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ゼロからイチを生み出した日。ー 静岡SSUボニータ応援グループ「BLUE GALLOP」初陣 ー

私が初めてその姿を見たのは、2023年夏のことでした。


2023年9月3日。

私は大阪府堺市にある「J-GREEN堺S1メインフィールド」へ向かっていました。

女子サッカーなでしこリーグ1部「静岡SSUボニータ」のアウェイゲームを観戦するためです。

相手はスペランツァ大阪。

スペランツァ大阪は11位、ボニータは12位。勝ち点はお互いに同じ13。1部リーグ残留をかけた大事な直接対決となりました。


この日の気温は公式記録では42.3℃
灼熱のスタジアムでした。

私はアウェイ側バックスタンドに座り、選手のプレー中の写真を撮ろうとカメラを準備しながら待っていた所、太鼓を抱えて応援の準備をされている方々がいました。

「ボニータに応援団体なんてあったかな?」

当時、静岡SSUボニータには、コールリーダーが先導してゴール裏で応援するような、いわゆる応援団体と呼ばれるものはありませんでした。

そのため、ホームゲームでは、ボニータのベンチ外の選手達が、試合開始直前に「応援レクチャータイム」を設けて、スタンドの来場者に向けて手拍子の練習をしてから試合に臨んでいました。


試合開始前にそのコールリーダーの方は、ボニータの応援来場者に向けて「有志で応援している」と説明していたと思います。

コールリーダーが1人
太鼓が1人。

この2人が中心となって、灼熱の大阪で戦うボニータの選手に向けて、懸命にチャントを歌い、声援を送っていました。

アウェイゲームなので、私を含めボニータを応援する人は数えるほどしかいません。

私は元々目立つのはあまり好きではない性分なので、声出しはできませんでしたが、手拍子で応援。

その効果もあってか、ボニータは4-1で快勝。

2023年はボニータにとって1部リーグ昇格初年度だったこともあり、レベルの上がった対戦相手に苦戦。なかなか勝ち点が積み上がらない状況でした。それだけにアウェイゲームで貴重な勝ち点3を積み上げたのは大きい結果でした。

夕焼けに染まるアウェイスタンド。

そこには、わずかのサポーターしかいませんでしたが、選手達はスタンドまでやって来てくれて、勝利を祝う「ボニータ!オレ!」の掛け声がいつまでも続きました。





年が明け、2024年1月21日。初めて大阪で見た有志の応援グループが「BLUE GALLOP」として発足することが発信されました。


灼熱の大阪で応援していた姿を見ていたので、遂に新たに団体として発足を表明したその行動力に感心しました。

私はボニータを応援する気持ちは負けないつもりではいますが、新たな組織を生み出し、先導して応援するという所までは至りませんでした。

ゼロからイチを生み出した瞬間

を見た気がしました。


サッカーの応援団体に限らず、既存の組織・団体に対し、異論反論様々な意見をぶつける場面に出くわすことがあります。

「じゃあ、自分が思うようにイチから作ってやれんのか?」

と問われれば、ほぼ全員がNOと答えると思います。

言うは易く行うは難し。

組織を立ち上げることは、本当に勇気が要ることだし、周囲の様々な意見、それこそ雑音にしか聞こえないものにも立ち向かわなければならない事だってあります。

それでも

応援したいチームの選手達の背中を押してあげたい

ただその一心で団体を立ち上げること。

その決意には心から敬意を表したいと思います。


「BLUE GALLOP」のメンバーは、選手一人一人のチャントを作り、横断幕を作り、応援の練習を重ね、開幕戦に向けて備えていました。

私も、何度かその場に参加させてもらいました。

決して多くは無いメンバーで、ゼロからイチをつくる作業の連続でした。

でも「ボニータが好き」な人たちが集っての作業。

大変な作業だったとは思いますが、推しの選手の話をしながら、いつもそこには笑顔があったのが印象的でした。



2024年3月17日。

なでしこリーグ2024シーズンが開幕。

静岡SSUボニータは、ホームのヤマハスタジアムに前年優勝チームのオルカ鴨川FCを迎え撃ちました。

来場者数は、クラブ史上最多の1244人

BLUE GALLOPは、ゴール裏の中心位置に陣取り、応援準備完了。


私も声出し応援に参加させてもらいました。

実は、ゴール裏での声出し応援は初めてだった私。

ジュビロ磐田の応援で2020年~2022年の3年間ゴール裏で応援していたのですが、当時コロナ禍のため声出し応援は禁止。手拍子のみの応援でした。

2023年に声出し応援が解禁されて以降は、バックスタンドやメインスタンドで応援することにしました。やっぱり、私は目立つのが苦手な性分なので、ゴール裏での応援はあんまり合わない事を実感したからです。


でも、BLUE GALLOPのメンバーが開幕戦に向けて一生懸命作り上げてきた過程を見てきたので、こんなおっさんでも多少は力になれればと思い、応援メンバーの端っこでチャントを歌って応援させてもらいました。


結果、思いのほか、自分は声が枯れるのが早いと気づき愕然(苦笑)。


90分間みんなすごい声が出るなあと感心しつつ、試合終盤は枯れ枯れの声の私。

ボニータの山本心選手の先制ゴールのときには、メンバーの皆でハイタッチで喜びを分かち合いました。

「ゴール裏ってこんな感じだったよな」

そんな懐かしさも感じながら久びさのゴール裏応援でした。


結果は1-1のドロー決着。しかし、前年優勝チームのオルカ鴨川FCと勝ち点1を分け合うナイスゲーム。


試合終了後、ボニータの選手達はゴール裏まで挨拶に来てくれました。

「ボニータ!オレ!」「ボニータ!オレ!」「ボニータ!オレ!」

選手達の健闘を讃えるコール。

私も一緒にコールしながら、2023年の夏の大阪を思い出していました。




「ボニータを応援したい。」

というただ一つの想いで集ったBLUE GALLOPメンバーの皆さん。

ゼロからイチを生み出した歴史的な瞬間に立ち会わせてもらいました。

今年もなでしこリーグ1部の戦いに挑むボニータは、厳しい戦いを強いられると思います。でも、ボニータの上位進出に向けて、BLUE GALLOPの応援がきっと大きな力になることを信じています。


「BLUE GALLOP」の初陣。
本当におめでとうございます。


最後までお読みいただきありがとうございました。
静岡SSUボニータとBLUE GALLOPに歓喜が訪れることを願って。

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