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2022 J1 第32節「ジュビロ磐田vs鹿島アントラーズ」超主観的振り返り-ゆりかごダンスは反撃の狼煙、杉本健勇と歓喜の渦-

磐田 3-3 鹿島
【得点者】
磐田:鈴木雄斗(前半31分)、金子翔太(前半33分)、杉本健勇(前半45+5分PK)

鹿島:樋口雄太(前半10分)、エレケ(後半2分)、エヴェラウド(後半45+3分)

「うそだろ・・・。」

後半アディショナルタイムで同点に追いつかれた瞬間、ゴール裏で勝利を願っていた私の全身から力が抜けました。

10月8日。ホームヤマハスタジアムでの鹿島アントラーズとの一戦。

もう絶対に、勝ち点3を獲るしかなかったこの試合。
残念ながら、3-3のドロー決着となりました。

前半は3-1とジュビロリードで最高の折り返しをみせました。

今日こそは勝てる。

しかも相手は強敵であり、かつて覇権を争った鹿島アントラーズ。
絶対に勝ちたい。

しかし、最後の最後でジュビロの手から勝利はこぼれ落ちました。

でも、ジュビロの選手は終始懸命に走り、最後までファイティングポーズを崩しませんでした。
今年の夏場以降、極度の得点力不足に陥ったジュビロでしたが、鹿島相手に前半だけで3得点。

試合終了後、ゴール裏に挨拶に来たジュビロの選手達の顔は、勝利目前だっただけに悔しそうな表情が並びました。

でもスタンドからは大きな拍手が沸き起こり、戦いを終えた選手達を労いました。選手達の奮闘と戦う姿勢がスタンドにも伝わっていたと思います。

これでジュビロのJ1残留の可能性は極めて厳しくなりました。

勝てていただけに、悔しい。本当に悔しい。

でも、ヤマハスタジアムから帰る車を運転しながら、試合終了と同時に倒れ込んだ選手達を思い出し「あれが今のジュビロの精一杯だったのかもしれない。」とも感じました。


スターティングメンバー

出場停止だったリカルドグラッサがスタメン復帰。
ジャーメイン良は9月3日のホーム柏戦以来約1か月ぶりに帰ってきました。

スタメンCFは杉本健勇。一方で心配なのはファビアンゴンザレスがベンチ外だったことです。後半からジョーカーとして投入されることを期待していただけに、今後が気掛かりです。

前節セレッソ大阪戦で一発退場となった鹿沼直生は出場停止。

遠藤保仁、小川大貴、吉長真優、森岡陸などはベンチから外れました。

ゆりかごダンスは反撃の狼煙

前半10分樋口雄太選手のミドルシュートが炸裂。後からDAZNで見返しましたが樋口選手は完全にフリーでしたね。試合開始早々に得点を献上してしまうジュビロのいつもの悪い癖がまたも起きてしまいました。

ここで鹿島は、ジュビロホームのメインスタンドに向かってゆりかごダンスを披露しました。

結構な長い時間かけていたので、正直あまりいい気分ではありませんでしたね。周りのジュビサポさんもちょっとイライラしてました。ジュビロの選手達もダンス終わるまで待っていたので。

サッカーの試合で時折この風景を見るのですが、当人たちは気持ちが良いのでしょうが、試合中にそこそこ時間かけて披露するのは考え物ですね。

しかし、ヤマハスタジアムでの敵チームのゆりかごダンスは、ジュビロにとって反撃の狼煙でもあるのです。

思い出して欲しいのです。

4月28日。第10節ホームヤマハスタジアムでの名古屋戦。
先制した名古屋はゆりかごダンスを披露しました。

その後、何が起きたか?

大津祐樹の電撃逆転弾が炸裂。ジュビロは勝利をおさめました。

ヤマハスタジアムのゆりかごダンスはジュビロの闘争心に火をつけるのです。そしてそれは今回も現実になります。

ジュビロの反撃の狼煙が上がりました。

鈴木雄斗の同点弾

前半31分。松本昌也からのパスをおさめ、左サイドを抉った金子翔太。すかさずクロスを上げます。杉本健勇がスルーして、後ろから鈴木雄斗のシュートがゴールネットを突き刺して同点に追いつきます。

鈴木雄斗は、4月17日のホーム広島戦以来の約半年ぶりのゴール。
今年の序盤戦は、J1の得点ランキングの上位にいた鈴木雄斗が本当に久しぶりにゴールを決めて、ヤマハスタジアムの雰囲気が一気に好転します。

絶好調 金子翔太の逆転ゴール

後半戦絶好調の金子翔太。前半33分。上原力也の鋭い縦パスから山田大記、金子翔太と繋ぐ。見事にGK早川友基選手を交わして逆転ゴール。

私はホームゴール裏で見ていたので、細かい動きは確認し難かったのですが、大型ビジョンでスローのリプレイが映し出されると、金子翔太の華麗なGKを交わす姿にスタンド全体に歓喜のどよめきが起こりました。

そして、反撃劇場はこれで終わりではありませんでした。

杉本健勇と歓喜の渦

前半アディショナルタイムの46分。右サイドから山本康裕があげたクロスに三竿健斗選手の左腕にボールが当たり。PK獲得。

「誰が蹴る?誰が蹴るの?」「健勇?大記かなあ?」

周りのジュビサポさんからは、PKを誰が蹴るのか?で色んな会話が聞こえます。

ボールをペナルティマークにセットしたのが杉本健勇とわかった瞬間
「遂にこの時が来た。」
とばかりに大きな拍手が沸きあがると共に、ヤマハスタジアムに緊張の空気が張り詰めました。

ルキアンが抜けた穴を埋めるべくジュビロに来てくれた杉本健勇。しかし、今季終盤に至るここまでに1本もゴールを決めることはできませんでした。

PKに至るまで、金子翔太と会話する健勇の様子は見えたのですが、ここでも翔太はさすがの心意気を見せていました。

翔太もあのとき「気楽に蹴ってください」と言ってくれて、もちろん決める自信はありましたが、凄く気持ちが楽になりました。

杉本健勇の試合終了後のインタビューより

ジュビロにとっては今季初のPK。
杉本健勇の今季初ゴールがかかったPK。
運命の時がやって来ました。

見事にゴール左隅に決めて、前半を3-1で折り返すという最高の展開にヤマハスタジアムの拍手は鳴り止みませんでした。

私の心境です。

苦悩する健勇について、先日noteの記事にしました。

かつては中山雅史さんが背負い、去年は小川航基が背負った背番号9。
ジュビロでFWを務めることの難しさ。
健勇の今年一年のプレーを見て実感しました。

ようやく、呪縛を解いた健勇に涙が止まりませんでした。

力尽きた後半

前半を3-1で折り返したジュビロでしたが、後半開始早々にエレケ選手に1点を返されるという、またもジュビロの悪い癖が出てしまいます。

なんとか追加点を奪って引き離したかったジュビロですが、ラッソもいないベンチには残念ながらそこまでの力は残されてませんでした。

それでも後半アディショナルタイムまでは何とかリードを保ちましたが、試合終了まで残り3分。途中出場したエヴェラウド選手に同点ゴールを決められてしまいました。

後半から5枚の交代カードを切って、最悪でもドローに持ち込む鹿島の選手層の厚さ。そのカードには同点ゴールを決めたエヴェラウド選手も含まれていました。

ジュビロはその鹿島の選手層から繰り出される攻撃に太刀打ちすることができませんでした。

交代カード余らせてしまった問題

一方のジュビロは交代カードを2枚余らせてしまいました。
試合後の渋谷監督インタビューでも、記者からその点も突かれました。

私自身はバランス良くプレーしていたと判断しました。そこについては選手にどうこうというよりは、私自身が交代をうまく使えればという反省があります。最後に失点してしまったということで、あとからはどうとでも言えるとは思うのですが、交代する選手はしっかりと準備していたのでもう少し上手くできたんじゃないかとは思います。その他にも時間の使い方ですとか、そういったことも含めて次のマリノス戦に向かっていくために選手たちに伝えていきたいと思います。

渋谷監督 試合後のインタビュー抜粋

後半鹿島が交代カードをどんどん切って来るのに対し、ジュビロのベンチの動きが少ないことは私も気になっていました。

渋谷監督も「バランス良くプレーしていた」というコメントからもあったように、交代して試合を壊す方を懸念しての采配だったようです。

渋谷監督を庇うわけでは無いですが、今回の試合展開と控え選手を照らし合わせた時に、じゃあ誰を交代する?と思ったらあまり交代できなかった事情も分からなくはないです。

ベンチに小川大貴、鹿沼直生、ラッソあたりが入っていればまだ違ったやりくりができたかもしれません。

個人的には大津祐樹を後半早い段階で出すという手もあったかな?とは思いますが、あくまで素人の考えです。

次節へ向けて

10月8日試合終了時点の順位表はこちら。

残留圏の15位アビスパ福岡との勝ち点差は9。
J1残留PO進出の16位ガンバ大阪との勝ち点差は8。

残り試合は4試合ですが、ジュビロがJ1残留を果たすのは、勝ち点差的にはもはや奇跡と言って良い状況になってしまいました。

次節は10月12日。アウェイ横浜F・マリノス戦。

相手は優勝目前の最強チーム。
日産スタジアムには大勢のマリノスサポーターが詰めかけるはずです。

誰がどう見ても、横浜F・マリノスが断然有利でしょう。

しかし、ジュビロにはこのままで終わって欲しくない。
優勝目前のマリノスですが一矢報いて欲しい。

今回の鹿島戦だって、下馬評では鹿島勝利と予想する人が多かったと思います。それでも試合終了間際までリードし、結果的ドローとなったジュビロ。

古い言葉かもしれませんが「勝負はやってみなければわからない」のです。

ジュビロの最後の戦いを見届けたいと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。
ジュビロ磐田のファン・サポーターに歓喜が訪れることを願って。


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