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#小説の練習
わたしのAI(中編)
翌朝、いつもより早く目が覚めた才蔵は、もてあました時間で部屋の片付けと料理の下ごしらえをしていた。午前11時、やっとレンタルAIが届くと、部屋の真ん中で才蔵は静かに箱を開けた。
中から現れたAIはふんわりとした黒髪ショートボブで、東洋人の肌色をしており、箱の中で体育座りをしていた。服装は普通の女子高生の私服のようなパーカーと膝上のデニムのスカートだ。バーチャルショップで見た以上に精巧に作られ
わたしのAI(前編)
ここは2350年のトーキョー。
地球の人口は約30億人。人々が自分たちを賄える限界を迎えてから、約200年が経った。その間に食料や水、住む土地などをめぐり様々な争いが起こった。世界中で争いや和解が繰り返される中、日本は徐々に人口が減少し、益々の少子高齢化が進み、とうとう年金や子育て支援をはじめとする社会保障の仕組みが崩壊した。全ては自己責任の時代である。ただし優秀な頭脳の持ち主には「投資」の