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少数株主としての戦い(勝訴的和解-ファイナル)⑮

1.前回のサマリ

みなさま、こんにちは。前回、「少数株主としての戦い(提訴請求~裁判まで)⑭」で、提訴請求、そして実際の訴状提出から主張・反論の応酬を行い、論点が整理されていきました。その中で、終結へ向けて決定的な証拠が取れそうだったので、まず、自分で動いてみました。

2.死んだふり作戦

相手が平成27年に株主総会を開催したと強く主張しているのですが、私共は絶対にあり得ないと考えておりました。(決議内容:祖母の死去に伴い、株をできるだけ買い取るといった意味不明な決議より明らか)、でも決定づけるものがなく、しばらく悩んでおりました。
ある日、ふとひらめきました。その総会では、監査役が新たに選任されたことになっているが、登記簿謄本ではどうかと。早速、登記簿謄本と議事録を確認してみました。そうすると、日付が数日異なることがわかり、委任状とも併せて確認したところ、登記簿の役員選任の日付と総会議事録・委任状の日付が異なっており、疑惑が確証に変わり、弁護士にその旨つげたところ、相手に総会開催が事実なら、その議事録と委任状を提出せよと相手へ依頼しました。なぜなら、相手が提出した証拠を偽造したものだと証明できれば、相手の主張の信ぴょう性が一気に下がり、勝つ可能性が格段に上がるからです。いわゆる、弾劾証拠と言えばよいでしょうか。
私はそれを実現すべく、法務局へ総会議事録を直接確認しに行きました。これは、当事者が裁判などで揉めていれば、その資料を閲覧(写真を撮る)ことが可能だからです。母から委任状を取得し、訴状と共に法務局へ行き実際に確認してきました。事前に法務局へ事情を説明し、準備していてくれたので、スムーズに資料を確認することができました。実際、登記された議事録を確認したところ、相手が提出してきた議事録とは異なることが確認されました。決議内容も株式買取は一切記載ないことも確認しました。すぐ写真を弁護士へ送り、そのまま裁判所へ提出し、相手の主張が虚偽であることを証明しました。もっと早く気付くべきだとは思ったのですが、結果的に最後にこのような形で相手を追い詰めることができる材料となったので、それで良しとします。なお、株主総会議事録偽造は私文書偽装罪に問われる可能性があります。このように、相手の主張が虚偽だとわかってて、相手にそう主張させ、最後はそれを否定する証拠を提出しこちらが有利になる、まさに死んだふり作戦です。これ、最強です。

3.和解

上記証拠資料提出後、相手は何も主張できずに、弁護士の助言もあり、以前から裁判所より提案されていた和解(株を言い値で譲渡)することにしました。判決を受けても損害額が低くなり、相手が支払うリスクがある点、経営権を奪取しても解散するまで労力を要する為です。これで、4年近くかかっていた戦いも終了することとなったわけです。

4.まとめ

問題発覚後、解決まで4年ほどかかってしましました。下記について気を付けていれば、さらに早期で有利に解決できたかと思いますので、参考にしていただければと思います。

・弁護士へ早急に相談すべし。
・時間を空けずに、徹底的に責任追及する姿勢を与える。
・責任追及は、利益相反行為などによる背任行為、文書偽造などの刑事的な責任と損害賠償の両建てで行う。
・疑わしいところは、支配権を得るための決議や巨額の資金が動いている箇所の総会・取締役会などの決議内容を最初に矛盾点を見つける。
・帳簿は疑わしいところから、ポイントを絞っての確認。
・相手が開示拒否してきたところは、重点的に追及、他から証拠を得る。
・犯罪行為が明らかになった時点で、刑事事件として刑事告訴する。
・裁判の申し立ては途中で取り下げせず、最後まで完結し、容赦はしない。(検査役選任等)

ただ、最終的には弁護士と相談の上、最適な行動をするのがベストかと思いますので、参考程度にしていただければと。

5.最後に

今までこのようなところに自分の経験や考えを発信したことがなかったので、読みにくい内容であったかと思いますが、読んでくださった皆様ありがとうございました。
私は普段会社勤めをしておりますが、会社勤めをしていると、なかなか、犯罪行為を犯してまで、他人の財産を奪おうとする方と対峙することはほとんどなく、今回の経験は会社法をはじめとする法律を身につけられたこと、裁判所を通じての解決できたことを通じて、良い経験を得ることができました。非公開会社の小規模の少数株主は、株を簡単に換金できないだけでなく、株価(財産)が棄損されるリスクにさらされてる上に、相続時には税金を支払い、財産がゼロになるだけではなくマイナスにもなりうるものとなり、相当な不利益を被ります。そして、情報的にも立場的に弱者となり、非常に苦しいものとなり得ますが、私たちが経験してきたことを参考にしていただければ、何らかのヒントは得られるではないかと考えております。また、その分野につい良い弁護士を味方につけ(当然、弁護士に任せっきりだけではなく、当人との共同作業)、最短で問題を解決されることを望んでおります。

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