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少数株主としての戦い(事実の裏どりと不正の事実を確認)⑧

1.前回のサマリ

みなさま、こんにちは。前回、「少数株主としての戦い(不正行為の発見)⑦」で、代表取締役氏が支配権を得るため、他株主から8,000株を不正に取得したいが疑われました。株主総会議事録の決議内容を確認したところ、極めて不自然であいまいな内容であったので、その裏を取るべく、前社長へアポを取り、その事実を確認することとしました。なお、弁護士先生へ解決の依頼をしたものの、不正行為を探す作業は共同作業であり、依頼者側が積極的に動く必要があります。それは、弁護士よりも相手に近い場所におり、書面だけでは得られない情報を取得でき、そこから違法行為を探すことが可能となるからです。弁護士へ丸投げせず、積極的に情報収集を行てください。

2.真正な株主総会議事録入手

幸運にも私が住んでいる近いところに、前社長も住んでおり、すぐに会うことができました。実際お会いして話を聞いていくと、平成24年の株買取の件で、不満が相当あったようで、その経緯を確認できました。

  • 平成24年の株主総会では、前社長夫婦の株を自己株式として買い取るよう決議されたこと。

  • 原資として、会社が所有している一部土地を財源とすること。

  • 株価は〇〇円(議事録記載通り)

しかし、実際に書類が届き返送した後に税金の計算を見たら、個人間の株売買となり、後で書類を確認したところ、X氏が個人で前社長負夫妻の株を買い取ったことになっておりました。(買主がX氏の名前になっていた)後から、前社長がX氏に問いだしたところ、会社にお金がなかったからと、説明したとのこと。議事録の内容を把握している私たちからすると、土地を売却してそれを原資とする、と記載があり明らかな矛盾であることが自明でした。また、不満を聞いていたら、なんと平成18年の株主総会の議事録をいただけました。当初は社長最後の仕事として総会の議事録をまとめ、登記を完了させたとのこと。その議事録とX氏が送付してきた分と比較してみました。その結果、主に定款の変更・修正について記載されているのですが、驚愕の事実を発見。それは、下記のとおりです。

<X氏送付の議事録>

  • 議事録に株主の印鑑が押印されているが、印影がX氏以外、前年の議事録と異なる。(前社長の議事録は前年度同じ印影)

  • 株の譲渡制限についての決議について、その部分だけきれいに削除されている。(他、定款の変更については、同様の記述があるにもかかわらず)

X氏が送付した議事録、前社長から入手した議事録、どちらが正当なものか、わかりでしょう。強烈な裏付けとして、登記簿謄本に「譲渡制限」の記載が登記されていることから、前社長の者が100%真正なものと言えることは誰でもわかるのではないでしょうか。X氏が前社長から株を勝手に購入したことから、譲渡制限の記載は、X氏にとって邪魔であり、X氏以外にそのようなことをするものはいないと断言できるでしょう。そして、弁護士曰く、株主総会議事録偽造とその行使は、「刑法159条:有印私文書偽造罪」(行使罪もあり)を構成するとのことです。この時点で、X氏の過失という可能性は消されました。戦うのみです。

3.弁護士からの違法行為の追及

これまで、取集した証拠を前提に、その違法と思われる点について、文書にて問いただしました。

  • 約8,000株について、前社長から購入した件について、議事録で自己株式として買い取ると決議があったが、X氏が買い取っている件について、その説明するよう依頼。(株の譲渡制限があるにもかかわらず、X氏が前社長から買い取る決議がない点も含め)

  • X氏が提出してきた平成18年の株主総会の議事録について、手元の議事録の印影と「譲渡制限の決議」が削除されている点について合理的説明をするよう依頼。

  • そして、議事録で会社が所有する土地一部を売却して、前社長夫婦の8,000株を自己株式として株を買い取る予定にも関わらず、X氏が買い取ってしまったことから、X氏がその土地売却資金を原資として、X氏の株として買い取った疑いがあったので、平成24年-26年の計算書類を提出するよう依頼。(背任・横領の疑い)

  • 平成27年の総会議事録について、母が委任状を提出した事実はないので、原本を直接確認すること、決議内容で「創業者である祖母死去の為、株主からの依頼があれば、その株を無理のない範囲で買いあげる。・・・」について、意味不明なので合理的な説明を求めるよう依頼。(←通常このような意味不明であいまいな内容の決議はないので、あとから偽造したものとして考えてよいと思います。)

4.相手からの回答-諦めモード

上述の質問に対して、回答がありました。

  • 提出した議事録は、前社長から引き継いだもので、そのまま提出したので、X氏は作成にかかわっていないこと。こちらは、前社長へ直接確認し、X氏の提出した議事録を確認しましたが、一切知らないとのこと。(前社長に裏を取っている件について、X氏は知らないです)

  • 前社長からの買い取りについて、社長一任との声があったので、X氏が買い取ったとの回答。

  • 平成24年-26年の計算書類は、開示の必要性が認められないとのことで開示拒否。

  • 平成27年の総会委任状について、直接原本を開示することを拒否。謄写をこちらへ提示する。(おそらく平成24年のものを偽造したと推察)また、決議内容に対する説明も意味不明で説明になっていない。

といった感じでやり取りをして、何も進展せず。相手も自分が被害者であるとの前提で、そして、都合の悪いことはしらばっくれていました。これが、少数株主としての現実です。疑いがは大いにあるものの、証拠となるものを入手できず、相手の不当な乗っ取り行為に対抗できずおりました。これであきらめるしかないのかと。。。

<思うこと>
相手が不誠実に対応してくることは想定しておいてください。イライラさせ、時間稼ぎをさせて、こちらが諦めることを画策しているのです。確かに、少数株主としては、調査には限界があるのです。それを逆手にとっての相手の戦略ですが、実は秘策があります。それは次回でご説明します。


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