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ジュビロ磐田 渋谷洋樹監督 就任記者会見

既に渋谷洋樹監督による新体制がスタートしているジュビロ磐田。

去る8月18日、ジュビロ磐田 渋谷洋樹監督の就任記者会見が行われ、会見内容が公式ホームページにアップされた。

各メディアの報道をみると、公式ホームページにアップされて無い内容もある。気になった部分を抜粋しながら感想を記す。

全 般

可能な限り情報開示してくれたと思った。感謝申し上げたい。
特に補強の件は交渉事なので、言い難い点もあったと思う。
ただ、鈴木秀人トップチームマネジメント部長解任についての詳細に触れなかった点は残念だった。

伊藤彰監督解任の決め手

ただ浦和戦の一つの負けが大きなインパクトになってしまいました。0-6というスコアもさることながら、選手達が一丸になって戦うという姿勢を見せられなかったことが、非常に大きな理由になります。終わってすぐ、この状況でこの先戦えるのかと。そういう中で、今のチームの中にカンフル剤を入れる必要があると。

小野社長 記者会見コメント

「この状況でこの先戦えるのかと」

確かに浦和戦0-6で大敗したのはショックだったけど、本当に選手達の気持ちが切れたのだろうか?戦う姿勢は見せられてなかったのか?個人的にはそこまでの印象は無かったのだが。

小野社長は、カンフル剤つまり「彰さん解任」で選手が奮起すると踏んだ。

山田大記の下記ツイートや過去の選手達のコメントでも彰さんとの関係は、外から見る限りは決して悪いようには思えなかった。

内部の人間しか知り得ないこともあるだろう。浦和戦の大敗で、彰さんと選手の心境に大きな変化が生じた可能性もある。

渋谷監督就任までの経緯

――いつ渋谷監督自身に就任の要請があったのか、そのときの想い、決断に至った理由は?
要請があったのは月曜日(8月15日)です。監督として今リストアップされているけど、その場合はどうですかというのは聞かれました。私自身も伊藤前監督がやってきたこと、ジュビロがやろうとしていたこと、それに僕は賛同して伊藤前監督と共にここにお世話になっているので、「この形をしっかりと証明したい」という思いが強くて、私自身からやらせて欲しいという形でお話をさせていただきました。なかなか結果が出ない中で皆さんももどかしさ、悔しさ、いろんなものは持っていたと思いますので、何とか私が少しでも皆さんの気持ちが晴れるような戦い方ができて、なおかつ目標を達成させられれば、という想いが凄くあったので、自分自身からそこでやりたいと。オフ明け一日目の練習を見て、選手たちの顔を見て、この素晴らしい選手達ととにかく最後の闘いを繰り広げて、最後には笑いたいなと強く思ったので、自分からお願いしました。

渋谷監督 記者会見コメント

伊藤彰監督の解任発表は8月14日。その翌日に要請があったことになる。
つまり、解任してから、後任選びに動いていたということ。

こういった人事は、病気などによる突発的な事情でない限り、事前に水面下で調整するものだと思っていた。なぜなら、スムーズに後任が決まらない場合、監督不在の空白期間が生じてしまうからだ。

案の定、浦和戦後のチーム練習が再開した8月15日は監督不在の状態だった。

渋谷さんのコメントを読むと、監督不在で練習再開せざるを得なくった状況と選手達の顔を見た渋谷さんが「責任感」から自ら手を挙げてくれた。渋谷さんに足向けて寝られない。本当に感謝しかない。

もし渋谷さんが固辞したならば、どうするつもりだったのだろうか?

ちなみに、2020年シーズン途中にフベロ監督から鈴木政一監督に交代したことがあったが、フベロ監督は9月30日の山口戦まで指揮を執っており、2日後の10月2日の解任と新監督就任を同時に発表していた。今回のような監督空白期間は生じなかった。

鈴木政一さんも監督候補

公式ホームページには記載されていないのだが、スポーツ報知によると前ジュビロ磐田監督で現クラブアドバイザーの鈴木政一さんについて質疑があった。

小野社長「鈴木政一クラブアドバイザーも候補に挙がっていたが、昨年体調を崩された。色々な選択肢の中から、残留するのに一番ふさわしいのは誰かを考え、渋谷さんを選んだ。監督経験も豊富で実績もある。ここまで積み上げてきた形をどう変化させてJ1残留を勝ち取るのかという意味もある」

Yahooニュースより(スポーツ報知

鈴木政一さんが候補に挙がっていたことは、渋谷監督正式決定前から一部新聞やネットで報道されていた。

健康面で不安があったのは、去年のジュビロを見ている人ならば知っている。だから、もしかしたら「ガセネタ」の可能性もあると思っていた。
それが、蓋をあけたら事実だった。

今回の監督不在の空白期間は、政一さんや色々な選択肢を打診・検討したことによって生じたのかと思うと残念に思う。

夏の選手補強

補強は全然していないわけではありませんし、予算については3年前の監督交代時以上のものを準備してました。
6月のウィンドーがオープンする前からフリーの選手、オープンしてからも様々な選手と交渉していく中で、伊藤前監督が求めたものは今のチームの中での戦術理解、チームのコンビネーションでした。伊藤前監督からのリクエストとしては、「J1リーグの経験者」以外は今チームに入るとチームの練習の中でのバランスが壊れてしまうことが非常に怖いと。そこをヒアリングしながら、ピンポイントで何人かの選手のリクエストをいただきました。J1リーグの中の一定レベルの選手ですから、鈴木秀人前トップチームマネジメント部長は苦労しながら、一人ずつチーム、選手と交渉を重ねながら進めていました。
取ってほしいのはこういう選手、それよりも今の選手達と戦術理解を高めながら、まだまだレベルを上げていくんだというのが今回の趣旨でした。そういう状況でしたので、なかなかそれは外には発信できませんでしたけれども、もちろん外から見れば、無得点で4連敗してるわけですから、そんなこと言ってる場合かと。そう言われても不思議ではないと思います。
ただ我々としては、今年はこの監督で一年やるんだと、それを信じて任せたんだと。そういうことを踏まえてそれを一番リスペクトして、それを一番大事にできる環境をどう作ってあげられるのかと。そこでこういう選手が欲しいといったことに対して準備してあげられなかったのは、ジュビロの力不足です。そういう部分は否めません。

小野社長 記者会見コメント

今回の記者会見で最も驚いたのが
「予算については3年前の監督交代時以上のものを準備してました。」
というコメント。

ジュビロは赤字続きなのに3年前以上の補強予算があったとは。
予算が無いからあまり補強できないとばかり思っていた。

3年前の2019年夏の補強選手といえば、
エベシリオ、秋山陽介(期限付き)、ルキアン、今野泰幸、ファビオ。

この時もジュビロは下位で低迷しており、かなり積極補強した印象だ。

2019年と同じ予算があったにも関わらず、今夏の補強は松原后のみだった。

補強が不調だった理由は、
伊藤彰前監督のリクエストである「J1リーグ経験者」に応えることができなかったため。

鈴木秀人さんが交渉に奔走したが、松原后以外は交渉失敗ということか。
小野社長はリクエストに応えられなかった「ジュビロの力不足」とまで言及した。

詳細を知ることはできないので憶測の域を出ないが、交渉不調の原因は、
・同じJ1で、最下位のジュビロに移籍するメリットが無い(ジュビロが有利になる移籍はできない)。
・交渉相手がジュビロのサッカーは合わないと判断した。
・他チームがジュビロより好条件を提示した。
などが考えられる。

J2やJ3にも対象を広げれば選手を獲得できる可能性もあったかもしれないが、それでは彰さんのリクエストに沿わない。

「パニックバイ」に陥っては困るが、今回のように理想を追求した結果、1名しか交渉成立しなかったのならば、小野社長の「ジュビロの力不足」という言葉に表れているように補強成功とは言えない。

尚、今回の記者会見では鈴木秀人さん解任について発言は無かった。この補強交渉の結果を踏まえての決断だったのであろうか?このあたりにも触れて欲しかった。

フットボール本部

――フットボール本部が今後どういう風に機能していくかというところの現段階での考えは?
フットボール本部という大きなくくりにしながら、トップチームの下に育成・普及がいて、我々としてはジュビロのフットボールをピラミッドのなかでどういう風に考えていくのか?と。トップチームからスクールまでをこの地域の中でしっかり根差しながら、どう広げていくのか、その大きなプランニングができる人材、ここの人材は数年単位で代わっていくレベルではだめなんです。
長い視点で自分で絵を描きながら、なおかつ下についた人間とともに5年10年かけて階段を一歩ずつ登っていかないと先には到達しません。そういうプランニングができ、それがDNAとして残っていく。そういう組織と人材をうまくもっていきたいと考えています。

小野社長 記者会見コメント

長期的視点でフットボール本部という体制を整えることについては大いに期待している。ただ、数年単位で変わらないような人材が必要であることや、体制発足時期までは明言していない。できるだけ早い時期に発表して頂くのを待ちたい。


まさに「火中の栗を拾う」形で監督を引き受けてくれた渋谷さんには感謝しかない。一方で、今後も彰さんの方針を継承するならば、彰さんを解任する必要性について「カンフル剤」という理由だけでは未だに疑問が残る。

しかし、渋谷さんに託すという決断をした以上、何としてもこの体制でJ1残留を成し遂げて欲しい。

ちなみに、この記者会見はアウェイ名古屋戦前だった。その名古屋戦も既に落としてしまった。
残り8試合。正念場が続くジュビロ。最終節にはJ1残留を決めて、笑って今シーズンを終えたい。

最後までお読みいただきありがとうございました。
ジュビロ磐田のファン・サポーターに歓喜が訪れることを願って。

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