ゴリゴリの競馬ファンの私がウマ娘大歓迎な理由

やあ!ハメ街道だよ!

・・・初めての方、今のは見なかったことにしてください。
さてアニメも終わったことですし、今日は真面目なお話を。

 ウマ娘、面白いですね。競走馬を女の子に擬人化させてリアル競馬場を走らせるツッコミどころ満載のコンセプトはともかく、ゲームとしては大変よく出来ていると思います。キャラもかわいいですし、さすが3年待たせただけあるよね。
 自分パワプロ世代でもあるので、サクセスモードの育成はものすごくとっつきやすい。この時点で完全にサイゲにやられてます。藤田時間返せ。

 そして何が良いって、これでご新規様が大量に競馬場やってくるやんけ!最高やろ!!ってことなんですよ。

・ウマ娘がWelcomeなわけ

 ツイッターみていると既に「引退馬にはどうやって会いに行けばいいのか?」だの、「競馬場への聖地巡礼(もうこの表現で感涙なんだが)はどうすればいいのか?」だの色々出てきています。嬉しいねえ。

 良いんですよ皆さん、はじめは競馬場や牧場に行ってただ馬が走る姿を見てればいいのです。すぐに馬券を覚えなくてもいいのですよ。我々も鬼じゃありませんから。そして全員がギャンブル中毒になる訳わけじゃありませんよ。安心してください笑

 ご存じの通り、ここ数年ネットでの販売を着実に増やして公営競技の売り上げはバブル期並みの急上昇。パチンコの規制強化と今回の巣ごもりに乗じて、数多くのギャン中どもの取り込みに再成功しました。

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(出典・JRAの成長推移 本年度は久々に3兆円超えました。) 

 ただ、これはあくまでもギャンブルこそ人生の中心である所謂「仕上がった」方々の話。彼らは打つ場所があればどこにでも現れるんです。

 何故スマホアプリゲーのウマ娘が人気出て、我々既存の競馬ファンが小躍りしているのか?それはこの競馬が公営ギャンブルという特殊な性格が関係しているのです。

1.ギャンブルという性質上、一人でも多く仲間が欲しい

さて、ここで素敵な「競馬の敵」たちを紹介するぜ!

①競走馬にも基本的馬権を!動物愛護団体!

②一族郎党全員ギャン中、だから博打はすべて討ち滅ぼす!ギャンブル依存症の会!

③公営競技の胴元は国、つまり自民党が悪い!謎の市民団!

 まぁ冗談はそこまでにして、競馬というのは賭け事ですから常に多くの勢力から刺されるリスクがあるんですね。

 実際遊びの範疇を超えたら実生活にも支障出ますし、究極な話、生きる上では無くなっても構わないものなんですよ。市場規模何兆円やら従事者が何万人って話は抜きにして。コロナ騒ぎが30年前に起こっていたら間違いなく競馬は中止だったでしょうね。だって不要不急だし。持続化給付も当然オッケー。

 競馬をやる人間ってのはそれなりにいるのは間違いないのですが、所詮は「少数派」の趣味なんですよ。少なくとも結婚する相手のご両親に「私、毎週末競馬場に行ってます」と言えるのか。言えるわけないだろ!!

 最近では正論さえ振りかざせば人を殺しても構わない的なポリコレ系の流れが海外から大量に日本に持ち込まれています。彼ら彼女ら、またはどちらでもない、は競馬に対して決して良い感情は持ち合わせておりません。競馬が良いものと思っているなら、それは間違いなく向こう側のスタンダードからいうコレクトでは無いです。

 俺たちクズどものことなんかほっとけよ~と思うのですが、これらの方々は我々を正しい方向に導くためにと本気で思って伝道しているので言うだけ時間の無駄です。お耳にチャック。

 そんな魑魅魍魎とやり合うには数を揃えるしか対抗手段がないんですね。オメエ何言ってんだと門前払いするためにも、少しでも世間様には競馬に対してポジティブ(少なくともネガティブで無ければ良い)な印象を持ってもらう必要があるんです。

 あくまで持ってもらうだけで良い。馬券は興味を持ったらで全然構わない。とにかく競技としての存在意義を理解してもらうためにもウマ娘みたいなコンテンツはたいへん有用なのです。

2.ファン人口の逆ピラミッド化=コンテンツの死

 競馬の教科書?によく出てくる話。第一次競馬ブーム(73年ハイセイコー)、第二次競馬ブーム(90年オグリキャップ&武豊)、それ以後(ダビスタやウイポ、マキバオーや98世代とか)・・・。

 あなたが競馬始めたのは何世代ですか?という話、我々ある程度やってる競馬ファンに尋ねれば誰しも即答できるんですが(ちなみに私はダビスタ+98世代。はい、誰も聞いてないですね)、実はこの辺の会話、最近ほぼ死語になっているって気づいたんですね。

 01年過ぎたあたりからガンガン地方競馬が潰れだし、リーマンショックが起こり、日本人で初めてケンタッキーダービーの勝利馬オーナーになった関口フサローまで退場する始末。

 おそらくディープインパクトやオルフェーヴルといった名馬が出た際に競馬に興味を持ったという若人は散見されると思うのですが、コアとしての「○○世代」ってのがここ十数年来すっぽり抜けてしまっていたのです。

 現実問題、90年代後半は18万人ぐらい安定して詰めかけていた日本ダービーの入場者数(ちなみに最高入場者数は90年アイネスフウジンの19万6517人)も、2010年代には13万人前後に落ち、直近の2019年には11万7538人にまで減少しているんです。

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 (こちらもJRAのHP資料から。コロナ期の昨年度はイレギュラーだが、それでも近年の売り上げ増加に入場者数がついて来ない。)

 単純にネットで買えばいいという利便性の向上もあるのですが、何より競馬を生で観戦するという熱量が落ちているのに他なりません。これはファンの高齢化も当然関係していると思います。

 みんな若くなくなっているんです。よく映像で流れてくる徹夜組のダッシュだって年々減っています。そりゃそうだろ、あんなもん出来る体力若い連中の特権やし。40過ぎて土曜深夜に暴走族みたいなマネ出来るかっての(完全に偏見)。徹夜してダッシュ出来るような熱量を持った若い衆がそろそろ欲しいんですよ我々も。

3.年寄りには新たに何かを産み出すパワーが無い

 この際だからはっきり言います。毎日クソを捻るかのごとく創作活動でもしていない限り、ジジイに新しいものを作らせるのは無理です。当然自戒も込めてですよ、私も年を食ってこの点ははっきり痛感してきました。

 だが深刻なことに、私自身は世間のカテゴリーでいえばおじさんに入るのですが、競馬の世界ではまだまだ若造なんですよ。

 とはいうもの、競馬ってのは一度見始めたら応援していた子やその孫までも応援して、時には馬券予想のファクターにもしちゃうのです。

 ウマ娘でもご存じのことと思いますが、世代間の戦いや親子兄弟といった血のつながり、同じ牧場内、はたまたライバル馬主の関係といったその時代背景や世相をもレース(新聞などの馬柱)に反映されているものなのです。

 ちなみにそれら世相をこじつけて馬券を買う方法があります。いわゆるサイン馬券。代表的なのはマンハッタンカフェ→アメリカンボスで決まった2001年有馬記念。そう、アメリカ911テロの年。

 これらの魅力も含め、競馬がブラッド(血統)スポーツと呼ばれる所以です。そんな性質を持った競技ですから、どうしても予想含め、経験や体験といった昔話が話題のベースになってしまうのです。ある種の口伝に近い。

(以下個人的な妄想です。決して真に受けない下さい。)

 私、学生時代にとある場外売り場に入り浸っていました。やはりそこでも高齢化の煮凝りみたいな状態でして、話し相手の年が4回り~5回り以上がザラだったのですが、今現在走っている競馬の番組に平行して「ワシの若い時代の競馬は~」がトークの基本となっていました。

 とてもじゃないが将来に対する生産的な議論が出来るような環境ではなかったのです。過去の馬券の栄光と次のレース何を当てるかが並列している世界なので、そんな発想のまま年を重ねていれば、そりゃ晩年の大橋巨泉みたく視野が狭くなって競馬に興味も無くなるわなという感想です。

 これはどの業界でも言えることかもしれませんが、それを跳ね返すには「うるせぇジジイ!!」と返せる若さが大変重要なのであります。ウマ娘は比較的過去の名馬が多く登場するので余計に、です。

何故そんな話を持ち出したのかと言うと、以下の表題に話が続くためです。

4.中の人がやる「新規開拓」には限界がある

 ウマ娘が持つ最大のパワーというか魅力はすべてこの1点に集約されていると言っても過言はありません。

 ここ数年やっていたJRAのコラボ、一体何をやっていたか分かりますか?私からは口に出すのも憚られるので敢えてここでは書きません。絵を貼ると権利関係もありますし、出来ることなら忘れたい。
 いや、担当者はそれなりに頑張っていたとは思いますよ。頑張ってはいた・・・。知りたい方はググってみれば分かると思います。覚悟しとけよ。

 話が脱線しましたが、広告代理店がやるような入口から出口まで通貫でデザインしてコントロールするコンテンツのブームとは異なり、印象からして既にマイナスからスタートしている公営ギャンブルは、当事者が意図してムーブメントを起こすのが非常に難しいのです。これ実は過去の傾向から見ても明らかなのです。

◇第一次競馬ブームは、当時の寺山修司らをはじめとした文化人による啓蒙(おそらく同時期に起きた麻雀ブームもそうなのだが、団塊世代に対して大人の悪い嗜みとして上手いこと刷り込みをさせた)


◇第二次競馬ブームは、バブルという誰しもが浮かれていた景気において登場した武豊というニューアイコンとそれを取り巻くメディアのスターシステム。あと芦毛はいつの時代も大正義。オグリ人形かわいい。


90年代に入るとダビスタ、ウイポなど家庭用ゲームなど新しい余暇の楽しみが入り口となり爆発的な参加人口増加に貢献。マキバオーみたいな漫画アニメのコンテンツミックスもそれに入るか。ジャンプ枠土曜日18時半って今を思えば確実に子供に悪影響だろ(笑)

 上の3つだけ並べても気づきませんか?少なくとも競馬ブームってのは当事者が一発目をカマす流れを作れていません。せいぜい偶然出てきたイケメン騎手や可愛いアイドルホースをメディアに取り上げてもらう程度。

 重要なのは外野からくる「斜め上を行く新しい発想」なんですよ。

 さっきも書きましたが、「足かけ数年も時間かけて、大変な金額を開発予算に投じて、女の子に擬人化した競走馬を育成して競馬場駆けさせるスマホゲー」を業界にどっぷり浸かった人間がシラフで企画書かけると思っているんですか?酒どころか○ャブでもキメてんだろってツッコまれるがオチでしょどうみても。

 ウマ娘それ自体はよく考察も出来ていますし、企画が走ってしまった以上は競馬ファンの開発者たちが必死になって上手くカバーしていたのだろうなとゲームを触れば分かります。そして想像以上の大成功。

 正直なところ、2年ぐらい前の事前登録やっていたあたりで見切り発車してしまっていたら、コンテンツとしてもゲームとしても未熟で失敗していた可能性が高く、寝かせたおかげで上手い具合に熟成された面も成功の一端かもしれません。
 まあ何にせよ、ここまで吹っ切れた発想というのは「リアル競馬」の枠にとらわれてしまっている既存のファンもしくは関係者には決して真似することが出来ないのですね。

 若干話は変わりますが、ここ最近Youtubeの公式配信でパチスロライター界隈を丸々競艇予想番組として移植したBoat Raceなんかも、普段から競艇に慣れ親しんでいた身としたら、ここまで集客に結びついた理由がいまいちピンと来ないんですね(パチスロ・モンキーターンという布石があったのかもしれないが)。というか未だに分からない。ういちは面白いんだけど。

 結局のところ内側でそれなりに事が足りている人種というのは、全くそのコンテンツに触れたことがない人間への理解・配慮ができない、ある種の自閉症状態なのかもしれません。

5.総論:いつまでも末永く

 以上のことからウマ娘というのは久々に到来した競馬ブームの予兆であり、参加者の平均年齢を若返らせる絶好のチャンスであると言えます。

 ナマモノを扱っているだけあって、もともと競馬単体(特にJRA)のコンテンツパワーそれ自体は結構強力で、また知恵も金回りも良い組織構造であることから、この流れは大事にして確実にモノにしてくれることと信じています。

 今年はこれから従事者の持続化給付不正受給や笠松の八百長問題といった悪い話の進展があるでしょうし、ダービーに関してもコロナという時節柄、観戦希望者全員の入場を受け入れられる状態で無いと思います。

 私たちとしては現状、競馬というコンテンツに興味を持ってくれるだけで充分ですし、それ以上のことを求めるつもりはなく、また逆にウマ娘それ自体に口出す権利はありません。

 とりあえず関連施設が気兼ねなく出入りできるようになるまでは、馬券ではなく石でも買ってゲームを盛り上げ続けてください。

 あっ、誤解しないで欲しいのですが、単に遊ぶだけなら間違いなく石よりも観戦馬券の方が安く済みますよ(笑)。ただし、日曜日にやるG1レースぐらいはTVで観て欲しいかな

 完全な老婆心ですが、ウマというのは長く続けることが最大の魅力であり楽しさでもあるよと改めてこの場にてお伝えしておきます。いつか皆様と競馬場でお会いするのを楽しみにしています。

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