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おさまらない怒りについて、目覚ましのアラームは必要だけど起きたのにアラームを鳴らし続ける必要はないということ。

痛みや疲労は脳が体を守るために発するシグナルだ。もし、足を怪我したのに痛みを感じなければ、足が折れて取り返しがつかなくなるまで酷使してしまうし、疲れを感じなかったら死んでしまうまで動き続けるかもしれない。

痛みや疲労が体を守るためのシグナル、ということは体感的に理解しやすいと思う。

感情も同じだと言うと意外に思うだろうか。
感情は主に脳内ホルモンが分泌されることで発生する。
危険な可能性が高い状況に体がいるときは、不安な気持ちや恐怖の感情を発生させることで、近づくのをやめたり行動するのをやめたり逃げたりできる。
獲物や異性に出会ったときは、何が何でも手に入れたいと思わせるために、欲望の気持ちを発生させる。
つながりを強めて協力しあったほうが生き残れるから、誰かと一緒にいるときは心地よい感情を発生させて、もっとこうしていたいと思わせる。

こんなふうに感情には目的がある。そのことを知ると、感情に振り回されることがなくなるはずだ、理論的には。

ナイフが刺さって痛ければ、ナイフを取って手当てして痛みがなくなるようにする。
それと同じで、不安を感じれば、不安の原因から離れる、もしくは原因を解決させるのがいい。現在の状況がよくない、と言うことを伝えるのが不安の役割なので、それをわかったのに不安でい続けることにはあまり意味はない。

おさまらない怒りについて考えるために、怒りという感情はなぜ存在するのか、と考えてみた。動物の怒りを思い浮かべると、怒った動物は攻撃する。それは、エサを獲得するためだったり、子を守るためだったり、メスを獲得するためだったり、自分を守るためだったりいろいろだけど、それらはすべて、その動物にとって、戦うことが目的を達成するために一番よい方法だから、怒りを感じたら戦うという行動をとる。

でも、人間の場合は、戦って相手に勝つことで目的を達せられるときと、そうでないときがある。

たとえば仕事でクライアントに不条理なことをされ続けて、これ以上続くとプロジェクトが完遂しないというとき。ときには戦って自分の言うことを聞かせることも必要かもしれない。でも、普通はそんなことはしない。ビジネスの社会では、怒りをぶつけることは子供っぽい行為だからだ。

でも、怒りを感じること自体は抑えられない。脳が、その状況を打破しろと命令する。ここでわたしは、こんなふうに脳に答えたい。
わかった、状況を改善する。
だから方法は任せてほしい、と。

取り掛かった仕事の報酬は無事もらいたい。そのためになるべくスムーズに仕事を終わらせたい。そして次の仕事は引き受けず、もう二度と関わりたくない。

これが自分を不快な状況から逃れさせるベストな方法ではないだろうか。よし、じゃあ、この目的を達成するためには、何をしたらいいか。少なくとも相手に怒りをぶつけることではなさそうだ。なぜなら仕事はますますこじれて進まなくなり、報酬もどうなるかわからなくなり、恨まれたりこじれたりしたら、終わった後も不快な関係がずるずると続くかもしれない。

目的を達するためにわたしの考えるベストな対応はこれだ。

現状のままでは進められないことをわかりやすく伝え、どうしたらうまく仕事を進められるか改善点を提案し、プロジェクトを終わらせたら、そーっと離れていく。もしまたしばらくして、一緒にやらないかと言われたときは、このときの怒りを思い出せば、断ることができる。

でも、これには一つ問題がある。相手に怒りが伝わらない。なんだか悔しい感じがする。

なんで悔しいのか、悲しいのか。それは、相手にもっと大切に扱われたいという気持ちがあるからだ。

相手にこちらの意見を認めさせてもっと大切にしてもらう、という目的の達成も同時に目指すかどうかで、また対応が変わってくる。

恋人や友人なら伝えた方がいい。

でも関係を断てばいい相手で、かつ、伝えても伝わらないような相手なら、離れることが一番自分を大切にできる方法ではないだろうか。近くにいれば消耗し続けるだけだ。

そうやって相手から離れても、ぶつけられなかった怒りの感情は残る。
でも、怒りは、そもそも、現状のままではよくないから対処せよ、というシグナルなのに、対処が終わったのに残ってるなんて変な話だ。修理が終わったのにいつまでもエラーランプが灯っているみたいだ。起きたのに目覚ましアラームが鳴り続けているみたいだ。

たぶん、わたしたちは、感情をちょっと誤解している。
感情は大切だ。自分を不快で危険な状況から逃れさせるために必要だから。
でも感情のアラームを鳴らし続けること自体が大切なのではない。
ナイフが刺さってるから抜こうとしたら「痛みは大切だから抜いちゃダメ」って言う人はいない。不安や怒りや悲しみそのものに溺れてはダメだ。
気づいたらアラームを止めて原因解明して対処する。

そんなわたしになりたいです。

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