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ヤマボウシはマンゴーの味

 神戸市役所の周りの街路樹に、ヤマボウシが植えてある。
 ヤマボウシはハナミズキの仲間(ミズキ科ミズキ属)で、ハナミズキのことを別名「アメリカヤマボウシ」とも呼ぶ。それだけよく似ている。
 ヤマボウシは、春に、ハナミズキより少し遅れて、ハナミズキと同じような形の白い花を咲かせる。まあ、花といっても、花に見える白い部分はガクで、真ん中にある緑のかたまりが本当の花だってことは、ハナミズキと同じ。アジサイも花に見えるのはガク。アジサイの本当の花は、ガクの中の小さなかたまり。
 ヤマボウシは、花もきれいだけど、今回、かんじんなのは秋にできる実。
 サッカーボールのような小さな実ができるが、この実は食べられる。同じ仲間のハナミズキは毒があって食べられないが、ヤマボウシの実は美味。サッカーボールの皮をはがすと、プリンプリンとしたオレンジの実が出てくる。まさにマンゴー。
 味もマンゴー。すごいぞ。
 とはいうものの、ヤマボウシの実は1~3㎝と小さいので、味がしっかりわかるわけではない。私も、何十個もドバーッと食べたわけではないので、味もそんなに記憶に残らない。見た目が、色も食感も(食べる前の見た目の食感の感じ)マンゴーなので、脳が「マンゴー、マンゴー」とささやく。それで、マンゴーの味だと思ってしまうのだろう。とにかく1個だけでもおいしいことは確実だ。
 果期は9~10月ということなので、まだ残っているかどうかわからないけど、街路樹のヤマボウシの実があれば、ひとつちょうだいしてみたらどうだろう(黙って取ったら罪になるかもしれないけど)。
 神戸市役所近辺のヤマボウシは、もう葉っぱが枯れてしまったし、市役所が工事中なので、工事フェンスの中に木があったりする。どっかにないか、サクランボの小さいような実をさがしてみてね。
 今までヤマボウシを食べたことのない人、新しい発見があるはずだ。

 人類は、今まで、新しい食べ物に挑戦してきた。
 タコを食べようなんて誰が思うのだろうか。ヨーロッパでは悪魔の魚といわれるタコを、過去の日本人が挑戦したので、今や日本人は、たこ焼きが食べられる。タコを食べていなかったらたこ焼きも生まれなかった。チャレンジは大切だ。
 ヤマボウシを一度味わってほしい。

 ヤマボウシは街路樹として植えられているが、街路樹として有名なイチョウも、ギンナンを落とすのは雌株めかぶで、雌株の下ではギンナン拾いができる。でも、ギンナンの皮は臭いので、最近は雌株のイチョウを、実のならない雄株おかぶに植え替えているそうだ。なんともかんとも。ギンナンは自然の恵みなんだけどなあ。
 神戸の町を、車で走っていると、いろんな街路樹がある。
 オニグルミの街路樹もある。クルミの実ができている。拾ったらクルミが食べられる。カリンが植えてあるところもけっこうある。ちょうでカリンの実が大きくなって、黄色く熟れだしている。カリン酒にしてのどの薬にできる。ジャムにもなるぞ。
 神戸市の街路樹についての市の解説記事がある。いろいろ変わった木もあるようだ。
 中央区の鯉川筋にはノウゼンカズラ科の「イペ」が植えてある。ブラジルの国花の黄色い花は、ブラジル移住100周年で植えられたそうだ。おお。まだ見ていない。花は春に咲くそうだ。見に行こう。今度の春の楽しみができた。黄色だけでなく、赤や白の花もあるそうだ。
 中央区の中央幹線にはベニスモモがあるそうだが、これも意識して見た記憶がない。バラ科の淡いピンクの花は、葉より先に春に咲くそうだ。葉は「べに」というだけあって、赤みをおびていて、秋には濃い赤紫になるそうだ。おお、おお、さっそく見に行こう。
 こんなにいろんな街路樹があることを知らなかった。今まで見ていても意識していなかった。
 それは知らないと同じことだ。

 外国や遠くへ行かなくても、身近にワンダーはいっぱいある。神戸に住んでいても、知らない神戸がいっぱいある。
 それぞれの土地に、知らないことがいっぱいあるはずだ。
 ワンダーをたくさん発見すれば心がうきうきしてくる。
 町はいつでもワンダーランド。


 神戸とは関係ないけど、うぴ子の「東京」を聞いたらジーンときた。私は神戸を思っているけど、うぴ子は東京を歌いながら故郷の山口を思っているのだろうか。
 嫌なことがいくらあったとしても、美しいものもたくさんある。いくら嫌になっても救いもそこにある。



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