小説の書き方の教科書のようなもの①

某所の仕事で小説の書き方の教科書のようなものを書く必要があるのですが、腰が重くてなかなかとりかかれなかったので、こうやって公開して連載してモチベーションを高めようという最終手段に出ました(掲載先の許可もらってます)。
完成後は、有料記事として公開しようかなと思っています。500~1000円くらい? 結構お得なのではないかなと思います。
それでも高いという人は、連載中は無料公開しておきますので、期間限定の推敲前のものですが、ぜひご覧ください。リアルタイムの初稿なのであとで変わる可能性が大いにあります。それでもよければ、ぜひ。9月末までには何とか完成したいので、そこまでの期間限定になるかなと思います。

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目次(仮)

1. 小説とは何か
 1. フィクションを書くことのメリット
 2. 現実とフィクションをつなぐ小説の技術 
 3. 小説だからできること
2. 心の描写に挑戦する
 1. 心の描写がないと魅力的な人物は書けない 
 2. 心の動きを書く方法
 3. 自分の心を描く
 4. 登場人物の心を描く
3. 登場人物の生み方・育て方
 1. 想像力と観察力から人物は生まれる
 2. 自分ならどう感じるかを起点に想像する
 3. 現実とのつながりを徹底的に考えれば人物は育つ
 4. 魅力的なセリフはどうやって生まれるのか
 5. 語り手の選択
4. ストーリーの生み方・育て方
 1. ストーリーはどんなときに生まれるのか
 2. つじつまを合わせたい脳がストーリーを生み出している
 3. 現実とのつながりに徹底的にこだわる
 4. 疑問や矛盾が出てきたときは面白くなるチャンス
 5. 作者の都合でストーリーを捏造してはいけない
5. 設定を書かずに伝える描写の技術
 1. どのシーンから書くか、順番が世界を作り上げる
 2. どんな人物を主人公にするか 
 3. 使う言葉を選ぶ
 4. 一人称の地の文は主人公によってどう変わるか
6. 小説の書き方
 1. 一人称で書くか、三人称で書くか
 2. 自分とは違う人物になって物語の世界を生きるには
 3. 設定を増やしすぎると物語は薄くなる
 4. 構成力をつけるためのトレーニング方法
おまけコラム:初心者の疑問Q&A

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 はじめに、前提をいきなりひっくり返すようですが、小説の書き方の教科書などこの世に存在しないよなあ……と、わたしは考えています。わたし自身も教科書のようなものから小説を学んだわけでも、誰かに教えてもらったわけでもありません。強いて言えば、心酔した小説作品の数々がわたしの師匠かもしれません。でもその師匠たちは書き方を教えてくれるわけではありませんでした。

 わたしが物語を初めて書いたのは幼稚園のときです。『こんなどうぶつうそほんと⁈』(佼成出版社)という架空のへんてこな動物たちが紹介されている絵本を見て、絵本にはない新たな動物を自分で考えて同じような形式で勝手に続きを書きました。
 小学生のときには、ノートに漫画を書いてクラスメイトに見せていました。小説らしきものを書いたのは小学校5年生のとき。生き残りのニホンオオカミの子どもがシカの群れに育てられる話を書いていました。

 さて、何が言いたいかというと、わたしは早くから書いているから偉いと自慢したいわけではなく(活躍している作家さんを見たら早くから書き始めたかどうかは関係なさそうです)、物語をつむいだり、文章で表したりすることは誰にも教えられなくても自然にできるのではないかなと思うのです。特に子どもの頃は、それを素直に表すことができます。しかし、大人になるとできなくなるのです。なぜでしょう。きっと、大人になるにつれて嘘をつくことは駄目だと教えられますが、そのときにうっかりフィクションの物語にも嘘のレッテルが貼られて、フィクションの物語をつむぐのは大人として駄目なもの、くだらないもの、恥ずかしいものとして分類されてしまうのではないでしょうか。嘘をつくこととフィクションの物語をつむぐことは全然違うのに。
 わたしはそれに抗ってフィクションの物語を紡ぐことをやめずに大人になったひとりですが、ずっとそれをやり続けて確信したことがあります。それは、物語を紡ぎ、それを人に伝える形に変換する力が、案外役に立つということです。自分のためにも、人のためにも、もしかしたら世の中のためにも役に立つ力なのです。

 それに気づいて以来、わたしは物語を紡ぎたいという人がいれば、その人の世界が上手く表せて、多くの人に伝わるような手助けができたらいいなと思うようになりました。ひとりひとり、心の中にある物語は違います。そして物語を紡いで伝える力はその人を幸せにし、その物語を受け取った人をも幸せにします。わたし自身、小説を読むことと書くことに、何度も救われてきました。

「小説」や「物語」に恩返ししたい。この「教科書のようなもの」はそのモチベーションで書かれています。ほかの人がどんなふうに書いているのか、わたしにはわかりません。ただ、わたし自身がどのように書いているかを見直し、言語化して、体系的に書いてみようと思います。正確には教科書というより参考書と呼んだ方がいいかもしれません。ただうのみにするのではなく、この本を読んだあとはぜひ、実践し、自分のやり方とどう違うのかを比較してみてください。考え方のヒントにはなると思います。また、他の作家がどんなふうなことを考えて書いているのか、エッセイや指南本や講演などでぜひ聞いてみてください。そして最後には自分のやり方を見つけ出して下さい。

 第一章は、小説とはどういうものか、わたしの考えを書いています。技術だけを知りたい人はここは飛ばしてもいいでしょう(でも、できれば読んでいただくと、後の章の理解がスムーズだと思います)。逆に自分は書かないけれども、小説を読むのが好きだと言う人はぜひここだけでも読んでほしいと思います。小説をもっともっと好きになると思います。
 2~4章では、大人になってカチカチになってしまった頭と心を解きほぐし、本来の意味で想像力を使う方法をしつこく解説します。これをしなくては何を書いてもつまらないものになってしまうからです。小説の純粋な技術の話をするのは5~6章です。

 手っ取り早く技術を知りたい人にとってはずいぶんバランスの悪い構成かもしれません。ですが、もし、すでに小説を書いていてある程度文章も書けるのに伸び悩んでいるという人にこそ、2~4章を読んでもらいたいと考えています。

 初めて小説を書くという人は、これを読んで難しいと感じるかもしれません。当然です。わたしが20年近く試行錯誤し続けてきたいろいろなことが、すべてここにおさまっているからです。そしてわたしも未だに、小説を書くより難しいことは他にないのではないか、と考えているくらいです。毎回うんうんうなっています。
 小説を書くって面白そうだなって思ってもらい、実際に書き始めてもらえさえしたら、この本の役割は果たせるのです。そして、書きながらつまづいたときに、戻ってきて読んでもらうとヒントになることが載っているかもしれません。

 それでは、「小説を書く」ツアーへ出発しましょう。少々体力と想像力が必要なので、自分のペースでごゆっくりどうぞ。

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寒竹泉美

京都在住の小説家です。医学(博士)です。理系ライターもやっています。

小説の書き方の教科書のようなもの

モチベーションを維持するために、完成するまでは無料公開しています。完成したら500~1000円くらいで有料化します。無料で読みたい人は推敲前の粗々ですが、よかったらどうぞ。9月末くらいまでには完成したい。
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