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小説マガジン(含黒歴史)

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幼いあの頃に書いた小説や、たまに書く戯れ言。
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2017年7月の記事一覧

百物語『見える』

百物語『見える』

 いつの頃からか私には不思議な力が宿っていることに物心ついてから気がついた。両目でものを見ている時には見えないものも、右目をつぶって左目だけで見ると、あらぬものが見えてしまうのだ。

「だからさぁー、翔ちゃん」

「……」

「翔ちゃんてば!」「あ、何、ごめん」

「聞いてなかったね。もういいよ!」

 子どもの頃、そんなことがよくあった。

 偶然何かが目の端を横切ったような気がして、まばたきし

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