神生を歩んだ神はいない。イザナミはイザナギと夫婦になって多くの神々を産んだが、火の神を産んだときに陰部に火傷を負って苦しんで死んでしまった。

そのとき、イザナミは苦しみのあまり尿や便や吐瀉物を漏らすのだけど、なんと、その

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神様に会いにいく vol.8 神さま=仏さま?(新熊野神社)

神様に会いにいく vol.8 神さま=仏さま?(新熊野神社)

イザナミノミコトに会いにいこうと思い、調べてわかったもうひとつの神社が「新熊野神社」。新と書いて「いま」と読みます。熊野神社のニューバージョン? と一瞬思ったのですが、そうではなく、熊野に34回も参詣するほど熱心な熊野信仰者である後白河法皇が自分のお寺を守る鎮守社として創建し、紀州の熊野に対して「新」熊野神社と名付けたそうです。

はい、さらっといろいろややこしいことを書きましたが、おいおい少しず

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神様に会いにいく vol.9 火の神 カクヅチノミコト(愛宕神社)

神様に会いにいく vol.9 火の神 カクヅチノミコト(愛宕神社)

イザナミノミコトは数々の悲劇にみまわれながらも自分らしさをつらぬいたが、「らしさ」を発揮することもなく死んでしまった神様がいる。火の神カクヅチノミコトだ。

vol.5でも説明したように、イザナミはこのカクヅチを生んだせいで火傷をしてしまい、それが元で弱って苦しんで死んでしまう。悲嘆にくれたイザナギはカクヅチを切り殺してしまう。カクヅチは、母を殺し、父に殺されてしまうのである。

火は人間にとって

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神様に会いにいく vol.10 水の神 タカオカミ神(貴船神社)

神様に会いにいく vol.10 水の神 タカオカミ神(貴船神社)

突然ですが、電車に乗ります。

この叡山電車はその名の示すとおり、京都の北東にある比叡山方面に向かう電車。
途中までは街中を走るけれど、だんだん山の中に入っていく。約30分後、「貴船口駅」で降りたらそこは川のせせらぎと緑に包まれる別世界。
ちょっとした小旅行気分になれるのです。

毎日たくさんの観光客が京都にやってくる。京都という町は、きっと、少し特別なことが起こりそうな、ちょっとだけ自分が変われ

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神様に会いにいく Vol.11 イワナガヒメ(貴船神社)

神様に会いにいく Vol.11 イワナガヒメ(貴船神社)

というわけで、前回の続きです。本殿をあとにして奥宮へ向かいます。

貴船は夏は川床料理、冬は牡丹鍋が楽しめる有名な料亭街でもあります。が、目もくれず奥宮を目指すわたくし。

いつかここで川床料理食べたいなあ…と考えていたら急激にお腹が空きました。

腹が減っては取材はできぬ。貴船には料亭だけでなく、お蕎麦屋さんやカフェもあります。二階の窓から川を眺めながら食べるお蕎麦は格別。でんべさん。

さて、

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神様に会いにいく Vol.12 オオヤマツミ神(梅宮大社)

神様に会いにいく Vol.12 オオヤマツミ神(梅宮大社)

※この記事は2016年12月に書いたものです。

突然ですが、わたくし、香港旅行に行ってきました。

香港の人々は、見た目は日本人とそんなに違わないけれど、言葉や文化や食生活がいろいろ違う。でも、どこの国にも神様がいて、大切に祀ってお願い事をしたりするのは一緒だなと思った。

香港の寺院では長いお線香を大量に焚いてお供えしていた。
原色なのに悪趣味ではない、不思議な配色。日本の神社とよく似た狛犬が

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神様に会いにいく vol.13 ヒコホホデミ尊(火尊天満宮)

神様に会いにいく vol.13 ヒコホホデミ尊(火尊天満宮)

※この記事は2016年12月に書いたものです。

本日の主役は、ニニギノミコトとコノハナサクヤヒメの息子「彦火火出見尊(ヒコホホデミノミコト)」です。

vol.11で紹介したこの夫婦は後に天皇の系譜につながっていくためエピソードもなかなか豊富です。

ニニギと結婚したコノハナサクヤヒメは子を宿すのですが、一夜でみごもったため、「本当に俺の子か? 他の神の子じゃないのか」とニニギに疑われてしまいま

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神様に会いにいく Vol.14アメノオシホミミ尊(許波多神社:木幡)

神様に会いにいく Vol.14アメノオシホミミ尊(許波多神社:木幡)

※この記事は2016年12月に書いたものです。

前回はニニギの息子、海彦山彦のエピソードを紹介しましたが、話を少し遡り、今回はニニギの父・アメノオシホミミが主役です。

というのも、ニニギ尊がアマテラス様の孫ということはわかったけれど、ニニギ尊のエピソードを知れば知るほど親の顔が見てみたいという気持ちになりまして、調べたら、天之忍穂耳(アメノオシホミミ)尊という神様がお父さんでした。

つまり、

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