マーク・ニューソンという男

マーク・ニューソンを知っているだろうか。私たちの世代で最高のデザイナーの一人で、その仕事は『味の素の瓶』から、飛行機に至るまで、多岐にわたる。一番有名なプロダクトはApple watchだろうか。とても遠いところで高級品ばかりを手がけているのではなくて、私たちとって身近で安価なプロダクトも手がけている。

デザイナーとアーティスト

 デザイナーとアーティストの最も大きな違いは、「売れなくてはいけない」という点だ。ただ「かっこいい」や「きれい」なだけでは大量生産社会におけるプロダクトのデザインとして成り立たない。見た目だけでは無くて、機能面でライバル製品よりも優位に立たなくてはいけない。またコストの問題もある。そういった制約の中で最高の仕事をするのが、著名な「デザイナー」たちだ。

 

 そういった意味での「デザイナー」として、マーク・ニューソンは抜きん出た才能を発揮している。

 彼のデザインは、柔らかな曲線と硬質感の同居、そして効果的な明るい色使いが特徴的だ。

クールな「味の素瓶」

 彼の手がけた「味の素の瓶」を見てみよう。 

とてもシンプルに仕上げられていますが、ガラスの性質をうまく活かして、シャープさと曲線の美しさ、やわらかさを同居させている。そこに『味の素」ロゴが加わって、商品としてのインパクトを強めている。日本の文字/ロゴデザインは最小限ですべてを表す「引き算のデザイン」なので、現代的なデザインとも通ずる部分があって、意外な相性の良さがある。

 材質はただのガラスとプラスチックだが、へたな宝飾品よりも洗練されていて、継ぎ足して使いつづけたいデザインだ。

乱暴に言ってしまえば、「ただの小瓶」ですが、それをここまで仕上げるのが、マーク・ニューソンという人物なのだ。

万年筆

 万年筆のトップメーカー、Montblancにも彼の手がけたプロダクトがあります。「Montblanc M」だ。

 どうだろうか。万年筆をコレクションしているような層からは不評なのだが、個人的にはかなり気に入っていて、いつか購入しようと思っている。

 

 多くの高級万年筆は、個人的に「偉そう」で、好みではない。しかしこれは、クロームパーツはクリップのみで、そのクリップもシャープに仕上げられている。大きな特徴は尻軸が削り取られたように平たくなっていることだ。美しいラインを描いて、モンブランのロゴに続く。この尻軸部の「削り」によって黒いボディに光が反射して、まさに「ブラックビューティー」な「内なる色気」を放っています。一目みただけではシャープな感じだが、、じっくり眺めてみるとつややかで、こういう「所有者だけの楽しみ」みたいなものは個人的には大歓迎だ。

 「ドイツのLAMMYみたいで、わざわざモンブランでこのモデルを買う意味がない」という批判もあるのですが、この「M」はモダンなデザインでありながらも、伝統や歴史からくる「重厚感」を見事に融合させた、見事なプロダクトだと思う。

まとめ

彼の手がけた他の身近なプロダクトには、食器セットや、カメラなどがありる。どれも頑張れば手が届くくらいの価格帯なのでお財布的には恐ろしいが、気張ることなくさらりと使えるプロダクトばかりなのはさすがの技だ。


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doukin

酒とバラの日々を気取っても、実情は半ば世捨て人。白黒映画の彼にあこがれ、タイプライター代わりのキーボードに向かう。
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