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わたしがnoteを有料にしない理由

500円あれば文庫本1冊買えて(最近はそうでもないかも?)、ウェブには無料で読める記事が溢れているのに、noteには、お金を払って購読している人がたくさんいるのは、不思議で面白い。

もちろん内容に価値を感じているというがいちばんの理由だけど、たぶんそれだけではないと思う。本よりもリアルタイムで届く感じがいいのかもしれない。なまもの、ライブ感。このnoteの向こうに著者がいて、いまさっきまでこんなふうに考えていて文章を書いて投稿をした、その確かな存在感や気配がいいのかもしれない。

お金を出さないとその仲間に入れないのなら、出す価値はあるという人もいるのだろう。有料であることが、プラスに働いているのかもしれない。

普通の世の中では無料の力は圧倒的に大きい。広告で利益を上げ著者や出版社にもきちんと印税が入る、健全な無料漫画サイト「スキマ」で自分の原作コミックを見つけたときに、有料サイトとは一桁多い感想が並んでいて、嬉しいけれども複雑な思いがしてめまいがした。無料なら読まれるけど、有料だとなかなか読んでもらえない(有料でも1話無料などのキャンペーンが購読のきっかけになることが多い)。

ただし、無料漫画のケースは最初から無料なのではなく、本来有料のものが無料で読めるというお得感が読みたい気持ちを後押しするのかもしれない。

というわけで、わたしは単純に有料よりは無料のほうが読む人が多い、と考えている。そしてたぶん、それは、ここnoteにもあてはまると思う。(読もうとして有料だからやめたことが何度もあるわたしの経験からも言える)。

記事の有料化にはとても興味があるけれど、わたしはいまのところ、記事を有料にして、読んでもらえるチャンスを減らすつもりはない。このnoteを出会いの場にしたいからだ。

なんて、ちょっとカッコよく書いたけど、もっと身もふたもないことをいうと、noteという無料の文章を入り口にして、わたしの作品を読んでくれる人を増やしたい。イベントや舞台をしたら見に来てくれる人を増やしたい。

作品を読んでもらったり、思いついた表現を形にして見てもらったりするのがわたしの「楽しい」ことだから、それが続けられるためには、楽しんでくれるお客さんが必要だ。(資金も必要だけも、それは他の仕事でなんとかする)

有料というハードルはここではなく、作り上げた作品に設けたい。作品にお金を払って、対価に見合う楽しみを見出して満足してもらえて、次も、と思ってもらえたら、作家の本望だから。そこには無料でたくさん見てもらえるのとは別の、喜びがある。やりがいと言おうか、プロとしての達成感といおうか。

対価に見合う価値を提供できているか、いつも自分に問いかけながら作品をつくっていきたい。そのほうがきっと作品もよくなるはずだ。

わたしはよく、作り手の考えや人柄などを知って作品を見たくなることがよくあるので、同じような人が現れたらいいなと願いながら、ちまちまと続けてみようと思う。

ああ、8万字書いた長編小説(エロあり)が300円なんですけどねえ…(はるか高い有料の壁を見上げながら)。あ、無料で読んでくれるのも大歓迎ですよ。

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