ビジネスマンがパフォーマンスを高めるために。~フローに入ることと瞑想の類似点~

私はフローに興味がある。
フローとは、アスリートやアーティストが本領を発揮しているときになる状態だ。そこで、今回はフローについて、そしてフローと瞑想の共通点について記載したい。

スケートボード選手、ダニーウェイは言った。
「自分の能力以上の滑りができるときは、ゾーン(=フロー)に入っている。何も聞こえなくなる。時間がゆっくりになる、視界が狭まる。穏やかな精神状態になる。そういう時というのは、いつもゾーンに入って瞑想しているということだ。」

また、チクセントミハイは言った。
「フロー状態」とは
「自我は消え去る、時間は飛ぶように過ぎる。あらゆる動作や行動、考えは、ジャズ演奏のように、その前のモノに続いて不可逆的に生じる。自分という存在すべてをその活動に注ぎ込み、自分のスキルを最大限に発揮している状態だ。」

フローを研究しているスティーヴン・コトラーは言う。
「フロー状態では、あらゆる複雑さは消え去る、意思決定は簡単に、そして自動的にできるようになる。それは思考とは真逆のモノのように思える。」

フロー状態では、スキルが大幅に向上する。身体的スキル、知的スキル、心理的スキル、社会的スキル、創造的スキル、意思決定スキルなど、様々なスキルが高められるという。
マッキンゼーは、10年間にわたる調査で、フロー状態では生産性が最高で5倍向上すると経営者が述べたことを明らかにしている。

どうだろうか。
フローを体験した人々、フロー研究者の声を聴いて、自分もフロー状態になれたら素敵だとは思わないだろうか。

フロー状態を駆使し、エクストリームスポーツを行うレッドブル・エアフォースのメンバーはインタビューでこう答えた。
「私たちは、人類の進化の次のステージに到達したと思う」

私は、仕事中にフロー状態になれたら素敵だと思う。それも、個人的にではなく、私のいるチーム、プロジェクトが、全体的にフローに入ることができたなら、なおすばらしいと思っている。
また、日本中のビジネスマン、ビジネスウーマンがフロー状態で仕事をできるようになったならば、どうだろうか。
仕事は面白くてたまらない時間となり、仕事に没頭する。
日本は「失われた30年」と言われて久しいが、そんなもの、あっという間に取り返せるのではないだろうか。

では、どうしたら、少しでも、フローに近い状態になれるか。

フローを研究しているスティーヴン・コトラーによると、
人間にはふたつの情報処理システムがあるという。
 明示的システム:言葉で表せられる、自覚できる「ちょっとまって、もう少しデータを集めなくては」
 暗黙的システム:意識的には使えない「やってみよう。何をすればいいかはわかっている」
の2つだ。そして、
優れたアスリートは、一種の冬眠状態で、意識をオフにし、暗黙的システムを十分に機能させている。
という。

ここで説明されている、
意識をオフにし、暗黙的システム(つまりは無意識)を機能させる、
この状態は、まさに瞑想そのものだ。

瞑想の練習・実践を繰り返す中で、脳に、フロー状態と同じ状態になる習慣をつけることができるのではないか、と私は考えている。
脳を構成しているニューロンは、新しい刺激を受けるたび、その回路を通るたびに、その線が太く、強化されていくからだ。

スティーヴン・コトラーによると、
「瞑想でその状態を作り出せるようになるには、長年の修行が欠かせない。」
という。
「エクストリームスポーツであれば、短時間で到達できる」とも。
しかし、エクストリームスポーツには生命の危険がある。

私は、コトラーの逆で、エクストリームスポーツよりも瞑想を選びたい。
なぜなら、瞑想は、時間をかけてでも、日常生活を捨てずに「人類の進化の次のステージに到達」できる可能性に近づけるからだ。

まず第一に、瞑想は安全だ。

また、瞑想は、昔は、世を離れ寺にでも入らなければ、なかなか体験することはできなかった。
今は、日常生活をするエリアにも瞑想のための施設が存在し、仕事をしながら余暇で行うこともできる。
横山紘一氏の書籍によると、アメリカでは、昼間仕事をして、家で瞑想する人々を、「ナイトスタンドブッディスト」と呼ぶらしい。

そして、先人が切り開いた、最短距離で瞑想を深めるための方法論は確立されている。
安全で、簡単に挑戦でき、確実な方法論があり、「人類の進化の次のステージ」に近づく可能性がある瞑想。
実に魅力的だと思う。

ちなみに、スティーブン・コトラーによると、ランナーズハイも、瞑想も、フロー状態も、近い状態にあるようだ。
マラソンを趣味にしている人も、瞑想や、エクストリームスポーツと、同じ地平を目指しているのかもしれない。

なお、私が書籍を読んで、フローに至るのに重要と感じた点を最後にメモしておく。
1 固定型マインドセットではなく、成長型マインドセット
2 自己内発性の動機
3 新規性、予測不可能性、複雑性がある環境
4 リスクに耐え楽しめる
5 頭で考えるではなく、体の声を聴いている状態 ★
6 無意識優位の状態 ★
7 感情、意識の欠落 ★
8 「今」への極度の集中 ★
(1については、別記事にて改めて記載したいと思っている)

この項目の中でも、5-8は、瞑想に入るのに必要な条件と一致する。
そうした点でも、やはりフローと瞑想はかなり近い点にあるのではないかと思う。

あなたが、エクストリームスポーツ好きであれば、それをやるのもいい。
瞑想に興味があれば、それをやるのもいい。
マラソン好きであればそれをやるのもいい。
「人類の進化の次のステージに到達」するための試みをしてみるのも面白いのではないでしょうか。

参考書籍
「超人の秘密-エクストリームスポーツとフロー体験-」

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