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実録懲戒事例①(業務停止1年、えふ先生)

【えふ先生】 入りました。

【ノースライム】 よろしくお願いします。

【えふ先生】 はい。よろしくです。

【ノースライム】 ではお願い致します。

【えふ先生】 どうぞ

【ノースライム】 さて、先生は期的には何期くらいになりますでしょうか?

【えふ先生】 51期です。

【ノースライム】 現在はどのようなお仕事をされておりますでしょう

【えふ先生】 いまは某都道府県の公立高校で一年任期の常勤講師をしています。

【ノースライム】 高校教師のお仕事はいつ頃からされておられますか?

【えふ先生】 非常勤講師としては東京にいたころからしていて、いま6年目ですね。常勤は令和5年8月1日に採用されたのが初めてです。

【ノースライム】 非常勤講師の仕事を始められたのは何が原因でしたか?

【えふ先生】 たまたま、顧問先が通信制高校のキャンパスを運営していたのですが、コンプラ的にちょっとアレだったので、「だったら僕教員免許いくつか持っているからやりましょう。学習指導要領にも詳しいですから教務全般丸ごと受けられますよ」と業務を請け負ったのがきっかけですね。本当にたまたまです。

で、実際やってみると結構若い生徒と触れ合うのが楽しくて、有名どころの通信制高校にも講師登録をしました。顧問先の通信制高校は週一日、有名どころの通信制高校は夏休みと冬休みだけに集中的に全国各地を回る季節労働でした。

【ノースライム】 なるほど。

【ノースライム】 ではその時期は弁護士業と並行して行っていた感じですかね

【えふ先生】 平成24年に最初に業務停止1年の懲戒処分をくらってから、弁護士業のほうはあまり忙しくなかったので。

【ノースライム】 並行してできたと

【えふ先生】 はい。

【ノースライム】 弁護士登録はいつ頃までされてました?

【えふ先生】 令和5年12月末日付で請求により取消しました。

【ノースライム】 最近ですね。

【ノースライム】 それまでは弁護士業務もされてましたか?

【ノースライム】 それとも登録はしていたけれども弁護士業務はもうしなくなっていたのでしょうか。

【えふ先生】 8月1日以降は常勤の地方公務員なので副業は禁止ですから、採用の内定をいただいてからは登録している意味もないので、東弁の会員課に取消請求書をもらって出そうとしたのですが、「退会届の退会理由は具体的に書いてください。『一身上の都合』ではだめです。」と言われて、そのまま放置していた感じです。

【ノースライム】 放置を終わらせたきっかけってございました?

【えふ先生】 例の件で踏ん切りがついて一気に書き上げて送ったわけです。

【ノースライム】 例の件とは

【えふ先生】 人権賞のアレ。こんな反社会的行為を行う団体にお金を横流しする団体に会費を払い続けるのは反社会的行為に加担するものでしょう、と思いまして。

【ノースライム】 話戻るんですが元々は東京で弁護士をされてましたよね

【えふ先生】 はい。

【ノースライム】 開業をされたのはいつ頃でしたでしょうか

【えふ先生】 自分の事務所を構えたのは平成20年です。

【ノースライム】 どんな仕事を中心にされてました?

【えふ先生】 知財と人身の交通事故以外はだいたいやっているいわゆる一般民事、ツイッター的に言うマチベンです。ただ、比較的クレサラが多かったですね。

【ノースライム】 おお、クレサラ。時代もありますね。    

【ノースライム】 交通事故はやらなかったんですね。

【えふ先生】 人身の交通事故は、新人のとき一件だけやったのですが、医学的知識がないと適切な活動ができないと思って控えました。

【ノースライム】 開業してからしばらくの年商的にはどのような感じでしたか?

【えふ先生】 年商、ちょっと待ってくださいね。確定申告書を出します。

【ノースライム】 お手数おかけします。

【えふ先生】 平成20年の売り上げが4048万2791円、平成21年の売上が4626万6877円、平成22年の売上が3096万4515円、平成23年の売上が1536万2952円ですね。平成23年の売上だけ有意に低いですけど、これはなんでだったかな・・・多分何か特別な理由がありますね。

【ノースライム】 事務所の規模ってどれくらいでした?

【えふ先生】 業務停止前は、弁護士1に事務2-4でした。

【ノースライム】 平成24年に業務停止1年という話をされてましたね。

【ノースライム】 これはどういったものだったのでしょうか。

【えふ先生】 僕が依頼者と友人との双方代理をして依頼者を食い物にした、という懲戒請求を相手方から出されたのです。

【ノースライム】 その懲戒請求が来たのはいつ頃でしたか?

【えふ先生】 手元にその記録がありませんのではっきりとはわかりませんが、通常、懲戒請求されてから処分の告知まで1-2年なので、平成22⁻23年ころだと思います。

【ノースライム】 案件としては相続絡みの案件でしたっけ?

【えふ先生】 相続した土地上に使用借権の認められそうな他の法定相続人の建物があった事案です。

【ノースライム】 そうすると相手方と言うのは他の相続人ですかね?

【えふ先生】相手方は遺留分権利者ではありますが、遺言があったので相続人ではないですね。

【えふ先生】 あ、これ大々的に言ってほしいのですが、事実無根の冤罪ですよ?

【ノースライム】 事実無根というお話ですが具体的にはどんな事情になるのでしょうか?

【えふ先生】 土地自体の更地価格が3000万円ですが、土地所有目的の使用借権の負担があるとなると依頼者的には負動産、しかし売ってしまえば使用借権は買主は引き継がないと言える可能性もあるので買ってもいいという人に売ってしまえ、買主が土地を更地にした後のことは買主と改めて決めてくれ、という方針で買主を探し、友人を紹介したわけです。

【えふ先生】 で、更地価格が3000万円なら負担付きの底地は概ね900万円くらいだろう。ただし、係争物件であるので、600万円くらいが妥当ではないかという意見を述べたあと、僕は席を外しました。その後、友人と依頼者とが契約したと双方から聞き、契約書をいただきました。

【ノースライム】 懲戒請求されたあとどう対応されました?

【ノースライム】 弁護士会への対応です

【えふ先生】 まあ、事実無根なので舐めてかかってましたね。あと、更地価格が3000万円だからって「時価3000万円の土地を友人に600万円で売った」なんて認定されるとは夢にも思わなかったので。

【ノースライム】 ご自分で対応された感じですかね。

【えふ先生】 そうです。さらっと答弁書を書いて、綱紀委員会の調査に出席して。まあ、相手方から刺されることはよくあって、僕は懲戒請求が途切れたことがないので普通に(笑)

【ノースライム】 ふむ

【ノースライム】 業務停止1年が出てしまったということですよね

【ノースライム】 見たときどう思いました?

【えふ先生】 え?っていう感じでした。空耳かな?と・・・

【えふ先生】 で、直ちに嘱託をしていた友人などに相談したのですが、

【ノースライム】 はい

【えふ先生】 「日弁連で取消しの裁決が出ないと、東京高裁で覆ることは絶対にないから、審査請求をしっかりやれ」とアドバイスはいただいたものの、途中から受けるのは日程的に無理、と断られてしまいました。

しかし精神的に病んでしまい、日弁連の審査期日に欠席してしまい、その日に棄却裁決がされてしまったのです。

【ノースライム】 なんと

【ノースライム】 ちと戻るんですが綱紀委員会の調査の後、懲戒委員会に移行しますよね

【えふ先生】 はい。

【ノースライム】 懲戒委員会の調査(審尋)のときはどうされたんでしょう?

【えふ先生】 綱紀の議決書の事実認定が証拠に照らし不合理なことは明らかだと思っていましたので、証拠と突き合わせてそれを一つ一つ説明した感じです。

【ノースライム】 なるほど

【えふ先生】 普通にもめることもなく淡々と進みましたね。。。だから懲戒されるなんて思ってもいなかった。

【ノースライム】 精神的に病んでしまったとのことですがこれはやはり業務停止1年を受けたことが原因ですよね?

【えふ先生】 そうです。

【ノースライム】 業務停止の処分を受けると実際にはどんなことをしないといけないんでしょう

【えふ先生】 とりあえず、看板にガムテで覆いをするのと、受けている事件は20人くらいの友人に頼み込んでほぼタダに近い金額で引き取ってもらいました。

【ノースライム】 スタッフの方々はどうされたんでしょうか

【えふ先生】 辞めてもらいました。

【ノースライム】 おお…

【ノースライム】 依頼者の方々の反応はどのようなものでしたでしょうか

【えふ先生】 手紙で済ませてしまいましたので、直接の話はしていません。できる精神状態でもなかったので、全部友人におまかせです。

友人から、依頼者から依頼されなかったという報告を1件聞きましたが、あとはみな友人に依頼なさったようです。

【ノースライム】 業務停止期間中は先生はどのようなことをされていたんでしょうか。

【ノースライム】 治療がメインでしたでしょうか?

【えふ先生】 何もしていません。寝て食べるだけです。趣味の漫画やラノベもまったく食指が湧かなかったですね.

治療といっても、服薬くらいです。とにかく寝てた

【ノースライム】 なるほど

【ノースライム】 業務停止期間があけたら弁護士に復帰されたんでしょうか。

【えふ先生】 一応、はい。何からはじめたんだっけな・・・

【ノースライム】 恐らくおひとりで再度事務所を開設というかたちでしょうか。

【えふ先生】 懲戒明けた平成25年の売上が375万4486円か。。。

【ノースライム】 375万…。

【えふ先生】 で、平成26年の売上が941万6167円・・・

【ノースライム】 回復しないですね…。

【えふ先生】 その後回復することはないですね。平成27年が1097万8697円、平成28年が888万2749円、平成29年が704万0271円・・・

【ノースライム】 き、厳しい…。

【えふ先生】 この辺で回復を諦めたのかな。平成30年が542万8908円

【えふ先生】 令和元年が608万1418円。ここで増えてるのは通信制高校の教務業務請負報酬で弁護士報酬ではないですね。

【ノースライム】 回復しなかった原因はどこにあると先生自身はお考えですか?

【ノースライム】 ご認識としては

【えふ先生】 回復しなかったのは、懲戒の理由でしょうね、ネットで検索すればいかにも悪人って感じに寄せて書かれた日弁連の公告が出てきますから。

依頼者を食い物にした系の懲戒理由なので、古い依頼者には「自分はリピートするけれども、もう紹介はできない」と言われました。

【ノースライム】 むむ…。

【えふ先生】 あと、弁護士会の法律相談センターが業務停止期間中に様変わりしてて

【ノースライム】 はい

【えふ先生】 法テラスがこんなに圧巻する世の中になるとは思ってなかった。

【えふ先生】 あと、過払いの終焉

【ノースライム】 色々重なりましたね。

【えふ先生】 ネット広告への反響もかなり落ちましたね、新興系がネット集客をほぼ吞み込んだので、東京では個人事務所へのネットからの反響はほとんどなかったんじゃないかな。

【ノースライム】 相手方からの懲戒請求が途切れることがなかったとのことですけど、これはなんでだったと思われますか?

【えふ先生】 相手方からの懲戒請求はほぼすべて逆ギレ系ですね。依頼者から懲戒請求されたのは1件だけなんですよ。そのほかに面白いものとしては東京地裁所長からの懲戒請求もあったな。。。

【ノースライム】 東京地裁…?

【えふ先生】 そう。所長から懲戒請求された!

【ノースライム】 裁判所の指示に従わなかったとかですかね。

【えふ先生】 裁判所からの懲戒請求も面白い話なんだけど、ようするに、

【ノースライム】 はい

【えふ先生】 業務停止期間中にもめた元コンサル相手に私が提起した訴訟の訴訟救助申立がらみで、最終的には綱紀で懲戒不相当で終わったんです。

【えふ先生】 訴訟救助を得たもののコンサル相手の訴訟には敗訴して、猶予された訴訟費用の納付を命じられたのですが、5年間しらばっくれていたんんです。

で、ある日突然東京地裁に何かの事件の弁準で出頭したら、書記官室のカウンターに事務部の事務官が大量に押し寄せていて、会計課の人に会議室に拉致されまして、「時効は成立していないので債務を承認して払ってください。時効が成立していない理由は言えません」と繰り返されるだけだったので、 「私は時効が成立していると思うので払いません、これ以上平行線のようなので帰りますね」と言って帰ったところ、東京地裁所長からの懲戒請求と共に、国から猶予された訴訟費用の支払を求める民事訴訟が起こされました。

その訴状によると、訴訟費用の支払い命令が送達された後、「納入の告知」が普通郵便で私の家に送られたようなのですが、その「納入の告知」が私に到達していればそれで時効が中断するので時効が成立してない、他方それが到達してないなら時効が成立している、という時系列だったようです。

【えふ先生】 で、我が家の郵便事情や誤配の多さをの郵便局への自己届の写しや同じ地番でほかの家がいくつもある地理的状況、宅配便の事故の記録などの証拠を積み上げて2年くらい訴訟をして争った結果、東京地裁で普通郵便が届いていたとは認められないということで国敗訴の判決が出て、それが東京高裁でも維持されて確定しました。

【えふ先生】 それを受けて綱紀が懲戒不相当と結論したのです。

【ノースライム】 なるほど。

【ノースライム】 依頼者からの懲戒請求の話をお聞きしていいですか?

【えふ先生】 それは令和3年に業務停止1月になったんですが、

【ノースライム】 あら

【えふ先生】 覚せい剤の卸売業者さんから弁護の依頼を受けまして、社長さんと契約条件を取り決めて契約書を交わしお金ももらったのですが、被疑者が「姐さんには迷惑をかけられないので自分で払う」と言い出して払ってきたのです。が、証拠隠滅の依頼などが多く、

【ノースライム】 はい

【えふ先生】 グレーなことはやりましたがさすがに口裏合わせなどの協力は断ってたわけです。

そうすると、キロ単位の営利目的所持の現行犯ですから、当然起訴されるわけですが、「起訴されたのはおまえがちゃんと証拠隠滅しなかったからだから解任する。金返せ」、と言ってきて。

【ノースライム】 ふむ

【えふ先生】 捜査と一審公判であわせて70万円のところ、捜査段階で解任されたので出来高に応じて清算しなければいけないのは理解できますが、そんな相手と出来高の話し合いなんてつくわけなくて

【ノースライム】 はい

【えふ先生】 で、私の契約相手は社長さんなので、被疑者からのお金は返して社長さんからもらうべきなのでしょうが、被疑者からお金を受け取ったので社長さんにお金を返した後、社長さんも中に入ってしまいまして。

【えふ先生】 というところで解任から一か月もたたずに懲戒請求が来ましたね

【ノースライム】 その事実関係で業務停止1月なんですか?

【えふ先生】 ですです。あと、被疑者との間で契約書を作成しなかったということと(こちらとしては被疑者と契約条件の話をしていないのであたりまえ。)、被疑者から起訴後に「金返せ」とあわせて「接見に来い」という手紙がたくさん送られてきたのですが、「捜査は終了したので記録が開示されるまで接見の必要はない」ということとそれぞれの手紙で被告人から言われたことへの返事を毎回手紙で返していたのですが、「再三接見を要請されたのに起訴後一度も接見しなかった」という懲戒理由も付いてましたね。

【ノースライム】 これもご自分で対応されました?

【えふ先生】 これも自分で対応しましたね。これは外形的な事実は合っているのと、その前に別件で業務停止3月を受けていたのと、これを非行と評価するならもう弁護士資格いらないやって思ってましたのでお金をかけるつもりがなかった。

【ノースライム】 あら、この前もあったんですね。

【えふ先生】 そうなんです。これは依頼者ではなく相手方がヤクザだったもので、相手方から刺された系。

時間がないのでこの話は割愛しますが、「違法性阻却事由の立証責任はえふ先生にあるんですよ」というのはもっともだけど、「その場に居合わせたときにじゃあほかにどういう選択肢があったのさ?」という案件です。3月と1月はほぼ連続でしたかね・・・?

【ノースライム】 全部で3件ですか?そのあともありました…?

【えふ先生】 全部で3件です。

【ノースライム】 ふー。

【えふ先生】 業務停止1年が明けた後は反社会的勢力からの依頼が多くて、それがほぼ売上の全部だったと思うのですが、さっきの違法薬物販売業者さんからの懲戒請求後は反社会的勢力からの依頼を一切断って、そもそも新規の受任をほぼしていませんので、刺される要素もなくなりましたから。

【ノースライム】 おお…てきめんに客層に影響が…。

【えふ先生】 なんかね、業務停止が明けたあとに、たまたま尿検査の陽性が出たのに不起訴を勝ち取った事件が数件続いてから、あっちの世界で私の名刺が点々流通してたみたいですよ。

【ノースライム】 そろそろ時間かと思うんですが、これを見ている同業者の方々にお伝えしたいことなどございます?

【えふ先生】 同業者に・・・?えっと、「弁護士会は証拠裁判主義でもないし適正手続きの保障もないガチ中世社会なので、自分が近代的な合理的人間であると思う人はさっさと足をあらって会社員か公務員になったほうがいいよ。」ですかね

【ノースライム】 会社員か公務員教がここで出てくるとは…。

【えふ先生】 あと、早いうちに不労所得を作っておくこと。

【ノースライム】 それは確かに

【えふ先生】 そのおかげで、いまぼくは、遊ばなければ働かなくても食っていける程度の収入はあって、アニメグッズを買うお金だけ稼げばいいので。

【ノースライム】 ちなみに不労所得は何ですか?不動産?株式?その他?

【えふ先生】 不労所得は投資用不動産です。その話は時間切れなのでまたいずれ

【ノースライム】 ですね。これはこれで

【ノースライム】 お疲れさまでした!

【えふ先生】 では勤務の準備をしないとなので落ちますね。お疲れさまでした

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